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ITは“お役所事情”を変えられるのか? RPA導入で茨城県庁が明かす「今の課題」と「必要な変化」茨城県、RPA導入への道【後編】(1/4 ページ)

自治体がRPAを導入する例が相次いでいる。長時間かけていた業務を自動化するメリットは確かに大きい一方、導入の過程で“役所独特の壁”にぶつかることもあるようだ。現場の職員は、どうそれを乗り越えようとしているのか。

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茨城県庁

 ソフトウェアロボットを使ってPC上で行われる業務を自動化する技術、RPA(Robotics Process Automation)を導入する自治体が増えている。長時間かけていた業務を自動化するメリットが明らかになる事例は確かに多い。だが、企業の場合と違い、役所でRPA導入を進めようとすると、独特の壁にぶつかることもあるようだ。

 茨城県庁では、「これまで“無難に、かつコストをかけたくない分野”だった自治体のICTを変え、戦略的に活用したい」という大井川和彦知事の下、RPAを知ったばかりだったという2018年に早くも実証実験を成功させ、2019年度(2019年4月〜2020年3月)には20業務にRPAを導入する決断を下した。その経緯については、ぜひ下の記事を読んでいただきたい。

 ただし、いざ実証実験を行ってみると、「大量の手入力作業」や「書類の目視確認」など、職員が長時間かけていた作業を自動化するメリットが分かった一方で、RPAの本格的な導入や運用に立ちはだかる課題も浮かび上がってきたという。そのはざまで、今後どう現実的に導入を進めていくのか。庁内のRPA検討や実証実験に当たり、現場やベンダーとの調整役や進行役を務める「ICT戦略チーム」のメンバーに話を聞いた。

いざ実証実験へ――現場から集まった“しんどい業務”とは

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茨城県庁で行われたRPAの実証実験に選ばれた4業務(画像提供:茨城県)

 実証実験は、庁内から集まった65業務のうち、「予算令達登録」「検収資料確認」「水産試験場 漁獲情報システムデータ取り込み」「旅費申請代理登録」の4つの業務を対象に行われた。これらの業務は、「これからも必須の業務で、かつ業務データが既に電子化されていてルールが標準化されており、かつ導入効果が高いかどうか」といった基準を基に選ばれたという。

 とはいえ、外部の人間にとっては、業務の名前を読んだだけでは内容が分かりにくいものもある。自動化する前、これらの業務は実際どんな様子だったのか。

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