揺れる米中問題 5Gの競合Huaweiについて相次ぐ質問に、CiscoのCEOが語った胸の内とは:Cisco Live US 2019
米国で開催されたCiscoの年次イベントで、同社のロビンスCEOに記者たちから、同社の競合であるHuaweiに米国政府が下した処分の影響について質問が相次ぐ場面があった。5G製品を強化しつつある中、同氏が語った見解とは
2019年6月10日(米国時間)、米国カリフォルニア州サンディエゴで開幕したCisco Systems(以下、Cisco)の年次イベント「Cisco Live US 2019(2019年6月10〜13日)」で行われた記者会見で、同社の製品や技術以外についての質問が記者たちからチャック・ロビンスCEOに集中する一幕があった。
それは、米中関係の悪化――特に、中国のHuawei Technologies(華為技術。以下、Huawei)を2019年5月に、ドナルド・トランプ大統領が事実上米国の市場から締め出した影響についてだ。
豊富なネットワーク機器をそろえ、5G対応の無線技術や対応端末をいち早く展開したHuaweiはCiscoも認める競合だ。その苦境に、同氏は何を思うのか。
会見の場でCEOが語った「見解」とは
「この事態はCiscoのビジネスにどう影響すると思うか」「この機会をある意味チャンスと捉えているか」
基調講演で「今や政治にさえネットワークが絡む時代」とジョークを飛ばしていた同氏が一変、その後行われた会見の場で上記の質問が飛ぶと、厳しい表情を見せた。
同氏は、「確かに中国でのビジネスに影響を与える可能性はありますが、私はこの事態を自社のサービスを売り込む機会とは捉えていません」と断言。その上で、別のインタビューで次のように語った。
「私としては、米国政府と中国政府が、一刻も早くこの問題を理性的に解決することを望んでいます。政府同士の問題ですから、あくまで政府同士が決着をつけるべきです。ただ、顧客企業のためにも経済のためにも、多くの関係者がこの問題の解決を望んでいるでしょう。
私が最も危惧しているのは、この問題が世界経済に影響を及ぼすレベルまで発展してしまう可能性です。例えば、これまで進んできたグローバル化の流れを滞らせ、私たちの顧客が投資のペースを落とさざるを得ないような状況を作り出してしまえば、それはもはや2国間だけの問題ではなくなるでしょう。その段階に至って初めて、Ciscoのビジネスにも全世界レベルで深刻な影響を及ぼすと考えています」(ロビンスCEO)
今後の対応について、同氏は「Ciscoは企業としてさまざまな事態に対応する力を持っていますし、これからもそうあるでしょう」と話した上で、こう締めくくった。
「今できることは、起こり得るさまざまなシナリオを想定し、状況を見極めて動くこと――古いことわざにあるように、『最悪の状況を想定しつつ、最良の結果を願う(Prepare for the worst, hope for the best)』つもりです」(ロビンスCEO)
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