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AWSに対抗する価格と高パフォーマンスを 日本オラクルCEOが新戦略を語る開発者などのユーザーにも熱い視線(1/3 ページ)

日本オラクルのCEOに就任したばかりのケネス・ヨハンセン氏が初めてメディアの前に登場。Oracleが年次イベントで発表した大々的な戦略転換や、日本市場におけるクラウド展開、今後の見通しについて語った。

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 Oracleが米国サンフランシスコで開催した「Oracle OpenWorld 2019(以下、OOW 2019、2019年9月16〜20日)」で、2019年9月に日本オラクルのCEOに就任したケネス・ヨハンセン氏が初めてメディアのインタビューに登場。OOW 2019で発表された同社の方針についての見解や、日本オラクルの今後について語った。

 ヨハンセン氏はデンマーク出身。通信業界やソフトウェア業界を経てOracleに入社し、デンマーク支社長を務めた後、Oracleのドイツ支社長を約5年間務めた。今回、同じく以前はドイツ支社長を務めていたフランク・オーバーマイヤー現社長を補佐する形で、日本オラクルのCEO職に就いた。

 物静かな調子でゆっくりと話す人物だが、その語り口は明快だ。就任から数週間余り。「まだ日本市場や顧客を深く知るには至っていない」と認める一方、日本オラクルの指針や、OOW 2019で発表されたクラウド関連の新施策については、率直な見解を語った。

「価格とパフォーマンスでAWSに対抗する」クラウド戦略を明言

 「今のOracleについてはっきりお伝えしたいことは、私たちがAWSのIaaS(Infrastructure as a Service)に対抗する価格帯を実現しようとしている点だ。顧客によるインフラのTCO(総保有コスト)をAWSのほぼ半分にする価格で、かつコンピュータストレージなどを通してAWSよりも高いパフォーマンスを実現する。変化する顧客のニーズに応え、Oracle Cloudに移行するメリットを発信することで、クラウド業界の競合各社とも十分戦えるはずだと信じている」(ヨハンセン氏)。


「Oracle OpenWorld 2019」で会見した日本オラクルのケネス・ヨハンセンCEO(左)とクラウド事業戦略統括を務める竹爪慎治執行役員(右)

 従来は大企業向けのデータベースの印象が強かったOracleは、2014年になって「Oracle Cloud Platform」や「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」を発表。AWSやMicrosoftといった競合に比べると、クラウド市場進出がやや遅れた感は否めない中、同社はオンプレミスの部分を残しつつ、ハイブリッドクラウドやマルチクラウドを含む環境での運用を可能にする方向へかじを切り、インフラの強みを生かした戦略で巻き返しを図ろうとしている。

 2019年のOOWは、Oracle全体の戦略転換をはっきりと示した。人工知能(AI)を活用し、クラウドの機能を自律型の運用管理機能を盛り込んだ「Generation 2 Cloud(以下、Gen2 Cloud)」を強化。同じく自律機能で運用管理負担を軽減し、自動チューニング機能を備えたデータベース「Autonomous Database」を発表した他、それらを支えるOS「Autonomous Linux」も無料で公開した。

 また、小売業向けにオンプレミスやクラウド、SNSなどのデータを統合的に活用するソリューション「CX Unity」を発表するなど、インフラの強みを生かしながらデータ中心のビジネスに切り込む姿勢を見せた。

 OOWのイベント会場さえ、従来赤1色を基調としていた自社のロゴやイメージカラーさえ変え、白やオレンジ、茶の複雑な混合にするなど、顧客が自社に対して抱くイメージを本格的に変えようとする意図がうかがえた。

 ヨハンセン氏は、こうした変化について「明らかなパラダイムシフトがOracle全体で起きている」と語る。

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