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「データサイエンティストいらず」でAI導入を NRIが語るプロジェクトの勘所(1/2 ページ)

AI導入プロジェクトにおいてデータサイエンティストは大きな役割を担っている。しかし、その採用や育成には多大な時間やコストがかかる。そんな中、新たな取り組みを進めるのがNRIだ。担当者が語るデータサイエンティストいらずのAI導入とは。

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 近年、多くの業種でAI(人工知能)を導入する動きがある。企業のAI導入プロジェクトを推進する野村総合研究所(NRI)によれば、近年になって技術環境の整備が進んだ点が、導入を後押ししているという。ただし、同社は「成功事例がある一方で、AIを全社で導入、活用できる企業は少ない」とも指摘する。その原因とは何なのか。

 NRIは、金融や小売り向けのAI導入プロジェクトを手掛けてきた。同社の山本聡氏(流通・情報ソリューション本部 上級システムコンサルタント企画グループマネージャー)は、全社規模のAI導入が進まない理由にデータサイエンティストの不足を挙げる。


流通・情報ソリューション本部所属の上級システムコンサルタント企画グループマネージャーの山本聡氏(出典:NRI)

 山本氏によると、従来型のAI導入プロジェクトは「データサイエンティストや業務の有識者が多大な労力と工数をかけ、AIの予測モデルを作成していた」という。しかし、コストの問題から、長期間データサイエンティストを企業やプロジェクトに留めることは難しい。また彼らを社内で育成するのにも時間やコストは発生する。

 データサイエンティストが社内で不足すれば、予測モデルの陳腐化を招く。予測モデルは、時代や環境に応じて改修する必要があるが、データサイエンティストがプロジェクトを抜ければ、データについての知見を持つ人間がいなくなり、定期的なメンテナンスが不可能になる。

 「工数をかけ予測モデルを作成しても、10年も経てば経年劣化して利用できなくなる。従来型のサービスは、適切にメンテナンスするという工程のハードルが非常に高い」(同氏)

 このように、育成が難しいデータサイエンティスト頼みのAI導入プロジェクトは、長期的に見ると運用リスクが高い。「DataRobot」のようなAIツールを導入すれば、コストも増大する。そこでNRIは、小売向けのAI導入プロジェクトを、SEとコンサルタント、業務有識者のみで実行したという。


データサイエンティストやAIツールを利用した場合のプロジェクトのコスト(出典:NRI)

データサイエンティストいらずのAI導入プロジェクト ポイントは「現場」にあり?

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