2020年代、人工知能は「働く」体験をどれだけ変えるのか?:Citrix Overseas Report
「良い顧客体験」だけが注目される時代は終わりました。企業が高い成果を出して顧客満足度を上げ、成長につなげるためには、従業員が気持ちよく働ける環境を用意できるかが重要です。そこで鍵を握る技術こそAIですが、具体的にどのような可能性を秘めているのでしょうか?
技術の進歩によって私たちの日常が劇的に変わりつつある中、2020年に私たちの生活や仕事の在り方を大きく変える可能性のあるテーマが3つあります。それが「従業員体験」「人工知能(AI)」そして「持続可能性」です。これからの企業の成功は、このテーマに関わる課題をいかにクリアしチャンスをつかむかにかかっています。
今、従業員体験にスポットライトを当てるべき理由
従業員体験をいかに大切にし、良い形に成長させるか。2020年以降、企業が成功するためにこの課題は避けて通れません。
企業はこれまで何十年もの間、顧客体験のみを重視してきました。顧客を価値の中心に据え、優れた顧客体験を提供することこそが成功への道だと信じてきたのです。しかし現在「企業が用意する従業員体験の質は、顧客体験と同じくらい重要である」という認識が各社に広まりつつあります。気持ち良く働けている従業員はモチベーションが高く、事業の成功に大きく貢献します。彼らが業務で高い成果を挙げるようになれば、それに伴って顧客満足度も向上します。それが最終的に企業の成長につながるのです。
ひと口に「従業員体験」といっても、そこにはさまざまな要素があります。実際の労働環境に始まり、企業文化や所属するチームの結束力、企業が提供する業務用ツールの便利さなど、その評価基準は多岐にわたります。デジタル化が急速に進む今、従業員体験にもデジタルの要素を取り入れることがますます重要になっています。私たちの周囲にも、生活に役立つデジタル技術が次々と登場しています。
しかし、なぜか職場におけるIT導入は大きく遅れてしまうことが少なくありません。例えば、従業員が私用で使うスマートフォンには、最新のユーザー体験を提供するアプリケーションや技術が詰まっています。その一方で、職場のPCにも同じことがいえるでしょうか。消費者向けのクラウドサービスやSNSのような便利さを、会社はクライアントアプリやサーバアプリ、必要な機能を統合したクラウドサービスとして従業員に提供できているでしょうか。
以上の点を考慮すると、企業が今後取り組むべき課題は「従業員向けデジタルサービスの質を、消費者向けのそれに匹敵するほど高めること」と言えるでしょう。そのためには、テレワークやパートタイム、タイムシェアリングなど、柔軟な働き方を積極的に取り入れる必要があります。国境や時差を越えて従業員やチーム同士が協力できる最新ツールやアプリへのニーズは高まるでしょう。同時に、使い勝手の悪いアプリは廃止し、予測や自動化といった技術を活用し、使いやすい機能を備えたワークスペースへ移行することが求められます。その鍵を握る技術の一つが人工知能(AI)です。
2020年代、AIは働く環境に何をもたらすのか?
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