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1000人規模の営業部隊にSFAを正しく定着させるには? データ蓄積の現実的な手法「データで考える営業部門」を作るための仕掛け

業績予測の精度を高め、早めに対策を打つには、営業活動を担う人員一人一人の活動状況の報告を頼りに状況を可視化するしかない。見るべき情報も市場動向に追従して変化させる必要がある。入力する「人」が頼みの業務改革を成功させるには、ツール側の進化も必要なようだ。1000人規模の営業部門が使えるデータを入力するようになるまでの取り組みを追った。

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 既存業務DX、最初の一歩は「使えるデータの蓄積」だろう。使えるデータか否かは入力データの品質にかかっている。だが、どうシステムを設計すればエンドユーザーに負担をかけずに品質を保つように仕向けられるだろうか。

 1000人規模の営業部門で「使えるデータの蓄積」に成功しつつある企業にその秘けつを聞いた。

1100人が使うSFAを切り替え、内製化が生んだ「別の課題」

 NECネッツエスアイは1953年に日本電気から通信インフラの設置工事を担う企業として分離独立したのが始まりで、国内外のネットワーク通信工事やコミュニケーション・システムインテグレータ事業を提供している。近年では「デジタル化×5G」時代を見据えた事業創出にも力を入れる。

 同社は2019年12月から営業部門に属する1100人を対象にSFA(営業支援システム)として「Salesforce Sales Cloud」(以下、Salesforce)を導入した。それまでも別のSFAを利用していたが、案件進捗(しんちょく)のレポート機能などが充実しており、他クラウドサービスとの親和性が高いことを理由に、既存ツールのサポート終了のタイミングで乗り換えた形だ。同社のSFAツール乗り換えは、新しい働き方を推進する中で業務全体をデータドリブンで判断できるように改革しようとの狙いがある。

 Salesforce導入を主導するのは営業部門の中にある営業企画本部だ。営業企画本部は営業部門が使う情報システムの企画や運用を担う。

「即リリース」体制構築がもたらした今まで想定しなかった課題が発覚


齊藤大蔵氏

 営業部員1100人が使うSFAをSalesforceに乗り換えるとなると、現場に相当なインパクトが出る。NECネッツエスアイの齊藤大蔵氏(営業統括本部営業企画本部 営業企画部長)は「できるだけ違和感なく使えるよう、入力の流れや入力項目は変わらないように注意した」と話す。唯一変更したのは、Salesforce導入目的の1つでもある案件進捗情報の扱いについてだ。これについては導入に際して定義し直し、将来的な判断につなぎやすい情報を加味した。

 業務アプリケーションは常に改善され続けるものであり、そのスピードは加速していく。例えばマーケティング部門から、現場の対応状況を測定するために入力項目の追加要請が出されることもある。これまでシステムに改善を加えるなら、開発ベンダーと協議してからシステム改修を実施していた。

 頻度としては四半期や半年に1度程度だったが、Salesforceに乗り換えることで、自社で改修できるようになったため、要望があれば1カ月程度で改修することも可能となった。ここで、今まで想定してこなかった課題が出てきたという。

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