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「社外秘の資料を画面共有」は情報漏えいか? 弁護士が語るテレワークの法的留意点

テレワークを導入した企業の中には、急ごしらえのセキュリティ対策となってしまっているところも多い。西村あさひ法律事務所の弁護士、北條孝佳氏がテレワークのセキュリティにおける3つの課題と対策、法的な観点から注意すべきポイントを挙げた。

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 コロナ禍によって、従来「例外措置」とされていたテレワークが一気に「常態化」した。急激な変化に伴い、これまでのデータ管理や情報セキュリティ体制にさまざまなほころびが見え始めている。

 アイティメディア主催「ITmedia Security Week 2021夏」(2021年6月7〜14日)の基調講演「テレワークにおける法的留意点」で、西村あさひ法律事務所の弁護士である北條孝佳氏が、テレワークのセキュリティ課題と対策、法的な観点から気を付けるべきポイントを解説した。

先端技術や最新サービスを利用する上で注意すべき法的留意点は?

 テレワークの促進によってデータの利活用や保護の重要性が高まり、新たな技術やサービスが次々に登場した。これをビジネスに活用する企業が増加する中、北條氏は2つの注意点を挙げる。


西村あさひ法律事務所 北條孝佳氏

 1つ目の注意点は、先端技術の利用にはリスクが付きまとうことだ。北條氏は「新たな技術は、必ずしもリスクを考慮して開発されたとは限らない。『先端技術やサービスは安全かもしれないが、常にリスクは存在する』という考えで利用する必要がある」と話す。

 北條氏は、新たな技術やサービスの登場という観点から、大阪高裁の2019年の判例を紹介する。あるアパレル商品ブランド企業の代表取締役はSNSを使って商品を紹介していたが、退任後にアカウントのパスワードを企業に開示せず、この企業は開示を求めて訴えを起こした。大阪高裁はこの訴えに対し、パスワードを開示するよう判決を下した。


2019年の大阪高裁の判例(出典:「テレワークにおける法的留意点」の資料から抜粋)

 北條氏は「企業の業務に自分のSNSアカウントを利用していた場合、アカウントの地位は開設した人にあるが、業務の一環として管理運営していた際には、引継ぎの対象となってしまうという判断が下されたことになる」と述べ、今後サービスにSNSを利用する際には、この点に留意する必要があるとした。

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