基幹業務システムは「作る」から「選ぶ」へ――変わるERP、導入を成功させる3カ条は:Weekly Memo(1/2 ページ)
ERPを新たに導入するとき、どのような考え方や姿勢で取り組めばよいか。SAPジャパンの幹部による自社イベントでの説明が、他社のERPにも当てはまる興味深い話だったので取り上げてみたい。
SAPジャパンは2021年7月12〜16日に年次イベント「SAPPHIRE NOW Japan 2021」をオンラインで開催した。その中で「企業変革になぜERP(統合基幹業務システム)が有効なのか」をテーマにした講演が、SAPだけでなく他社のERPにも当てはまる興味深い内容だったので、今回はそのエッセンスを取り上げながら「ERPの活用」について考えてみたい。なお、本稿でいうERPはパッケージソフトウェアであり、クラウドサービスも対象となる。
講演のスピーカーを務めたSAPジャパンの平石和丸氏(バイスプレジデント エンタープライズ統括本部長)は、ERPを新たに導入する企業について「基本的に改善でなく改革するという姿勢で臨むべきだ」と述べた。その理由について、同氏は次のように説明した。
「現状のシステムの延長線上であれば、業務プロセスは改善にとどまる。改善は現状の課題に対処することだ。それに対し、改革は『どうありたいか』を描き、その姿を目指していくアクションだ。その点、ERPにはあらかじめ最適化された業務プロセスが埋め込まれており、ERP導入がすなわち改革を推進することになる」(平石氏)
企業の基幹業務システムが今後「作るのではなく選ぶものになる」理由
同氏はまた、企業の基幹業務システムは今後「作るのではなく選ぶものになる」とも述べた。
「基幹業務システムはこれまで企業ごとに個別のシステムが作られてきたが、ERPは最適化された業務プロセスをレゴブロックのように組み合わせていく形で、今後はさらに自社のシステムに必要なブロックを選んで組み上げていくようになるだろう」(平石氏)
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