P&Gやコカ・コーラら大手が結集 配送センターの集配、デジタルで非接触化の動きは定着するか:Supply Chain Dive
食料品や消費財の製造企業や大手の物流企業らが結集し、物流拠点でドライバーらが紙の書類をやりとりしていた従来の業務を本格的にデジタル化、効率化する技術の業界標準を策定した。ドライバーの滞留時間を短縮する他、これまで標準がなかった企業同士のデジタル情報のやりとりも標準化する。具体的にどのような動きが実現したのか。
消費者向けパッケージ商品を扱う企業で作る米国の業界団体Consumer Brands Association(CBA)が主導するタスクフォースが、配送センターでの非接触型の集配業務に関する技術標準を「Contactless Standard」としてオンラインで発表した。ドライバーが施設で過ごす時間を短縮すると同時に、安全性と可視性を向上できるとしている。技術標準について記した文書は、ワークフローと一緒に各ステップで収集するデータの概要を明らかにしている。
今回の技術標準は、タスクフォースが参加企業と共同で実施した実証実験12件の結果を反映する形で作成された。各企業の規模に応じて、非接触型の集配プロセスがどのように展開されるかを示す。プログラムにはCoca-ColaやProcter & Gamble(P&G)といった大手消費財メーカーをはじめ、小売大手のTargetやThe Home Depot、物流大手のJ.B. HuntやWerner Enterprisesなども参加した。
技術標準の策定に当たり、CBAはこれまで複数の書類で構成されていた貨物引換証関連の業務を、対面でのやりとりを一切必要としないデジタル形式に移行する実証実験を実施した。同団体のトム・マドレッキ氏(サプライチェーンおよびロジスティクス担当バイスプレジデント)によれば、同実験に参加したドライバーの1拠点当たりの平均滞留時間を66分から23分に短縮できたという。
集配プロセスの「渋滞」解消へ 企業を超えた協力が生んだ思わぬ効果
企業が出荷関係の書類を紙からデジタルにシフトしようとする動きは以前からあり、コロナ禍で大きく前進した。
ただし、今回のタスクフォースのメンバーであり、物流向け技術を扱うVectorのウィル・チュウCEOによれば、それぞれの企業がサプライチェーンの事務処理をデジタル化しようとしても、企業間の相互運用性がないために進みにくいという。技術の標準化に向けて解決しなければならない課題の一つだ。
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