ニュース
富士通と理研、創薬分野のDXでタッグ スパコン「富岳」活用で次世代IT創薬技術の確立へ
富士通と理化学研究所は、次世代IT創薬技術の共同研究を開始した。スパコン「富岳」を活用し、2026年度末までに新たなIT創薬プロセスを構築する。製薬企業などに普及させ、新薬開発の期間や費用の削減を目指す。
富士通と理化学研究所(以下、理研)は2022年5月17日、スーパーコンピュータ「富岳」を活用した次世代IT創薬技術の共同研究を開始した。創薬プロセスにおける新領域の開拓と開発期間や費用の削減を目指す。
スパコン活用で目指す創薬プロセスの変革とは?
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などの未知の病気に対するワクチンや新薬開発では、薬効が高く、副作用が少ない「中分子薬」や「高分子薬」などの創薬に高い期待が寄せられており、IT活用による効率化が求められている。
富士通と理研は、今回の共同研究で、両者の創薬分野における最先端のシミュレーション技術やコンピューティング/AI(人工知能)技術を融合させ、ターゲットとするタンパク質と薬剤候補分子の未知の複合体構造の予測を可能にし、創薬プロセスにおける新領域の開拓と開発期間や費用の大幅な削減を目指す。
関連記事
- 富士通らが「デジタルアニーラ」でCOVID-19治療薬の開発へ
治療薬開発の領域もITの進展が貢献する。富士通はペプチドリームなどと共同で、新型コロナウイルス感染症治療薬の開発を目指す新会社を設立した。最短で2021年秋の臨床試験を目指す。 - AIで糖尿病の投薬効果を予測 血糖値を正常に保つ最適な処方を支援――札幌医科大学、富士通ら、共同研究開発へ
札幌医科大学、富士通、富士通北陸システムズは、糖尿病の経口血糖降下薬の処方を最適化するAI技術に関する共同研究開発に着手した。糖尿病患者約5000人の診療記録、処方情報、検査情報を基に、患者に最適な処方を導き出し、投薬治療の効果を予測する診療支援システムの開発を目指す。 - AIで新薬創出を加速 肺がんとIPFの創薬ターゲット発見へ――NIBIOHN、理研ら、省庁連携研究プロジェクトを開始
医薬基盤・健康・栄養研究所(NIBIOHN)、理化学研究所(理研)、科学技術振興機構(JST)は、「新薬創出を加速する人工知能の開発」を目指に「官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)」に基づく研究プロジェクトを開始。創薬ターゲットを推定するAIを開発し、創薬研究の活性化を目指す。 - ついにスーパーコンピュータ「富岳」が完成 学術や産業分野向けに共用を開始
スーパーコンピュータ「富岳」が2021年3月9日に完成する見込みだ。理研とRISTは、富岳を広く学術や産業分野向けに共用を開始する。RISTは、富岳の利用拡大に向けた課題を随時募集している。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.