メルカリがNFT事業に本気 その目的と「その次」の事業展開を聞いた
フリマアプリを提供する「メルカリ」はブロックチェーン技術の大衆化に取り組んでいる。その鍵を握るのは、メルカリが提唱するWeb2.5というハイブリッドなサービス形態だ。
ブロックチェーンを活用したサービス市場の規模が年々拡大傾向にある中で、フリマアプリで知られるメルカリはブロックチェーンを用いた新たなサービスを打ち出した。メルカリは新サービスによってどう社会にブロックチェーンを浸透させようというのか。
本稿は、「NexTech Week 2022 春」(開催期間:2022年5月11〜13日)の「ブロックチェーンのビジネス応用」をテーマにした、メルカリの伏見慎剛氏(執行役員NFT担当/メルコイン取締役)による講演「メルカリが目指すブロックチェーンの社会実装」の様子をレポートする。
ブロックチェーン技術が注目される背景は?
矢野経済研究所は、2021年度は783億円だった市場規模が、 2025年度には7247億6000万円規模になると予測する。
ブロックチェーン技術の主な活用例は2つある。1つ目が決済、証明、契約に関わるシステムへの適用だ。ブロックチェーン技術最大の特徴である「改ざんが事実上不可能」という点は正確な記録を残すのに有効であり、既存の業務アプリケーションで実現するよりもシンプルなリソースで実装でき、スケールさせやすい。
2つ目は、ブロックチェーン技術の合意形成の仕組みを利用して、決済や契約手続きの自動化を図ることだ。契約や決済などの手続きのデジタル化が進むが、合意形成の部分はこれまで人の介在が必要だった。ブロックチェーンのスマートコントラクトを使って合意形成のロジックも自動化できれば、取引全体の効率化が期待できる。
ブロックチェーン技術への関心が高まる中で、メルカリは同技術を実装したサービスを構想している。メルカリにおけるブロックチェーン事業の2つの柱であるNFT( Non-Fungible Token)と暗号資産(仮想通貨)について聞いた。
メルカリがブロックチェーンの「大衆化」を目指すワケ
「価値交換の在り方が抜本的に変わっていくだろうと2017年頃から感じていました」(伏見氏)
メルカリは2017年頃から「Mercari X」と称し、社内実験的にプロックチェーン事業を進めてきた。当時は暗号資産の取引が活発化した時期で、メルカリも同領域への進出を計画していた。しかし、暗号資産業界での大きな事件が重なり、事業化のタイミングを見送らざるを得なくなった。
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