金融業界「DCで昔ながらのシステム管理」はいつまで続く? 250人のITプロを調査
マルチクラウドを採用する金融企業の割合は、全業界の中で最も低い。変化が求められるこの時代、金融企業がクラウド移行できない理由は何なのだろうか。
ハイパーコンバージドインフラ(HCI)製品で知られるNutanixは2022年5月17日(現地時間)、金融業におけるクラウドの採用状況を測定した調査「Nutanix Enterprise Cloud Index (ECI)2021」の結果を発表した。調査はNutanixが調査会社Vanson Bourneに委託して、世界各国のIT部門の意思決定者1700人を対象に行ったものだ(調査期間:2021年8〜9月)。
本稿はその調査内容の中から、世界各国の銀行と保険会社のITプロフェッショナル250人の回答に基づき、金融業におけるクラウド導入と計画のトレンドに焦点を当てた調査レポートの内容を紹介する。
調査によると、マルチクラウド(パブリックまたはプライベートの複数のクラウド環境を組み合わせたIT運用モデル)を採用する割合は、全業界の中で金融業が最も低い26%だった。これは全体平均を10ポイント下回る。しかし、マルチクラウドの導入が進む世界的なトレンドに伴い、採用率は今後3年間で26%から56%と2倍近くまで上昇する見通しだ。
原因は「既存システムへの依存」と「業界の規制」
金融業に属する回答者の31%は、自社のITインフラをいまだに伝統的な3層アーキテクチャのデータセンターで運用していると答えた。パブリッククラウドを利用しない企業の割合は調査対象の全業界の中で最も低く、業界全体の47%に対し、金融業は59%だ。金融業は既存のレガシーアプリケーションへの投資が甚大なことに加え、規制が厳しいことが原因だとNutanixはみている。
金融業が抱えるマルチクラウド移行への課題3つ
金融業のマルチクラウド移行の課題としては「セキュリティ」(50%)、「異なるクラウド環境間でのデータ統合」(46%)、「ネットワークオーバーレイによるパフォーマンス上の課題」(43%)が上位に挙がった。
金融業に属する回答者の82%が「プライベートクラウドとパブリッククラウド間での相互運用性を実現したIT運用モデル」としてNutanixが提唱する「ハイブリッド・マルチクラウドモデル」が理想的であると回答した。セキュリティやデータガバナンスポリシーを均一に適用する統合クラウド環境を備えることで、マルチクラウド導入の課題に対応できる。
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