ニュース
「2025年までに過半数が影響」 遠くの戦禍は日本のIT調達にどんな影響を与えるか
ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに、地政学リスクが改めて注目されている。日本企業によるIT調達に地政学リスクはどう影響を及ぼすのか。ガートナーが評価する際に考慮すべき「3つの要素」を提言した。
ガートナージャパン(以下、ガートナー)2022年8月4日、今後の日本企業によるソフトウェアやクラウドサービスなどのIT調達に「地政学リスクが重大な影響を及ぼす」との見解を発表した。
同社は「2025年までに、ソフトウェアのユーザー企業の半数超は地政学的な要因を背景とする契約コストの増加やコンプライアンス違反のリスクにさらされる」との仮説を立てた。
地政学リスクとは、特定地域の政治的、軍事的緊張の高まりが周辺地域や世界に及ぼす影響を指す。
ITリーダーが地政学リスクを評価する際、考えるべきこと「3つ」
ガートナーは、日本企業が利用するクラウドサービスやERP(Enterprise Resource Planning)などのソリューションの多くが海外ベンダー製であることから、「日本企業は地政学リスクの影響から免れられない」と指摘する。
ガートナーの海老名 剛氏(バイスプレジデント、アナリスト)は、「ソーシングや調達、ITベンダーの管理を担うリーダーにとって、地政学リスクは今後対応すべき新たな課題だ。特にソフトウェアやクラウドサービスを調達する際は、自社に及ぼす影響をあらかじめ評価し、ベンダーと必要な交渉をすべきだ」と述べる。
ガートナーは、地政学リスクの影響を評価する際に次の3点を「考慮すべき」としている。
関連記事
- 米当局、ロシアによるbotネットを撲滅する作戦を決行 該当ルーター保持者は要注意
米司法省が2022年3月に実施された裁判所公認のサイバーセキュリティオペレーションを発表した。同オペレーションはロシア連邦軍参謀本部情報総局が関与して構築したとされるbotネットの破壊を目標とした作戦で、一定の成果を挙げたという。 - 米政府がサイバー攻撃への準備を呼びかけ セキュリティ専門家が指摘するロシアの思惑
2022年2月末から続くロシアによるウクライナ侵攻を受け、米国と日本を含めた同盟国は対ロ経済制裁を実施している。米政府は重要インフラを抱える組織を招集し、情報を共有した。 - なぜ国内IT市場は回復傾向なのか? コロナ禍やロシア・ウクライナ戦争の影響を考慮し、IDCが予測
IDC Japanによると、2022年3月末時点の予測で国内IT市場は年成長率4.1%の回復基調にあり、2026年に23.5兆円規模になる見通しだ。長引くコロナ禍やロシア・ウクライナ戦争など世界情勢が厳しさを増す中、なぜ国内IT市場は回復傾向にあるのか。 - ロシアによるウクライナ侵攻で半導体に「新たな危機」
携帯電話や自動車、家電製品など半導体を搭載する製品は増える一方だ。半導体不足が世界中で深刻化する中、ロシアによるウクライナ侵攻が新たな危機をもたらしている。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.