「主要なクラウドが連携しユーザーに便利な未来を」 ラリー・エリソンが目指す社会:Oracle CloudWorld 2022 レポート(2/2 ページ)
ラリー・エリソン氏(Oracle会長兼最高技術責任者)が未来のクラウドの形を話した。これまでとは違う、クラウド同士が連携しユーザーに自由が増えるという。また同氏によれば、ヘルスケア産業においてもこれまででは考えられなかった変化が起きようとしている。
アプリケーションの未来 Oracleがヘルスケア領域に注力
エリソン氏は新たなアプリケーションの形を説明するに当たり、Oracleが開発するヘルスケアアプリケーションを例に挙げた。
エリソン氏は「現代の産業アプリケーションとは何か。これは全てのエコシステムを自動化することに他ならない」と話し、「ヘルスケアに関するテクノロジーを提供するプロバイダーはそのシステムを1つ1つのセグメントに売ることに集中している。各病院がそれぞれのヘルスケアに関する履歴とデータベースを持っており、病院間での情報共有は困難になっている。もし旅行先でケガや病気になったら一大事だ」とヘルスケア業界を現状を語った。
Oracleが目指す新たなヘルスケアエコシステムは、「全てのヘルスケアの情報が一つのシステムに保存され、一つのデータベースに記録される」というものだ。
エリソン氏は同講演の中で、「今後も投資を行い、新たにヘルスケアシステムを開発する。1つは国に、1つはグローバルにだ」と話した。同氏のこのような目標の背景には新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が大きく関係している。OracleはCOVID-19の急速な拡大を受けて、患者の管理に向けたプラットフォーム「v-safe」を68日間で開発した。エリソン氏によれば、感染症が世界で広がる中、病院ごとにばらばらに立ち向かっていては新たな脅威には勝てない。
同氏はこのような経験もあり、ヘルスケア業界での新たなエコシステムの確立が重要だと考えている。
「パートナーとの協力がエコシステムには欠かせない。共同のミッションとして知識を持ち寄り次世代のサービスを作る」(エリソン氏)
これらを解決するためにOracleは医療系システムプロバイダーのCernerの買収をはじめ、ヘルスケアに積極的に投資しており、新たな「Cernerクリニカルシステム」の開発を進めている。「操作性の簡便さ」や「患者に関するデータを容易に発見」「医師の判断で簡便なデータへのアクセス」を備えることはもちろん、参加する全ての病院や診療所のデバイスがIoT(モノのインターネット)とつながり、AI(人工知能)の助けを受け「正確性の向上」「プライバシーの強化」を実現する。
「人間のミスが脆弱(ぜいじゃく)性を生み出す。ミスを減らすためにも自動化を進めることが重要だ」(エリソン氏)
サービスを供給管理するシステムには高速で動くERPとHCMシステムを使用する。またOracleが新たなサービスや特徴を3カ月ごとに追加する予定だ。こうすることで堅牢なシステムの実現を目指す。
「これらの技術はマジックではなく、全ての新たなOracle製品の性能だ」
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