AWSは次のフェーズへ 日本のパートナーが見た「新たな変化」:AWS re:Invent 2022
AWS re:Invent 2022が3年ぶりに対面で実施された。日本のAWSのパートナー企業は、新たな製品やサービスに対してこれまでとは異なる傾向を感じたようだ。ソニービズネットワークスに聞いた。
Amazon web Services(以下、AWS)は2022年11月28〜2022年12月2日(現地時間)の間、同社の年次イベントである「AWS re:Invent 2022」を米国ネバダ州ラスベガスで開催した。コロナ禍ということもあり直近3年間は縮小されて開催された同イベントだが、2022年は多くの規制が緩和され、約2000を超えるセッションに対して約4万人が世界から集まった。
3年ぶりの同イベントを、日本のAWSパートナーはどのように評価したのか。
AWSの取り組みは次の段階へ 日本企業の課題解決にもつながる
「今回のイベントは『新たな製品が生まれる』というよりは、『既存の製品やサービスのクオリティーをさらに向上させて、ユーザーの利便性を高めるもの』が多いのではないか」――。こう話すのはソニービズネットワークスの開発本部で本部長を務める平山智史氏だ。
ソニービズネットワークスはAWS認定パートナーとして、AWSの初心者から上級者まで幅広くマネージドサービスを提供している。他のパートナー企業に比べると後発ながら、急速にそのサービスを拡大しており、AWSのパートナーとしての存在感が大きくなっている。平山氏もAWS re:Inventへの参加は今回で5回目だ。
同氏の指摘が顕著に表れたのが、AWSでCEO(最高経営責任者)を務めるアダム・セリプスキー氏の基調講演だ。セリプスキー氏は基調講演の中で13にも及ぶ新たなサービスを公開したが、その多くが既存のサービスのアップデートだった。
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一方で、「これはネガティブな意味ではない」とソニービズネットワークスの開発本部 インテグレーション部 クラウドインテグレーション課でリーダーを務める濱田一成氏は指摘する。
「AWSのサービスは形が既にできている。今回のイベントでは『各業態や業種に特化するため』だったり『ユーザー個人がより簡単にサービスを利用できるようにするため」のアップデートにフォーカスされていた」(濱田氏)
濱田氏はその例に「zero-ETL」を挙げた。zero-ETLは、今回のイベントを通してAWSがアピールした同社の今後の組織方針だ。ETLは「Extract」(抽出)、「Transform」(変換)、「Load」(書き出し)を表し、データベースに保存されるデータを分析しやすいように整える作業を簡便にすることを意味する。AWSはETLを無くすことを目指している。
実際にイベントでは「Amazon Aurora」のアップデート版である「Amazon Aurora zero-ETL integration with Amazon Redshift」などが発表された。これはリレーショナルデータベースサービスであるAmazon Auroraに蓄積された大規模なトランザクションデータの分析を、データウェアハウスサービス「Amazon Redshift」(以下、Redshift)を利用してニアリアルタイムで実現するものだ。
この他にも、工数をかけることなくデータを分析フェーズにもっていくことに重きを置いたサービスが多数見られた。
「アナリストやサイエンティストなど、実際にデータを使う人の業務を簡便かつ高速にするサービスをAWSは作っている。データをシームレスにつなげることで、現場の人たちを支援するのが狙いだ」(濱田氏)
日本企業にインパクトのあるサービスは
平山氏は、日本の企業に影響力を持つサービスとして、Amazon Aurora zero-ETL integration with Amazon Redshiftをあげた。その理由として同氏は「データを得ること自体は組織にとってそこまで難しいことではない。一方で、データ分析の前段階である『成形』は多くの組織が困っている。ここをどのように簡便にするかはベンダーとしても課題だった」と話す。
濱田氏も「ML(機械学習)を活用していく中でも、データ処理の簡便化やETL処理の実現は課題の一つだった。AWSが力を入れるデータ処理などのサービスにソニービズネットワークスのサービスを組み合わせることで、より高い価値をユーザーに提供できるようになるのではないか」と期待を寄せた。
インタビューの最後に平山氏は「ソニービズネットワークスの強みの一つはAI(人工知能)だ。そこに、多くのデータを持つAWSのサービスが加わることで、より良いサービスを日本のユーザーに届けられる」と語った。
濱田氏は「基盤としてAWSがあることはソニービズネットワークスとしても強みだ。データ処理などのフェーズはAWSが担い、その上のエンジン部分はソニービズネットワークスが担っている。これらを今後も強化して、ユーザーの進化を支えていく」と話しインタビューを終えた。
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