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マクニカがSAP S/4HANAへの移行を完了 基盤はAzureに

マクニカが基幹業務システムの「SAP S/4HANA」へのマイグレーション(移行)を完了させた。2年がかりの大プロジェクトがスムーズに完了した要因は。

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 マクニカが業務システムの「SAP S/4HANA」へのマイグレーション(移行)を完了させた。2023年1月31日、移行プロジェクトを主導した日立システムズが発表した。6ベンダーが参加て2年がかりで取り組んだ大規模なプロジェクトだ。

業務プロセス標準化、新会計基準対応……マイグレーションの段取りと順番はどう選択したか

 マクニカが同社の成長戦略の実現に向けて、新たな経営システム基盤「次世代システム」の構築プロジェクトを発足させたのは2018年。このとき同社は、幾つかの課題を抱えていた。

 部門最適を推進した結果、表計算ソフトを使った手作業が多くなり、業務効率が低下したこと。2025年のSAP ERPのサポート終了に備えてマイグレーションが必要だが、アドオンが多いため、業務への影響が懸念されること。システム基盤をオンプレミスで構築していたため、柔軟性や拡張性が低くビジネス環境の変化に素早く対応しづらくなっていたことなどだ。

 そこで次世代システムにおいては「2025年に取り扱い量が2倍以上に増えても、生産性を向上させて業務を回せる仕組み」を構築することを目標に設定。2020年から、ERPを中心に次世代システム構築に向けた取り組みに着手した。

 次世代システムの構築に関して、日立システムズは、SAPシステムの改修やSAP S/4HANAへのマイグレーション、クラウドへの移行などの中核業務を担当した。

既存ERP改修で業務効率化を先行、基盤はAzureに切り替え

 マイグレーションは、すぐにSAP S/4HANAにリプレースするのではなく既存システムにおいて最適化を先に進めた。

 まず手掛けたのは既存システムのもとでの業務プロセス改善だ。日立システムズは、マイグレーションに先駆けて既存のSAPシステムを改修し、業務プロセスの改善によるメリットの早期実現を目指した。

 このときの改修でシステム上の300の課題を解決し、業務効率化を図った。例えば「受発注業務の引き当て」プロセスでは1カ月当たり400時間の工数を削減できたという。この過程で「新収益認識基準」などの会計ルール変更への対応などもこなした。

 SAP S/4HANAのマイグレーションではシステムのクラウド基盤に「Microsoft Azure」(Azure)を活用して、これまで数週間かかっていたリソース増強を3〜4日でできるようにし、急増する受注への対応を可能にした。

 マイグレーションに当たっては、入念にアセスメントとリハーサルを実施することで、スムースに遂行できたという。マクニカでは、複雑で大規模なプロジェクトだったが、大きなトラブルもなく予定どおりに稼働開始を迎えられたとしている。

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