セゾン情報がクラウド型iPaaS「HULFT Square」をリリース:大容量データのオンプレミス/マルチクラウド連携にも対応
セゾン情報がクラウド型iPaaS「HULFT Square」をリリースした。基幹系の大容量データのオンプレミス/マルチクラウドの連携にも対応する処理性能と、スモールスタートが可能な価格設定が特徴だ。
2023年2月9日、セゾン情報システムズはiPaaS製品「HULFT Square」を国内向けにリリースした。
HULFT Squareは2022年に「次世代クラウド型データ連携プラットフォーム」として開発を表明していたクラウド型データ連携プラットフォームだ。
リリース前日の8日に開催された記者説明会で、同社社長の葉山 誠氏はHULFT Squareを、「当社データプラットフォーム事業の中核を担うサービスになる」と説明した。1年後のグローバルでのサービスリリースを念頭に、関連商品、サービスを含めて今後4年で500社、100億円の売り上げを目指す。
温室効果ガス情報の収集、タレマネ施策のための連携などの接続ショーケースも
HULFT Squareは同社主力製品である「HULFT 8」と、「DataSpider Servista」をベースに機能をブラッシュアップして、AWSの「Amazon Elastic Kubernetes Service」(EKS)で運用できるようにした他、新たにSaaS型のiPaaSに求められる機能として、アクセス権を管理する「ワークスペース」機能やAPIマネジメントなどの仕組みを盛り込んだ。
日本向けサービスはAWSの国内リージョンから提供される。HULFT Squareは今後、グローバルでのリリースも想定しており、各国法規制対応の準備が整い次第、まずは北米、EUから展開を計画する。
データ連携はノーコード/ローコードで操作でき、13のアイコンのみの操作で1万4000ステップのコーディングを実現する。GDPR(EU一般データ保護規則)やCPRA(カリフォルニア プライバシー権法)をはじめとした各種規制や業界標準への対応も予定している。
今後同社は製品開発を継続するとともに、販売面では顧客やSIパートナー向けの業務課題別のショーケース拡充を進める。
葉山氏はコーポレートガバナンスコード改訂をきっかけに非財務要件の情報開示を重視する企業が増えていることに触れ、「例えば脱炭素に関するデータ収集と分析が求められる。温室効果ガス(GHG)排出量の算出については今後各企業がScope3対応を進める。この時必要になるのが国や地域を超えたデータ連携だ。現在は個々の業務課題に対する固有のサービスは提供していないが今後、専用サービスを提供することも考えている」と説明する。同社取締役の石田誠司氏(事業推進管掌 兼 上席執行役員 DIビジネス統括)も「HULFT Squareで各業界のデータ活用支援に向けて何ができるかを、ショーケースのように見せていく必要があると考えている。『GHG関連情報に使えるコネクター』『タレントマネジメント施策に使えるコネクター』など、組み合わせ例とその成果を積み上げていきたい」と今後の取り組みを説明した。
執行役員の有馬三郎氏(DevOps副統括 兼 NH2024プロジェクト担当)は「ETLツールはさまざまなものがあるが、基幹システムのように大規模なデータを対象にしたときにも業務に支障がないパフォーマンスが出せるかどうかで差が出る。HULFT Squareは、もともとHULFTが備えていた独自機能『マルチストリームコンバーター』(Multi Stream Converter:MSC)『パラレルストリーミング処理』(Parallel Stream Processing:PSP)を使うため、大容量のデータを高速で処理できる。また、取り出したデータから有益なものを取り込み先に書き戻すリバースETL機能も全社でのデータ活用には有効だ」と、優位性を示した。
価格は3種類の「基本プラン」(Basic、Standard、Enterprise)と各種アドオンの組み合わせで決定する。部門単位のスモールスタートを想定するBasicプランであれば月額24万円から利用できる。
同社パートナーSI経由での提供の他、同社自身も導入支援に取り組む。下図の通り、1〜3カ月程度でコンセプトデザインを示すアセスメントも提供する。
なお、同サービス発表のプレスリリースのエンドースメントには、アシスト、AWS、SCSK、NECテクノクロス、NTTPCコミュニケーションズ、大塚商会、ServiceNow、Snowflake、テクノバン、NEC、日立システムズ、Box Japanが名を連ねている。
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