日本貨物航空がプランニングプラットフォームを採用 採算管理をERPから分離:x&PAの実践事例
日本貨物航空は、従来の会計システムではなく新たに専用のツールを使って採算管理の機動力を高める。
日本貨物航空(NCA)は採算管理を会計システムから分離し、ウォルターズ・クルワーの経営管理プラットフォーム「CCH Tagetik」で運用する。導入を担当したTISが2023年3月3日に発表した。
採算管理をERPアドオンから乗り換えて柔軟性を高める
NCAは、日本郵船グループの国際貨物専門航空会社だ。同社は採算管理の一連の業務について2008年からERPに組み込んだアドオンで対応してきたが、近年は事業の多角化などのアクションを素早く実行できないなどの課題があった。
そこでNCAは、CPM(経営管理プラットフォーム)またはBI製品を軸に、約1年間で確実に新システムへ移行させるための具体的な提案をSIer各社に求めた。ここでTISが提案したのが、CCH Tagetikの導入による採算管理機能の再構築だ。経営の多角化を進めるに当たり採算性の評価などを臨機応変に実施できるよう、採算管理機能を独立したシステムとして分離させ、機動性や柔軟性を高める狙いだ。
NCAがCCH Tagetikを採用するに至った決め手は、多機能性と拡張性、直感的なユーザーインターフェースにある。TISがCCH Tagetikを半年で稼働させた実績があることや、プロジェクト推進を同社が担う点なども評価した。
近年、xP&A(拡張プランニングと分析)として、各種業務システムのデータと財務情報を掛け合わせたビジネス判断を目指す動きが注目を集めつつある。
CCH Tagetikは、経営財務管理や業務計画とAI(人工知能)に基づく予測インテリジェンスを結び付けるプランニングプラットフォームと位置付けられており、x&PAを実現するソリューションの一つとみて良いだろう。S&OP(Sales & Operation Planning)や人員計画、資本支出などを含む戦略、財務経営管理、業務計画をカバーする機能を持っており、採算管理機能や製造業における原価計画の財務的な評価などにも利用される。
NCAはCCH Tagetik導入後、従来のシステムでは複数の社内システムから収支計算に必要な情報を収集、整理するのに約15分かかっていたのに対して、新システムでは3分程度に短縮した。その結果として、週次の収支レポート作成時間を約半日短縮でき、定例会議の場で配布していた収支レポートを開催の半日前に事前に参加者に提供できるようになった。各担当者は会議に出席する前にレポートに目を通し、会議の場ではより具体的な対策案を検討できるようになった。
新システムへの移行作業は2021年4月に開始し、予定通り1年後の2022年4月にはCCH Tagetikによる採算管理システムの稼働を開始した。TISによればCCH Tagetikで構築した採算管理システムは、すでに本稼働から半年以上が経過しており、安定稼働を続けている。
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