従業員の6割以上が陥る「スリープワーキング」とは 潜在能力を発揮するために必要な“2つのもの”
Domoの調査で、6割以上の従業員が「スリープワーキング」と呼ばれる、潜在能力を十分に発揮できない状態であることが明らかになった。また、従業員をスリープワーキングに陥らせているのと同じ要因によって1週間当たり65億ドルに相当する生産性が失われていることも判明した。
米調査会社のDomoは2023年3月8日、3000人以上の社会人を対象にした従業員の生産性と戦略的エンゲージメントに関する調査結果を発表した。
6割以上の従業員が潜在能力を発揮できず
同調査は米国(2001人)、英国(500人)、オーストラリアかニュージーランド(500人)のフルタイムで働く18歳以上の成人を対象に2022年8月2〜19日にDomoがオンラインで実施した。調査対象者にはデスクワーカー、非デスクワーカー、管理職が含まれ、性別は等分している。
Domoは同調査を通して「企業データと最新テクノロジーの利用の有無が従業員の業績への貢献度に影響を与えているとの結果が明らかになった」としている。
同調査によると、業務遂行の前提となる「重要なビジネス目標やインサイト」を多くの従業員が「理解していない」現状が明らかになった。「全社的な戦略について知らされていないと感じる」との回答は31%、「戦略的アイデアを得るためのデータを利用する権限がもっとあるといい」との回答は45%に上った。
「毎日の仕事量に対応するための適切な環境が整備されていない」との回答も多く、62%が「より優れたテクノロジーツールがあれば、もっと多くの仕事をこなせる」と回答した。
Domoは、「テクノロジーや戦略的データの不足が従業員を潜在能力を十分に発揮できない『スリープワーキング』状態にしている」と指摘する。今回の調査では、半数以上(58%)の従業員が、過去5年間でテクノロジーに対するニーズが高まっているにもかかわらず、「テクノロジーツールを利用する権限が追い付いていない」と回答した。
「テクノロジーの利用を増やすことで景気後退を乗り切れる」
テクノロジーの利用に組織的に投資することで、個々の従業員のエンパワーメントにとどまらず、コスト削減や離職率の低下も期待できると同社は説明する。
同調査では、回答者の24%が「過去12カ月間の職場の離職率が高かった」と回答した。「テクノロジーツールがもっと必要な職場だった」と回答した従業員は71%に上った。
さらに、「便利なテクノロジーの利用が増えれば、職場でより幸せになれる」との回答は62%、「テクノロジーの利用を増やすことで、景気後退を乗り切ることができる」との回答は58%に及んだ。
同社の試算では、米国内の企業だけでも、従業員に適切なテクノロジーを提供することによって、毎週65億ドル分の貴重な労働時間を取り戻すことができるという。
同社のジョン・メラーCEOは「従業員がスリープワーキング状態の場合、企業は従業員の潜在能力を十分に引き出せていない」とした上で、今回の調査結果について「適切なデータとツールを利用できるようになれば、全従業員がより幸せに仕事し、ビジネスインパクトを与えるマルチプレイヤーになることができ、また、テクノロジーの利用を増やすことで、景気後退を乗り切れることを示している」と分析する。
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