企業のデジタルレジリエンシー向上の鍵は? IDCが提言
IDCの調査によると、国内のセキュリティ市場は2023年以降も年平均成長率7.1%で続伸の見通しだ。IDCは企業が競争力を維持するために重要なデジタルレジエンシ―を向上させるための鍵について提言した。
IDC Japan(以下、IDC)は2023年4月12日、世界のセキュリティ市場の産業分野、企業規模別予測を発表した。
企業のデジタルレジリエンシー向上の鍵は?
IDCはセキュリティに関わるハードウェアやソフトウェア、サービスについて19の産業分野および5の企業規模とコンシューマー市場に対して、国内市場を含むグローバルな支出額を分析した。分析結果は2023年2月に発行した「IDC Worldwide Security Spending Guide」で提供している。
同レポートによると、セキュリティ市場のグローバル市場支出額は、2023年に前年比12.1%増の2190億ドルに達し、国内市場の支出額では前年比7.1%増の9336億円に達する予測だ。
2022年の国内セキュリティ市場は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響を受けて2021年以降に在宅勤務やテレワークが拡大したことでインターネット経由の企業システムへのアクセスが増加し、EDR(Endpoint Detection and Response)を含むエンドポイントセキュリティやID管理市場が拡大した。
これに加えて、企業に対するランサムウェア攻撃やDDoS攻撃などのセキュリティインシデントが数多く報告され、サイバーセキュリティ対策市場が拡大した。
また一般消費者の間でeコマース(電子商取引)やインターネットバンキングの利用が浸透したことで、認証の厳密化やなりすまし防止などの需要が拡大したとIDCはみている。
このような背景がある中で、IDCはセキュリティ市場におけるハードウェアやソフトウェア、サービスに関して、産業分野別および企業規模別にセキュリティがどのように利用されているかを分析した。その結果、国内セキュリティ市場では、以下の産業分野および企業規模で市場規模が拡大していることが分かった。
- コンシューマー:エンドポイントセキュリティ製品、サービスが成長
- 流通/サービス(中堅・中小企業): エンドポイントセキュリティに加えてID管理、データセキュリティ、マネージドセキュリティサービスが成長
- 製造/資源(中堅・中小企業): エンドポイントセキュリティとマネージドセキュリティサービスが成長
- 公共(大企業): マネージドセキュリティサービス、サイバーセキュリティ分析・インテリジェンスが成長
企業、消費者のデジタルシフトに伴うセキュリティリスク拡大への対策や個人情報保護、コンプライアンス対応としてのサイバーセキュリティ対策の需要は今後も継続し、国内セキュリティ市場は2021〜2026年の年間平均成長率(CAGR)7.1%で成長するとIDCは予測している。
企業のデジタルレジリエンシー向上はデジタルトラストの獲得が鍵
IDCの眞鍋 敬氏(Software/Service Solutions グループディレクター)は「デジタルシフトはCOVID-19の感染が拡大した約3年間で急速に進んだ。この結果、サイバーセキュリティリスクが企業だけでなく、個人にも拡大した。企業がデジタルレジリエンシーを向上させ競争力を維持するためには、ビジネスバイヤー、消費者からのデジタルトラストを得る必要がある。サイバーセキュリティ対策はデジタルトラストの基本要件として重要性を増すだろう」とコメントしている。
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