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DXの成功は“デジタルファースト”な企業 NRIが支援する組織のレガシービジネス脱却の道とは(1/2 ページ)

レガシービジネスから脱却し、デジタルファーストな組織になるにはどのような取り組みが必要なのだろうか。DXを成功させたい企業が持つべき意識とは。

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 デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みは組織によってさまざまだ。業務のデジタル化をDXの主軸にする組織もあれば、システムのクラウド化やデータ活用に注力する組織もある。DX推進に違いがあれど、共通して重要なことは「そのDXの先に何を実現するか」だ。DXを成功させるために、組織はどのような考え方を持って取り組むべきなのだろうか。

DXの成功は“デジタルファースト”な企業 NRIが支援する組織のレガシービジネス脱却の道とは

 「私たちにとってのDXは、企業を『デジタルファーストな組織』にすることです。組織は『DXで何かをしよう』と、"手段"としてのDXに意識を持ちがちですが、本来のDXは『デジタルファーストな企業になる』という"目的"だと考えます」


石綿昌平氏

 取材の冒頭、野村総合研究所(以下、NRI)の石綿昌平氏(コンサルティング事業本部 統括部長)は同社におけるDXの捉え方をこのように解説した。近年、デジタルファーストという言葉は珍しいものではなくなっているが、NRIにおけるデジタルファーストな組織とはどのような組織を指すのだろうか。石綿氏によれば、経営面では「非財務指標」、組織面では「自立・分散」、IT面だと「データ」が重要になるという。

 同氏は「デジタルファーストの反対ともいうべき組織やビジネスをレガシービジネスとする」とした上で、以下のように解説した。

 レガシービジネスでは、経営層は財務指標の数字にフォーカスする一方、デジタルファーストな企業は『ビジネスの目的を示す指標』を中心に非財務指標を重要視する。そこにはカスタマーエクスペリエンスや顧客満足度、カーボンニュートラルの排出量などをはじめとするさまざまな要素があり、財務指標はこれらの結果として現れるものだ。

 「データで多くのことを表現できるようになっているからこそ、『どのように顧客満足度を上げるのか』『CO2を以下に減らすか』などに注目が集まっています。企業はこのような非財務データをより重要視しなければなりません」(石綿氏)

 このような取り組みを進めるには、それを可能にする組織体制が欠かせず、そこで効果的なのが自立・分散な組織だ。データや情報を組織で共有し、プロジェクトごとにメンバーが変わるような仕組みが求められている。

 「デジタルファーストな企業はこれらに取り組んでいく中で、結果的に財務指標も伸ばしていきます。それを実現するのがDXであり、NRIが目指すものです」(石綿氏)

 理屈で分かっても実際に組織を変化させることは簡単ではない。石綿氏は「まだ事例は多くはないが」とした上で、Adobeや仏電機メーカーのシュナイダー、リクルートホールディングスといった企業を成功例として挙げた。

 「どの先進的な企業も5〜10年をかけてこのDXを推進しました。変革にはさまざまな制約があり、一朝一夕にできるものではなく、事例が増えていないのが現実です」(石綿氏)

 時間がかかることはもちろんだが、それ以外に事例が増えない原因として、石綿氏は「データの蓄積」「組織変革」を挙げた。デジタルファーストな企業は、すぐに財務指標に数字として表れる取り組みよりも、中長期でユーザーに好まれる取り組みを重要視する。この場合、プロジェクト始動から結果が出るまでにおおよそ2年かかる場合が多く、株式会社であれば収益増加を目指す投資家からの反対を抑えられないケースもある。

 組織変革も、それまで中央集権的な組織体制で運営してきた企業にとってこの変化は簡単ではない。組織変更に伴って役職が無くなるケースなどもあり、これらを乗り越えて組織を変革するには組織をけん引する「強固なリーダーシップ」が欠かせない。

 これらの取り組みを支援するためにNRIが提供するサービスが「UniDox」だ。

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