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Microsoftが矢継ぎ早にAIサービスを発表 Security Copilotは何を目指すのか(1/2 ページ)

Microsoftは副操縦士のように企業のセキュリティ対策を支援する「Microsoft Security Copilot」を発表した。AI搭載のサービスが次々に登場する中、同サービスは何を実現するのだろうか。

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 日本マイクロソフトは2023年4月20日、AI(人工知能)をサイバーディフェンスに適用する「Microsoft Security Copilot」(以下、Security Copilot)について説明会を実施した。

Microsoftが矢継ぎ早にAIサービスを発表 Security Copilotは何を目指すのか

 Security CopilotはMicrosoftが2023年3月28日(現地時間)に開催した「Microsoft Secure」で発表され、最先端のジェネレーティブAIであるOpenAIの「GPT-4」を利用している。Microsoft独自のセキュリティに関する専門知識にグローバルな脅威インテリジェンスを組み合わせ、安全に利用できるサイバー空間の構築を支援する。

 Microsoft SecureでSecurity Copilotの発表を行った同社のバス・ジャッカル氏(Microsoft Security コーポレートバイスプレジデント)は、「サイバー空間をAIで保護し、安全な世界を創造するという使命を実現できる。Security Copilotはセキュリティ分野におけるゲームチェンジャーになると期待している」と自信をみせた。

 Security CopilotはMicrosoftが推進するAI戦略の一環だ。

 MicrosoftでCEO(最高経営責任者)を務めるサティア・ナデラ氏は、2023年1月に「全てのMicrosoft製品およびソリューションにAIを組み込む」と宣言しており、「Azure Open AI Service」「Teams Premium」の提供開始や「Microsoft Viva Sales」へのGPT-3モデルの搭載、GPT-4を活用した新たな「Bing」などを発表している。

 また、「Microsoft Dynamics 365 Copilot」や「Microsoft 365 Copilot」「GitHub Copilot」といったMicrosoft Copilotシリーズも発表しており、3月に発表したSecurity Copilotはこれらに続くものだ。


河野省二氏

 同社はSecurity Copilotのプライベートプレビュー版を提供する予定で、詳細については順次発表されるという。今回、日本で初めてSecurity Copilotの説明を行った日本マイクロソフトの河野省二氏(技術統括室 チーフセキュリティオフィサー)は、「Security Copilotはセキュリティのための賢いインタフェースだ。『情報セキュリティ担当者が少なく、トラブルが発生しても相談できない』といった課題を抱える企業も、Security Copilotがセキュリティ業務のパートナーとしていつでも必要な回答や情報を提供する。また、セキュリティの運用に関する相談や文書作成を支援するアシスタントの役割も担う」と語る。

 Security Copilotは「インシデント対応」「脅威ハンティング」「報告書の自動作成」の3つの役割を担う。「インシデント対応」では、企業内で進行している攻撃を特定し、その規模や影響の評価やセキュリティインシデントによって実証された戦術に基づく対応方法を提案する。

 河野氏は「Security Copilotに『攻撃が進行中なのか』『対策は進んでいるのか』などを自然言語で質問して攻撃の状況を把握できる。経験が少ないセキュリティエンジニアは質問するだけでどのような対策が必要なのかを理解できる」と解説した。

 「脅威ハンティング」は、既知の脆弱(ぜいじゃく)性の影響を受けやすい状況にあるかどうかを確認し、さらに侵害の痕跡がないかどうかも調査できる。

 「『Bing Chat』で質問を繰り返せば、回答の絞り込みや深堀りが可能だ。それと同じようにSecurity Copilotでも、自然言語での対話を経て絞り込みを行い、欲しい情報を得られる。セキュリティ担当者から『ダッシュボードを使っても本当に知りたい情報にたどり着けない』という声を聞く。その理由が『欲しい情報を得るためのクエリがうまく書けない』という点にある。Security Copilotはこうした課題を解決する」(河野氏)

 「報告書の自動作成」では、イベントやインシデント、脅威の状況をわずか数分で要約し、最適な形にカスタマイズした報告書を作成する。

 「『Microsoft PowerPoint』『Microsoft Word』など、指定したアプリにあわせて報告書を作成し、経営者など、セキュリティに関する専門知識のない人にも分かりやすいレポートを作成できる。被害額の算定やサービス停止による影響なども報告書に盛り込める」(河野氏)

 こうしたSecurity Copilotの機能は、セキュリティエンジニアをどのように支援するのだろうか。

 「トラブルが発生した際、セキュリティ初学者は必要な対応や影響範囲を推察できない。Security Copilotは既に解決している事例に基づいて、対策方法の提案などを行う。また、セキュリティ専門家もより深い知見を得るためのツールとして活用できる」(河野氏)


図1 Microsoft Security Copilotの概要(出典:日本マイクロソフト提供資料)
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