ガイドライン準拠のサプライチェーン間データ連携基盤プロトタイプを開発 NRI
カーボンフットプリント算定や取引に当たってのデューデリジェンスに必要な情報を連携する動きが各国で進んでいる。NRIは経済産業省とIPAによるガイドラインに則したプロトタイプを開発し、そのノウハウを企業向けに提供する。
野村総合研究所(以下、NRI)は2023年7月11日、サプライチェーンデータ連携基盤のプロトタイプを発表した。経済産業省および情報処理推進機構(IPA)デジタルアーキテクチャ・デザインセンター(以下DADC)が発行した「サプライチェーン上のデータ連携の仕組みに関するガイドラインα版1」(ガイドラインα版)を踏まえて開発されている。今後もガイドラインのアップデートに即してプロトタイプを更新する。
カーボントレーシング、デューデリジェンスへの対応ノウハウを提供
カーボンフットプリントを含むサプライチェーンでのデータ連携は、経済産業省が進める「デジタルライフライン全国統合整備計画」のうち、「人流・物流」「商流・金流」におけるサイバー/フィジカル空間の融合を目指す「Ouranos Ecosystem」の一環としてDADCなどが整備を進めている。現在世界各国・地域で同様のデータ連携基盤の検討が進んでおり、日本版のサプライチェーンデータ連携基盤も各国・地域のシステムとの連携を想定する。ガイドラインのスコープは下図の通りだ。
今回NRIが発表したサプライチェーンデータ連携基盤のプロトタイプは、NRIが開発した温室効果ガスの排出を追跡するカーボントレーシングシステム「NRI-CTS」のアクセスコントロール機能やトレーサビリティ機能を拡張し、他の国際標準に準拠したソリューションをつなげてトレーサビリティを実現するものだ。NRI-CTSは、タイ、中国などの日本企業のサプライチェーン網が広がる海外での展開を予定しており、同プロトタイプもNRI-CTSが展開する地域に適用させる計画がある。
NRIは今回の開発経験を踏まえ、自社でカーボンフットプリント算定・デューデリジェンスアプリケーションを開発する企業に情報提供を行うとしている。
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