A2A決済とは 手数料高騰のクレカ払いから加盟店を救うか:Payments Dive
クレジットカード決済の手数料高騰に悩む加盟店は多い。「A2A決済」は加盟店の悩みを解消する手立てとなるだろうか。
決済代行会社のFidelity National Information Services(以下、FIS)の一部門であるWorldpayは2023年6月6日、英ロンドンに拠点を置くオープンバンキングプロバイダーのVoltと提携すると発表した。
この提携により、Worldpayの加盟店顧客は消費者からのA2A決済を受けられるようになる(注1)。
A2A決済とは WorldpayはVoltに注目のワケ
A2A決済とは「Acount to Acount」の略で、銀行口座直接引き落とし型の決済サービスを指す。
Worldpayのスデフ・バラクリシュナン氏(CPO《最高製品責任者》)はVoltと提携することに関して「われわれは加盟店に銀行間決済の機会を提供できる。加盟店はA2A決済を採用することで、市場成長を自社の成長に利用できる可能性がある」と話した。
今回の提携の背景には、クレジットカードの手数料高騰に悩む加盟店の存在がある。FISはプレスリリースで「Voltが提供する機能は加盟店の決済コストを削減し、より迅速な資金決済を実現する可能性がある」と述べた。
Worldpayが2023年に発表したグローバルペイメントレポートによると、eコマース(電子商取引)におけるA2A決済の金額は2022年に約5250億ドルとなった。この数字は2026年まで毎年13%増加すると予想される。A2A決済は2026年までに電子商取引決済市場の10%を占め、これは世界の全オンライン決済の約7570億ドルに相当するとWorldpayは主張する。
Forrester Researchは「クレジット支払いの手数料の高さへの不満から、加盟店が銀行ベースの決済を奨励または促進する可能性がある」と予測している(注2)。また、同社は「Voltがデビットカード取引をA2A決済に変える製品『transformer』を準備している」と指摘した。
Voltの創業者兼CEO(最高経営責任者)であるトム・グリーンウッド氏は「リアルタイムのA2A決済は世界中で急成長している。このパートナーシップでユーザー体験が向上し、取引を促進するソリューションを提供することは加盟店の成長につながる」と述べた。
Worldpayは2023年5月、後払い決済業者のAffirmとの提携も発表し、同社の分割払いオプションをWorldpayのクライアントが利用できるようにした(注3)。
FISは2019年にWorldpayを買収した。米フロリダ州ジャクソンビルに本社を置くFISは2023年初め、Worldpayを分離独立させ、2つの別々の上場企業を設立する計画を発表している(注4)。
(注1)Worldpay from FIS teams up with Volt to Bring Power of Open Banking to Merchants(FIS Global)
(注2)6 payments takeaways from big consulting firms(Payments Dive)
(注3)Worldpay taps Affirm for BNPL(Payments Dive)
(注4)FIS plans to spin off merchant unit(Payments Dive)
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