「日常型AI」は働き方をどう変える? ガートナーが2023年版デジタルワークプレースイノベーションの「ハイプ・サイクル」を発表
ガートナーによると、国内ではデジタルワークプレース変革を支えるテクノロジーとして「生成AI」や「リアルタイム音声翻訳サービス」が「過度な期待」のピーク期に入り、黎明(れいめい)期に浮上した「日常型AI」「DEX」などが注目を集めている。これらのテクノロジーを取り入れることでわれわれの働き方はどう変わるのか。
ガートナージャパン(以下、ガートナー)は、「日本におけるデジタルワークプレースイノベーションのハイプ・サイクル:2023年」を発表した。
「日常型AI」「DEX」って何? 注目されるテクノロジー
デジタルワークプレースとは、いつでもどこでも柔軟に働き、テクノロジーで仕事の質や生産性、俊敏性を高めるデジタルな仕事空間を指す。デジタルワークプレースは、単なるデジタル化とは異なり、人や組織の在り方も含めた企業の成長戦略の一環として実現される。
2023年版のハイプ・サイクルでは、働き方を広く捉え、未来の働き方に向けて、ワークプレースにイノベーションを起こす革新的なテクノロジーやトレンドが取り上げられている。
デジタルワークプレースイノベーションに関するテクノロジーやトレンドには、成熟するまでに5〜10年を要するものもあるが、「生成AI」「リアルタイム音声翻訳サービス」「日常型AI」(注1)、「DEX(デジタル従業員エクスペリエンス)ツール」「空間コンピューティング」など、2〜5年で成熟するテクノロジーも多い。ガートナーは、デジタルワークプレースの変革に合わせて、こうしたテクノロジーやトレンドの重要性が認識され、進化のスピードが増すと予測する。
デジタルワークプレースのトレンドについて、ガートナーの針生恵理氏(ディレクター、アナリスト)は「多くの企業で、ハイブリッドワークを受け入れつつ、さらに進んだ未来の働き方を再考する機会が到来している。今後、企業はデジタルワークプレース戦略の中で、柔軟なワークスタイルを実現し、革新的なテクノロジーを取り入れながら、従業員エクスペリエンスを向上させるソリューションに焦点を当て、ロードマップを作成する必要がある。リアルとバーチャルは今後さらに融合し、フルデジタルな世界となる。ワークプレースはリアルとバーチャルの別なく、従業員がより大事にされ、元気になり、活躍できる環境を構築していくことが重要になる」と分析する。
今後のデジタルワークプレース環境については「テクノロジーによるワークプレースの近代化に加え、人や組織、新たな働き方、DX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みにこれまで以上にフォーカスする必要性が増している」と指摘した。
(注1)日常型AIとは、従業員が日常的に使う文書作成やコラボレーションツールなどにAI機能が組み込まれることを指す。
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