Splunkの“中の人”が語る、Cisco製品とのシナジーと買収の意義
2023年9月にCiscoによるSplunkの買収が発表された。株式価値において約280億ドルに相当する。これによってCiscoとSplunkでどのようなシナジーが生まれるのか。Splunkシニア・バイス・プレジデントが語った。
Cisco Systems(以下、Cisco)が2023年9月に発表したSplunkの買収は、株式価値において約280億ドルに相当する大規模なものだ。この買収によって、SIEM(Security Information and Event Management)およびオブザーバビリティ(可観測性)製品市場には大きな影響が生じると思われる。ではこの買収について“中の人”はどう感じているのか。
Splunkの“中の人”が考えるCisco製品とのシナジーとは?
Splunkのトム・ケーシー氏(SVPプロダクト&テクノロジー担当ジェネラルマネージャー)は「実際の買収は株主からの合意や規制当局からの承認が必要になる。それらが完了するのは2024年の第3四半期ごろになる見込みだ。これらが正式に完了するまでは、描いてきたロードマップを顧客の期待に応えるために継続的に提供していくことに変わりはない」と話す。
Ciscoは今回の買収によって、企業が取り組んでいる「脅威の検出と対応」フェーズから「脅威の予測と予防」への移行を支援すると説明している。だがこの買収に否定的なSplunkユーザーもいることだろう。CiscoとSplunkが一緒になることでどのようなシナジーが生まれるのか。
ケーシー氏は「CiscoとSplunkがそれぞれ持っているテクノロジーは、お互いを補い合う要素が非常に強いと考えている。例えばSplunkのSIEMとCiscoのXDR(Extended Detection and Response)は相性が良い。脅威の検出とそのレスポンスに対して有効だとみている」と述べる。
「両製品のシナジーによって、ネットワークやインフラ、アプリケーションなどを含む顧客の運用環境においてかつてないほど大きいインサイトを獲得できるようになるはずだ。Ciscoのグローバルなリソースを活用できるという意味で、この買収は個人的にも顧客にとっても非常にいい機会だと思う」(ケーシー氏)
近年のセキュリティ業界ではベスト・オブ・ブリードで製品を取り入れるというよりは製品ベンダーを絞る傾向がある。CiscoとしてはSplunk製品を含めて複数の製品を統合してワンストップソリューションとして提供する狙いがあるのだろうか。
ケーシー氏はこの質問に対して「先述したように株主との合意や規制当局の承認が完了してようやく合併になる。これからインテグレーションの計画を立てていくため、そういったことを言うのは時期尚早だ。しかし一言いえるとすれば、全ての意思決定は顧客のためにあり、顧客によって導かれる。セキュリティとオブザーバービリティの専門家である彼らの考えていることが道しるべになるだろう。Splunkの非常に良いところはユーザーコミュニティーの非常に強力な熱意だ」とコメントした。
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