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広がるオープンバンキングへの期待 消費者と金融機関に与える影響Payments Dive

オープンバンキングは「消費者の権利強化」を中心に語られることが多いが、金融機関にとってのメリットも見逃してはならない。それぞれへの影響とは。

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 米国の金融セクターはテクノロジーの進化や消費者ニーズの変化、規制強化などによって“進化の時期”を迎えている。

 FinTech企業のAtomicは、米消費者金融保護局(以下、CFPB)を「よりオープンな銀行システムを推進している」として高く評価している。同社は消費者体験を向上させるという目標に賛同する一方で、金融機関が新しい時代の銀行業務を形成する上で極めて重要な役割を担っていると認識している。

本稿はAtomicで製品責任者を務めるアンドレア・マートン氏へのインタビューに基づいて執筆された。

「消費者への新たな価値提供」と「金融機関の進化」を実現?

 ロヒト・チョプラ長官率いるCFPBは2023年6月、オープンバンキングを明確に支持する声明を出し世間で波紋を呼んだ。これは単なる政策変更ではなく“イノベーションの呼びかけ”だった。チョプラ氏は金融機関に対して「適応」「革新」することに加え、最も重要なこととして「消費者のニーズ」に焦点を当てるよう求めた。

 金融機関にとってオープンバンキングは何を意味するのだろうか。オープンバンキングは「消費者の権利強化」といった側面で語られることも多いが、金融機関にとってのメリットも見逃せない。

 オープンバンキングは消費者だけでなく、金融機関の業務優位性にもつながる。オープンバンキングというフレームワークは「透明性」と「相互運用性」を備え、金融機関は顧客の金融行動や嗜好を深く掘り下げる絶好の機会になる。これによって得られる情報を活用することで、金融機関はよりパーソナライズされた付加価値の高いサービスを提供し、既存顧客の維持や新規顧客の獲得につなげられる。

 メリットはこれだけではない。オープンバンキングは伝統的な金融機関にFinTech企業と共生的なパートナーシップを実現するための「肥沃な土壌」を提供する。伝統的な金融機関とFinTech企業が提携を強めれば収益の原動力や技術的進歩が促進されるだろう。これは画期的な商品の共同開発を可能にすることはもちろん、テクノロジープラットフォームやデータ分析能力の共有を通じて業務効率化を推進することも意味する。

 銀行業務のデジタル化が進み、「口座の優位性」「顧客優位性」という概念は大きく変化している。消費者が単に金融ニーズを満たすために1つの銀行を選んでいた時代は終わり、今日の消費者は複数の金融機関やネオバンクを利用して金融ポートフォリオを構築している。

 今注目されているのは「どの金融機関が消費者の金融生活全体の中枢を担う特権を握るか」ということだ。こうした転換は口座の優位性を維持するための顧客体験とイノベーションの重要性を強調している。

 消費者がより多くの価値を見つけ、金融機関が新たな成長の機会を見いだすことで、金融システム全体がより透明で公平な未来へと向かうだろう。

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