システム障害による企業の損失は? 1時間当たり100万ドルに上るケースも:CIO Dive
New Relicによると、基幹業務システムの障害により、企業は毎年800万ドル近い損害を被っているという結果が明らかになった。
2023年10月10日(現地時間)に発表されたNew Relicの「Observability Forecastレポート」によると、ビジネスへの影響が大きなシステム障害によって発生するコストの中央値は775万ドルだったという。Enterprise Technology Researchは、New Relicに代わって1700人の技術専門家を対象に調査を実施した(注1)。
調査によると、技術者の5人中3人以上が、システム障害が起こった際に発生する1時間当たりのコストとして少なくとも10万ドル、3分の1が50万ドルかかると回答し、そして5社中1社の企業は100万ドルのコストを負担しているようだ。
システム障害で生まれる損失は大きい 関連支出が7億ドル超えの企業も
ビジネスへの影響が大きいシステム障害では、技術者のうち5人中3人が解決に30分以上を要すると回答している。3分の1の企業では、解決に1時間以上かかるという。
現代の企業は決済処理や物流からスタッフ管理に至るまで、機能全般をデジタルシステムに大きく依存している。日常業務に支障を来すようなシステム障害は、どのCIO(最高情報責任者)にとっても即座に優先課題となる。
New Relicのチーフストラテジー&デザインオフィサーであるピーター・ペザリス氏は「システム障害による財務上の打撃は通常、収益の損失につながる」と語る。
「eコマースサイトを開発している場合、Webサイトが利用できない1時間ごとに注文を受けられないため、その期間の収益を追跡できない」と同氏は言う。
システム障害が中核業務に影響を及ぼすと、大企業の損失はあっという間に膨れ上がり、その額は数千万ドルから数億ドルに達する。
Southwest Airlinesがその一例だ。2022年12月、デジタルシステムに障害が発生し、同社は休暇期間中に1万7000便以上のフライトをキャンセルしたことで、関連する支出は7億2500万ドル以上にも上った(注2)。
その対応策として、同社は50億ドルを投じて5年間の変革プロジェクトを立ち上げ、乗務員のエンゲージメントテクノロジーや乗務員回復システムなど、複数のIT資産を開発した。
(注1)State of observability(New Relic)
(注2)Southwest Airlines commits $1B to IT upgrades(CIO Dive)
関連記事
- 徳丸 浩氏に聞いてみた 「なぜサイバーセキュリティ人材は足りないの?」
サイバーセキュリティ人材はなぜ不足しているのか。企業は素養がある人材をどのように見極めて、獲得に向けて何をすればいいのか。徳丸 浩氏がこの難問に答えた。 - フィッシングの流行手法から考える “全員参加”のセキュリティ対策
個人を狙うランサムウェア攻撃は一時期と比べて減少し、攻撃の主軸はフィッシングへとシフトしています。高度化する詐欺に私たちはどう対抗すればいいのでしょうか。 - セキュリティ担当者はCISOを目指せ 調査から“もうかる”職業だと判明
IANSの調査によると、サイバーセキュリティリーダーの半数以上が40万ドルの報酬を得ている。 - 企業よ、ランサムウェア対策の前に“サイバーセキュリティ負債”を解消せよ
ランサムウェア攻撃が激化する中、これに向けた対策は企業の喫緊の課題だ。しかし企業が抱えている「サイバーセキュリティ負債」がこの課題の解決を阻んでいるという。
© Industry Dive. All rights reserved.