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“オープンなAI”実現に残る課題 なかなか標準化が進まない背景とはCIO Dive

IntelをはじめとしたLinux Foundationのグループは、企業向けオープンソースAIの標準化を目指したプロジェクトを進行中だ。リスクやデメリットが不透明なまま広まっているオープンソースAIの安全性が今問われる。

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CIO Dive

 2024年4月16日(現地時間)、AI and Data Foundationは企業向けオープンソースAIの標準化を目指し、最新のサンドボックス構築プロジェクトを進行中だと発表した(注1)。

企業のAI戦略を推進するオープンソースAIに潜むリスク

 「Open Platform for Enterprise AI」(OPEA)と名付けられたこのプロジェクトの目標は、アーキテクチャの設計図やフレームワーク、評価基準を作成することであり、これにより企業は生成AIシステムのパフォーマンスや機能、信頼性、企業レベルでの即応性を評価できる。

 VMwareやIntel、Red Hat、Hugging FaceがOPEAのリーダーを務めており、関心のある他の組織や個人も同プロジェクトに参加できる(注2)。

 オープンソース技術は企業向けの分野では試行錯誤が繰り返されているが、新しい技術であるAIの分野では、企業にとっての価値とリスクが明確になっていない(注3)。

 オープンモデルは、開発者が過去の経験を基に構築、技術への適応を担うため、企業の予算を圧迫せず、生成AI戦略を模索し構築する機会を提供する可能性があると、Gartnerのチラグ・デカテ氏(バイスプレジデントアナリスト)は2024年2月に「CIO Dive」に語った(注4)。

 しかし同氏は潜在的な訴訟リスクがあるため、社外向けのアプリケーションでオープンモデルを使用することを考えているCIO(最高情報責任者)に注意を促した。

 Googleの「Gemma」やMetaの「Llama 2」のようなオープンモデルは、CIOが一から構築するのにかかる時間とリソースを節約できる(注5)。しかし、デメリットはまだほとんど定義されておらず、法的な問題に焦点が当てられている。

 Red Hatのエリック・アーランドソン氏(新興技術担当シニアプリンシパル・ソフトウェア・エンジニア)は2023年11月、「CIO Dive」の取材に対して「オープンソースの定義やその意味に関しては20年以上にわたって法的な知識やライセンスが十分に整備されている一方で、残念なことにこうした新しい基盤モデルについてはあまり整備されていない」と語った(注6)。

 ベンダーがモデルの仕組みを明らかにしていないため、情報不足による混乱が起こり、それを解消するために企業は努力するが空回りしている。

 オープンソースの生成AIはすでに規制当局の注目を集めている。米国商務省国家電気通信情報局(NTIA)は2024年2月に、オープンウェイトモデルに関して30日間にわたって公開コメントを求めた(注7)。同局は公聴会や直接的な働きかけも含めたこの調査結果を今後の報告書に反映させ、政策提言を行い、リスクと利益を概説する予定だ。

 「これは二者択一の問題ではないことは、専門家にとっても明らかだ」と、NTIAのアラン・デビッドソン氏(通信・情報担当商務次官補兼長官)は2024年2月に語っている。

 「開放性にはさまざまな段階がある。それは、われわれが前進し、技術革新と安全の促進に向けた解決策を見いだそうとする中で探求されるものだ」(デビッドソン氏)

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