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2度目のトランプ政権、IT関連政策はどう変わる? 企業が注目すべき「4つのトピック」CIO Dive

「またトラ」で何が変わるのか。米政権のテクノロジーに関わる政策の変更は、日本企業にも大きな影響を与える可能性がある。AIをはじめとする4つのトピックをチェックしよう。

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CIO Dive

 2024年11月6日(現地時間)、ドナルド・トランプ前米大統領は激しい選挙戦の末に、ホワイトハウスに戻ることとなった。

 共和党のトランプ次期大統領とバンス次期副大統領はテクノロジー規制に関して詳細には触れていないが、ジョー・バイデン大統領のAIに関する大統領令を撤回することを公約に掲げていた(注1)。また、米国内の半導体製造に対する資金援助も批判した。

 アナリストらは、「トランプ次期政権はテクノロジー分野も含めて全体的にビジネス規制を緩和する姿勢を示すだろう」と予想している。企業は、主要な政策分野におけるトランプ次期大統領の動きをチェックし、その変化が自社の戦略にどのような影響を及ぼすかに注目する必要がある。

2度目のトランプ政権で何が変わる?

 本稿では、トランプ次期政権で注目すべき4つのテクノロジーに関するトピックを紹介する。

1.クラウド市場の監視

 バイデン政権が指名したリナ・カーン氏が委員長を務めるFTC(米連邦取引委員会)は2023年3月、クラウド市場おける競争を阻害する慣行やセキュリティ格差に関する調査を開始した。この調査は現在も継続している(注2)。

 米国では、連邦政府の各省の長官をはじめとする最上級管理職は、大統領の任命によって政治任用される。トランプ氏の大統領就任後は、FTCのような政府機関の上層部が入れ替わることが予想されており、調査の先行きは不透明だ(注3)。

 トランプ氏の選挙運動の有力な支持者であり、主要な献金者でもあるTeslaのイーロン・マスク氏(CEO)は2024年10月第5週、 「カーン氏は間もなく解任されるだろう」と述べた。トランプ氏はマスク氏に政権で正式な役割を与えると述べている。

2.AIの監視

 2023年10月、バイデン大統領はAIとその開発に関する大統領令を発令し、AIに取り組む企業に対する明確な指針を設けた(注4)。

 同大統領令は、政府機関にAIモデル開発のガイドラインを作成することを課し、政府がAIを導入するための明確な枠組みの設定を求めたものだ。しかし、トランプ氏はテクノロジー監視に関する具体的政策の一つとして、同大統領令の廃止を掲げている(注5)。

 同氏の政策文書には、「AIのイノベーションを妨げ、AI開発に急進的な左翼思想を押し付けるジョー・バイデン氏による危険な大統領令を撤廃する。(トランプ氏が所属する)共和党は、言論の自由と人間の繁栄に根差したAI開発を支持する」と記されている。

3.サイバーセキュリティ政策

 トランプ氏のサイバーセキュリティ関連の優先事項を見極めようとする企業の経営幹部には、前回の任期で実行された政策が参考になるだろう(注6)。

 2017年、トランプ氏は政府のIT全体の広範なモダナイゼーションを求める大統領令を制定し、サイバーセキュリティへの懸念を指摘した(注7)。2018年、トランプ政権は15年ぶりになる国家サイバーセキュリティ戦略を発表し、悪意のあるサイバー行為により積極的に対応する方針を打ち出した。

 トランプ次期政権は政策要綱の中で、悪意のあるサイバー行為者から重要インフラと産業基盤を守るためにあらゆる手段を駆使することを約束している。

 「これは国家的な優先事項であり、われわれは重要なシステムやネットワークのセキュリティ基準を引き上げると同時に、悪意ある行為者からそれらを守る」と政策文書には記載されている。

4.CHIPSと科学法

 2022年8月に制定されたバイデン政権の「CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)」によって、米国内の半導体製造に330億ドル以上が投入された。

 トランプ氏は選挙前の公の場で同法案を批判し、(自分であれば)代わりに外国企業にかける関税を使って米国の製造業を活性化させると示唆した(注8)。

 トランプ氏の政策文書では、米国の製造業の雇用を「経済的優先事項」として強調している。しかし、CHIPSおよび科学法を通じて割り当てられた半導体製造への資金援助の撤廃に関しては明確に言及していない。バイデン政権の戦略が変更されれば、半導体の供給、ひいてはサーバやノートPCといった重要なIT製品の価格にも影響を与える可能性がある。

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