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お宅のデータは大丈夫? AI時代に差別化するための10の質問CIO Dive

企業にとって、データ戦略を磨き上げることは極めて重要だ。アナリストやテクノロジーリーダーたちは、前進する前に検討すべき重要な問いがあると指摘した。

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CIO Dive

 成長のために人間が適切な食事を必要とするように、AIにも良質なデータが必要だ。誤った種類のデータや不適切なデータ管理は、プロジェクト開始前から企業のAI戦略を頓挫させる可能性がある。

AIデータの準備状況を見極めるための10の質問

 CIO(最高情報責任者)とその他の経営幹部は、AIに関する取り組みを進めなければならないというプレッシャーを感じているが、まずは自社のデータ戦略の強靭さと確実性を評価する必要がある。

 調査企業であるGartnerのロクサーヌ・エジャリ氏(シニアディレクターアナリスト)は「CIO Dive」に次のように語った。

 「企業は生成AIをそのまま使うことも、自社向けにLLMをトレーニングすることもできる。どの状況においても唯一の差別化要素となるのがデータだ。最大限の差別化を図るためには、データ整備を確実なものにしなければならない」

 テクノロジーリーダーや市場アナリストたちは、CIOとその企業が望む成果を得るために、戦略の適切さを確認する目的で一連の質問を自らに問いかけるよう提案している。

  1. 何を達成したいのか。それはビジネス目標とどのように結び付いているのか
  2. 自社におけるデータの所在をどの程度把握しているか
  3. データをどの程度オープンにするのか
  4. データにどのようにアクセスするのか
  5. 現在、データはどのように整理されているのか
  6. データは何に基づくのか
  7. プライバシーとセキュリティをどのように確保するのか
  8. データの品質をどのように測定するのか
  9. データのクリーンアップを担当するのは誰か
  10. 成功はどのようにモニタリングされるのか

 組織にとって、データ戦略を十分な水準に引き上げることは非常に重要な課題となっている。

 不十分なデータ基盤は、パフォーマンスや成果の低下につながる。ITコンサルティング企業であるSoftServeのレポートによると(注1)、意思決定者のおよそ3分の2は、データの収集方法やアクセス方法を理解しているメンバーが社内にいないと考えている。また、ビジネスリーダーの5分の3以上が「不正確なデータまたは一貫性のないデータに基づいて重要な意思決定が行われている」と回答している。

 データ管理ソリューションを提供するSemarchyのレポートによると、不十分なデータ管理は目標達成を妨げるだけでなく、信頼を損ない、コストの増大も招くという(注2)。データの問題を解決せずに前進しようとする組織は、苦しみを長引かせるだけだ。

 ベンダーは企業のデータ戦略を整理および改善するための支援を開始している。アーリーステージの企業に投資するSierra Venturesのティム・グレリ氏(マネージングパートナー)によると、大手ベンダーはAIスタートアップとの提携を模索し、企業顧客を引き付けようとしているようだ。

 大手ベンダーは流通網や既存の顧客基盤を持っているが、イノベーションの面でスタートアップに追いつけないことが多い。一方スタートアップは、技術革新の最前線にいるが、企業の信頼を得るためにより多くの努力をしなければならない。こうした両者の提携は、今後ますます一般的になっていくだろう。

 「これこそが大企業が求めているリスク軽減策である」(グレリ氏)

 しかし、誰の支援を受けるにしても、データ戦略を正しい方向に導くことは容易ではない。

 オンライン旅行プラットフォームを運営するExpedia GroupでデータおよびAIの領域を担当するシーイー・ピクレル氏(シニアバイスプレジデント)は「CIO Dive」に対して「データの品質および基盤、接続性を適切に管理するための近道は存在しない」と語った。VrboおよびOrbitz、Travelocityなどを運営する同社は、これら異なるブランドのデータレイクや資産を統合するために多大な労力を費やしてきた。

 「データを統合するために、私たちは大変な作業を乗り越えてきた。地道で華やかさのない作業を最初に徹底して行い、まずはデータを接続する。その後、データの品質と可用性を高めることで、生成AIやLLMモデルといった最新技術を真に活用できるようになったのだ」(ピクレル氏)

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