「あと3年は人間の仕事がある」 ガートナーが示す「AIで無人化しようとした企業」の顛末:AIニュースピックアップ
ガートナーは、フォーチュン500企業の各社が2028年までに人間によるカスタマーサービスを完全には廃止しないとの予測を発表した。
調査会社Gartnerは2025年9月22日(現地時間、以下同)、AIや業務自動化が進展する中でも、人間のカスタマーサービスは不可欠であり続けるとの見解を示した。
カスタマーサービスを“AIで完全無人化”は困難?
同社の予測によると、米ビジネス誌『Fortune』が発表する企業ランキング「Fortune 500」に掲載されている企業のうち、2028年までに「完全に人間のカスタマーサービスを廃止する企業」は0%だという。この予測はどのような考えに基づいているのだろうか。
AIや業務自動化の進展が目覚ましい中で、「人間によるカスタマーサービス」が提供する価値とは何か。
「AIと自動化はカスタマーサービスに変革をもたらしている。しかし、複雑な状況への対応や長期的な関係構築において、AIが人間のエージェントを代替することはできない」。Gartnerのキャシー・ロス氏(カスタマーサービス、サポート部門のシニアディレクターアナリスト)は、カスタマーサービスにおける人間の重要性をこう説明する。さらに、「成功する企業は、テクノロジーと人間の接点をバランスよく組み合わせ、カスタマーサービスの成長や顧客満足に注力できるよう従業員を配置している」と述べる。
Gartnerはさらに、2027年までに「AI導入で大幅な人員削減を計画した企業の50%は、その方針を撤回する」とも予測している。その背景には、AIによって完全な「無人化」を実現するという目標を掲げていた企業が、目標を達成できない見通しとなっているためだ。「むしろ企業は、AIを活用して定型業務を効率化し、人間のエージェントを高付加価値な業務に集中させるべきだ」とGarterは指摘している。
ロス氏は「AIは定型的かつ明確に定義された問題の対応は得意だ。しかし、例外対応やハイリスクなシナリオには不向きだ。複雑で価値の高いカスタマーサービスに人間のエージェントを戦略的に配置する企業こそ、長期的な成長と顧客満足を実現できる」とアドバイスしている。
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