「社外メールは受信不能な状態」 アサヒグループHDのシステム障害、原因はランサムウェア
アサヒグループホールディングスは2025年9月に報告したサイバー攻撃によるシステム障害について、ランサムウェアによるものだと明らかにした。障害の発生したシステムの遮断措置など被害拡大防止や復旧に向けた取り組みを進めているという。
訂正のお知らせ
修正前の記事タイトルで「社外メールは受信不可」と記載していましたが、「不可」という表現では「受信できるが何らかの理由でルールを設けて許可していない」というニュアンスが含まれるため訂正しました。誤解を招く表現となっていたことをお詫び申し上げます(2025年11月5日21時16分更新)。
アサヒグループホールディングスは2025年10月3日、同年9月に報告したサイバー攻撃によるシステム障害について、ランサムウェアによるものだと明らかにした。
アサヒグループHDのシステム障害、原因はランサムウェア
報告によると、緊急事態対策本部を立ち上げて調査を進めた結果、同グループのサーバがランサムウェアによる攻撃を受けたことが分かったという。さらなる被害の拡大を防ぐため、サイバー攻撃の詳細については情報開示はしない方針だが、現状の対策措置や被害影響が明らかになった。
ランサムウェア被害を最小限にするため、同グループは顧客や取引先の個人情報を含む重要データの保護を最優先とし、障害の発生したシステムの遮断措置を講じた。この遮断措置に伴い、国内グループ各社の受注や出荷を含めた各種業務に影響が生じている他、社外からの電子メールを受信できない状況にあるという。
システムによる受注や出荷業務は引き続き停止しているが、商品の供給を最優先業務と位置付け、部分的に手作業での受注を進め、順次出荷を開始している。アサヒビールやアサヒ飲料、アサヒグループ食品各社の商品に対する消費者からの指摘については、2025年10月6日週をめどに、電話での受付を順次再開する予定だ。
漏えいの内容や範囲については現在調査中で、復旧時期についても未定となっている。なお第1報での報告と同様に発生しているシステム障害の範囲は、国内に限定されるとしている。
今回のランサムウェア事案は、被害企業に関連した多岐にわたるサプライチェーンの供給や流通にストップがかかり、大きな影響を与えているという点で、国内のサイバー被害としては象徴的なものだ。これをきっかけに、大規模なサプライチェーンを抱える企業のセキュリティ対策強化が一層進むことが期待される。
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