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現地出張ゼロ、管理コストゼロへ バッファローが描く機器管理省力化の現実解無料でここまでできるの?

多拠点のネットワーク機器の管理には困難が付きまとう。機器に不具合があると現地に赴いたり、ファームウェアを更新したりするのは大きな負担だ。バッファローはこれを解消するために、基本機能が無料のリモート管理サービスを提供しているという。その開発哲学に迫った。

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 多拠点を展開する企業にとって、ネットワーク機器の管理は避けて通れない課題だ。各拠点への出張コストや各機器のファームウェア更新の手間、セキュリティリスクへの対応――管理者の人手不足が深刻化する中、これらの負担をいかに軽減するかが問われている。

 そうした状況下で、基本機能が無料でありながら高品質かつセキュアな管理サービスが注目されている。バッファローのリモート管理サービス「キキNavi」だ。登録法人数約1万3000社、登録機器14万台という実績の背景にはどのような戦略があるのか。同社の富山強氏に聞いた。

「バッファロー=家庭向け」は大きな誤解 法人事業でも存在感を発揮

 バッファローといえば家電量販店に並ぶ赤い箱を思い浮かべる人も多く、「家庭・中小向け」といったイメージを持たれやすい。ただ、家庭向け無線LAN機器など多くのネットワーク機器で高いシェアを占める同社にとって、この認知度はもろ刃の剣でもある。法人事業の実績が見えにくくなるからだ。

 実態は異なる。同社の法人事業は2001年の法人向けWi-Fiアクセスポイントの発売から数えて20年以上の実績があり、法人チャネル売り上げは直近の6年間で133%伸長し、毎年右肩上がりで成長を続けている。法人向けWi-Fiアクセスポイント「AirStation Pro」シリーズは累計175万台、法人向けNAS「TeraStation」シリーズは累計125万台を出荷。教育機関や地方自治体、製造業、小売流通業など業種を問わず幅広く採用され、270件以上の導入事例がWebサイトで公開されている。

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富山強氏(バッファロー 執行役員 兼 法人マーケティング部長 兼 営業技術部長)

 特徴的なのはその販売体制だ。富山氏は「バッファローは直販せず、全てパートナー経由で販売しています。パートナープログラムには約4300社が加入しており、特定の商流やエリアに偏らない全国展開を可能にしています」と話す。このように法人向け事業で豊富な実績と全国規模の販売網を持つ同社が、2019年から提供しているのがキキNaviだ。

 キキNaviは飲食店や小売業、教育関連、運送業、製造業など複数拠点を持つ企業にうってつけのリモート管理サービスだ。これらの企業に共通する課題は幾つかある。

 1つ目は管理者の人手不足。情報システム部門の人的リソースは限られており、ネットワーク管理の効率化が求められている。大企業においてもネットワークの保守や管理は外部委託するか、自社で担うにしても負担を減らしたいという思いがある。

 2つ目は現地対応の負担だ。リモート管理ができていない場合、トラブル発生時は担当者が現地に赴くか、スポットで誰かに依頼せざるを得ない。しかも現地で何が起きているか把握できない状態で赴くことになるため、迅速かつ適切な処置は困難だ。

 3つ目はファームウェア更新の管理。IT関連機器は定期的にファームウェアのバージョンアップが必要で、これを怠るとセキュリティホールになりかねない。多拠点展開している企業にとって、全ての機器を適切に管理するのは容易ではない。

 「これらの課題を解決するためにリモート管理サービスがありますが、利用している企業からはランニングコストの高騰を嘆く声も上がっています。これに対してキキNaviは、対象機種を使っていれば基本機能を無料で利用できます」と富山氏は強調する。

基本機能は無料で提供 ネットワーク管理者の手間を激減させるキキNaviとは?

 キキNaviはインターネット経由でWi-Fiアクセスポイント、ルーター、スマートスイッチ、NASの監視、メンテナンス用の簡易操作を可能にする。稼働状況の把握や遠隔簡易操作、設定情報の保存などの機能は無料で利用できる。Wi-Fiアクセスポイントにトラブルが生じた際は、再起動だけで改善するケースが多い。キキNaviを使えば、遠隔地から機器の再起動を手軽に実行できる。

 関係者間で稼働状況を共有できるのも強みだ。機器の管理を外部の保守管理会社に委託するケースは多いが、監視だけは自社でしたいというニーズもある。キキNaviは、保守管理会社と法人ユーザーが同じ画面で稼働状況を共有できるだけでなく、監視・簡易操作の権限を担当者ごとに柔軟に設定できる。セキュリティポリシーの順守に適した仕組みと言える。

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キキNaviの画面イメージ。シンプルで分かりやすいUIを開発段階から心掛けているという(提供:バッファロー)《クリックで拡大》

 顧客企業から特に高い評価を得ているのが、現場での設定作業なしでWi-Fiアクセスポイントの運用を開始できる「キキNaviクラウドゼロタッチ」だ。機器を開梱(かいこん)せずに、キキNaviへの一括登録と機器の一括設定が可能だという。現地では、ACアダプターとLANケーブルを接続するだけなので一般の従業員でも対応できる。機器がインターネットに接続すると、設定が自動で読み込まれて運用がスタートする。

 「多数の機器を運用する企業は、故障などのトラブルを避けられません。クラウドゼロタッチを利用すれば、ネットワーク管理者が現地に赴かなくても機器の設置や交換ができるため、工数を大幅に削減できます」

 キキNaviは基本機能が無料のサービスだが、「キキNaviクラウドバックアップ」という有料オプションもある。NASのデータと設定情報をクラウドにバックアップするサービスだ。クラウドストレージを活用した遠隔地バックアップを手軽に導入でき、BCP施策として多くのユーザーに利用されている。

本当に必要な機能を厳選 現地に出向いてユーザーの声を反映した開発哲学

 こうしたリモート管理サービスは他社にもあるが、有料サービスも多い。ではバッファローはなぜ、このような充実した管理サービスを無料で提供できるのだろうか。

 富山氏は「ネットワーク管理者の負担軽減は大きな課題です。それを解決する管理サービスを提供することで、お客さまに弊社の機器の価値を実感していただけます。充実したリモート管理サービスの開発投資が機器販売に結び付くからこそ、基本機能を無料で提供可能になります」と述べる。ユーザーを支援することがそのままバッファローの事業成長につながる。この好循環がキキNaviの戦略の根底にある。

 無料で提供するに当たって機能の取捨選択は必要不可欠だ。同社は設計段階で徹底的に顧客にヒアリングし、キキNaviに搭載する機能を決定している。

 「動作状態をリアルタイムでグラフィカルに表示できる機能は、あれば役立つかもしれません。しかし顧客からは『それよりは管理機能が充実していて、限りなく低コスト、できれば無料の方がうれしい』という声がありました。その声に応えて本当に必要な機能だけに絞り、顧客ニーズを的確に満たす設計としました」

 重要なのは営業だけでなく名古屋本社のエンジニアが直接顧客先に赴き、生の声を製品開発に取り入れている点だ。エンジニアが直接聞くことで顧客のニーズを的確に理解し、さまざまな手段を提案できる。

 バッファローは「商品は世界基準で 商売はしょうゆ味で」を原則に、日本市場向けの製品の最適化に力を入れている。キキNaviにおいてもサービス品質や長期安定稼働の実現にこだわりながら、日本の顧客が真に求める機能の使いやすさ向上にフォーカスし、必要以上のコストがかからないようにしている。

 同社のこういった姿勢は、Wi-Fiアクセスポイントの環境対応機器の開発にも表れている。温泉街の硫黄腐食、冷凍倉庫での極低温、牛舎での雨風――従来のネットワーク機器では対応し切れない過酷な環境にも設置できる、独自の防塵(ぼうじん)・防水・耐環境性能モデルのWi-Fiアクセスポイント(WAPM-1266WDPRA)も提供している。

 機器のセキュリティも重視する、同社の姿勢を示しているのが「セキュリティ要件適合評価及びラベリング制度」(JC-STAR)への対応だ。

 JC-STARは経済産業省が監督し、情報処理推進機構(IPA)が運用するIoT製品のセキュリティ制度であり、2025年3月に運用が開始された。適合基準は星マークで示され、現時点では「★1」(レベル1)のみが運用されている。バッファローは法人向けのWi-Fiアクセスポイントやルーター、NASでいち早く★1を取得した。ネットワーク機器は、PCとは異なりアンチウイルスソフトを導入できないケースが一般的だ。だからこそ、機器自体の基本的なセキュリティ対策が必須となる。この点、JC-STARの星マークがあることは、製品のセキュリティが(制度の定める基準を)確保されていることの証明になる。

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JC-STARの★1を取得している製品。これらの機器はキキNaviの対象機種でもあるため、利便性と安全性を両立させたネットワーク管理が実現できる《クリックで拡大》

 機器のセキュリティをJC-STAR対応で確保する他、TLSによる暗号化通信で管理データの安全性も考慮している。このように複数のセキュリティレイヤーを組み合わせることで、より堅牢(けんろう)なネットワーク運用環境が実現する。

33拠点を一括管理、ランニングコストゼロ――導入企業の実例を紹介

 キキNaviの導入事例を2つ紹介しよう。

 関東で33拠点を展開する自動車販売業A社は、複合的なネットワーク管理の課題に悩んでいた。既存機器の老朽化により、Wi-Fiの速度低下や接続不良が頻繁に発生していた。自動車販売店では商談中にタブレットで見積もりを作成するのが一般的で、Wi-Fiが不安定だと業務効率が下がってしまう。複数拠点での機器保守の非効率さも課題だった。機器トラブルが発生すると、ネットワーク担当者が現地に出向いて対応する必要があり、復旧に時間がかかっていた。

 そこで同社は33拠点にキキNaviに対応したバッファローのWi-Fiアクセスポイントを導入し、本社からのリモート管理と機器トラブル時に備えた迅速な保守体制の構築を実現した。クラウドゼロタッチの利用により、ネットワーク管理者が現地に赴くことなく機器交換が可能になり、運用工数を大幅に削減できた。

 運送業B社は、複数の倉庫を保有している。運送業界では顧客情報や委託先企業との情報のやりとりが頻繁に行われるため、自社がウイルス感染源になることへの警戒感が強い。キキNaviは不正ログインを防止する「2要素認証機能」に対応していることから、セキュリティ面で安心して利用できると導入を決定。ランニングコストがかからない点も大きな評価ポイントとなった。

 富山氏は最後に、ネットワーク管理に悩む担当者にこうメッセージを送る。

 「安定稼働し、ユーザーがその存在を意識しないで使えること――それがネットワークのあるべき姿です。キキNaviは基本機能が無料で更新料もかからず、セキュリティを強化するとともに情シスの省力化と生産性向上を実現します。ぜひ導入や切り替えを検討してみてください」

 多拠点管理における効率化とセキュリティ対策の両立は、もはや選択の問題ではなく必須の要件だ。バッファローのアプローチは、その実現可能性を具体的に示している。

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提供:株式会社バッファロー
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2025年12月12日

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