IBM、地銀の連携を支援するセキュリティ共同プラットフォームを提供開始:セキュリティソリューション
IBMは、地域金融機関の連携を支援する「地銀セキュリティー共同プラットフォーム」の提供を開始した。戦略策定や監視、PQC対応、人材育成を一体で支援し、高度な脅威への防御力向上と業界全体の協働を推進する。
日本アイ・ビー・エム(以下、IBM)は2026年2月2日、地域金融機関が連携してセキュリティ対策を強化できる環境の整備を目的とした「地銀セキュリティー共同プラットフォーム」の提供を開始した。
戦略策定から監視、対策導入、人材育成までを一体で支援する共創型サービスで、地域金融機関の防御力向上と専門人材の育成を効率的に進めることを狙う。
PQC対応も視野、地銀を対象としたセキュリティ協働モデルが始動
DDoS攻撃や標的型ランサムウェア攻撃などが増加し、金融機関は金銭的損失や業務停止、ブランド価値の毀損(きそん)といった深刻なリスクに直面している。これに向けて、経営視点でのリスク管理体制の強化や専門人材の確保、技術投資の拡充が課題だ。
この他、金融庁の「金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドライン」への対応も求められており、各行が単独で高度化する脅威や制度変更に継続的に対処することは困難な状況だ。
IBMは現状を踏まえ、金融業界での長年の知見や銀行システムの開発・運用経験、グローバルでのセキュリティ分野におけるコンサルティングや製品導入、監視運用の実績を基盤に同プラットフォームを構築した。単なる個社への対策ではなく、地域金融機関同士が知見を共有しつつ高度な脅威に備える枠組みを提供する点が特徴だ。
プラットフォームは4つの柱で構成される。第1はセキュリティ・コンサルティングで、共通フレームワークに基づき脅威の特定とリスク対策を支援する。耐量子計算機暗号(PQC)対応サービスなど高度な領域も含め、専門家による支援や自走化に取り組む。
第2はコンソーシアム機能で、最新技術や脅威動向、各行の課題や対策事例の共有を通じて人材育成を図る。第3は統合監視・対応で、特定ベンダーに依存しない形での監視と分析により、攻撃の早期発見と迅速な対応を後押しする。第4は対策強化サービスで、製品やサービスの選定から導入、運用までを支援し、共同調達によるコスト面の効果も見込む。
展開に関しては正式提供に先立ち2025年夏からPQC対応サービスを開始し、同年12月には地域金融機関用のサイバーセキュリティコンソーシアムの初回会合を開いた。今後は賛同する地域金融機関や関連機関、専門パートナー企業と連携し、要望が多く効果が見込める領域から順次サービスを拡充する方針だ。
IBMは連携を軸に、地域金融機関と協力して安全な金融インフラの維持・強化を図る考えを示している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
メールもURLも踏まない攻撃が始まった Geminiを乗っ取る恐怖のシナリオ
Gmailに届いた何気ないカレンダー招待を承諾しただけで、AIが“別人の指示”に従い始める──。LLMが業務に深く組み込まれた今、従来のサイバー攻撃とは異なる新たな侵入口が拡大している。その正体と実証された攻撃シナリオを追った。
安全に見えたWebサイトが数秒でフィッシングサイトに変貌 LLMを使った新手法
Palo Alto NetworksはLLMを悪用した新たなフィッシング攻撃手法を発見した。利用者が無害に見えるWebページを閲覧すると、数秒でそれがフィッシングサイトに変貌するという。従来のネットワーク検知では発見が困難な脅威だとされている。
なぜアスクルのランサム被害は長期化した? 報告書から見えたレジリエンスの穴
ランサムウェア被害からの復旧が長期化する裏には、セキュリティ対策を講じるに当たってありがちな“ある勘違い”が関係していました。アスクルの被害事例をベースに認知バイアスの観点から問題を掘り下げます。
受け身情シスじゃAIに食われる 本当に活躍できる社内IT人材の育て方
情シスが疲弊し、IT投資も成果が出ない――その原因は人材不足ではなく「育て方」にあります。現場や経営、セキュリティを横断する“コーポレートエンジニア”は、どうすれば生まれるのでしょうか。成功と失敗を分ける決定的な分岐点を伝えます。
