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Amazonがさらなる「人減らし」 業績絶好調なのに大規模削減の“言い分”CIO Dive

いまや売上高ベースで米国最大の企業になったAmazon。業績好調にもかかわらず、同社はなぜ従業員を大幅に減らし続けるのか。Forresterのアナリストが指摘する、Amazonの説明とは一線を画す「同社の本当の狙い」とは。

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CIO Dive

「CIO Dive」について

「CIO Dive」は米国のビジネスパーソン向けWebメディア「Industry Dive」の一媒体です。「CIO Dive」が発信する情報からITmedia エンタープライズの専門記者が厳選した記事を「Industry Dive」の許可を得て翻訳・転載しています。

筆者紹介:ロバート・テレス(Roberto Torres)(「CIO Dive」エディター)

ベネズエラ出身。ソフトウェア業界やデータ分析、テクノロジーの未来が専門領域。

 Amazonは2026年1月(現地時間、以下同)、1万6000人の人員削減を発表した。2025年10月の1万4000人削減からわずか4カ月、累計3万人という規模で人員削減に踏み切ったことになる。同社が掲げる理由は「企業文化の再構築」だが、各社のアナリストはその背景に、同社の説明とは一線を画す要因を指摘する。

4カ月で3万人削減 異例の大規模整理の「本当の理由」

 Amazonが2026年1月28日にブログで発表した内容によると、組織再編を進める過程でさらに1万6000人を削減する計画があるという(注1)。どの部門が組織再編の影響を受けるかについて、Amazonは明らかにしなかった。同社は2026年2月5日に、2025年第4四半期および通期の業績を発表する予定だ(編注:「CIO Dive」でこの記事が公開された後に発表日を迎えた同社の業績発表を受け、複数の米メディアは「売上高ベースでAmazonは米国最大の企業になった」と報じた)。

 今回の削減は、Amazon史上2度目の大規模な人員整理に当たる。同社は2025年10月にも「企業文化の再構築」を理由に1万4000人分のポジションを削減しており(注2)、今後も組織構造の変更に伴うさらなる削減の可能性を示唆している。

 「企業文化の再構築」という言葉の裏で、Amazonは何に投資しようとしているのか。そして、Amazonが言う「企業文化の再構築」が意味するものとは何か。各社のアナリストの分析から大幅人員削減の背景に迫る。

ジャシーCEOが描く「スタートアップ型組織」とは何か

 Amazonの人材エクスペリエンスおよびテクノロジー部門のベス・ガレッティ氏(シニア・バイスプレジデント)は、今回の人員削減に伴い、ブログで次のように述べた。

 「今回の発表を受けて、『数カ月ごとに大規模な人員削減を発表する新たな動きが始まるのではないか』と思う方もいるかもしれないが、それは当社の計画にはない。今後も各チームは顧客のためにどのような責任を負い、どれだけのスピードと革新力を発揮できるかを継続的に評価し、必要に応じて調整していく」(ガレッティ氏)

 一連の人員削減の起点となっているのは、Amazonのアンディ・ジャシーCEOが2024年以降に打ち出した組織改革の方針だ(注3)。よりフラットな組織体制と迅速な意思決定の実現を目指すこの取り組みによって、これまでにコーポレート部門では累計3万人が削減された。同部門の従業員は約35万人であるため、削減規模は全体の約10%に相当する(注4)。

 2025年10月に開催された第3四半期決算説明会で、ジャシーCEOは次のように述べた。「われわれは世界最大のスタートアップのような運営を目指している。そのためには組織の階層を取り除く必要がある。従業員一人一人の裁量や責任の範囲を広げ、革新を推進し、迅速に行動しなければならないのだ」

 こうした組織再編と並行して、AmazonはクラウドおよびAIサービスへの需要急増を取り込むための投資戦略を推し進めている。2025年には1000億ドルを超える設備投資を実施し(注5)、その大半を高収益部門であるAWSのコンピューティング能力拡張に充てた。

アナリストは今回の大幅削減をどう見ている?

 調査会社ForresterのJ・P・ガウンドナー氏(バイスプレジデント兼プリンシパルアナリスト)は、今回の人員削減の背景にあるのは「AIが従業員に取って代わることではなく、財務上の判断だ」と説明する。同氏はその根拠として、Amazonが2026年1月27日に発表した無人の生鮮食品店「Amazon Fresh」と、無人レジなし店舗「Amazon Go」の全店閉鎖を挙げた(注6)。同氏はこうした動きはいずれも、AIインフラへの投資を拡大を目的とした資金の確保につながるとみている。

 「ITベンダーはAIとクラウドサービスの領域で、時代を決定付けるような大きな賭けに出ている。MicrosoftやGoogleといった競合他社に対する競争力を維持するために、Amazonはさらなる投資が必要だと判断したのだ」(ガウンドナー氏)

 一方、ITリサーチツールベンダーのInfo-Tech Research Groupのスコット・ビックリー氏(アドバイザリーフェロー)は、Amazonによる一連の人員削減の背景には、コロナ禍における過剰採用の影響があると指摘する(注7)。

 「コロナ禍以降、Amazonのような企業がどれほど巨大化し、肥大化したかについて、多くの人は本当のところを理解していない」。急激な人員増加は官僚的な体質の強まりや意思決定プロセスの階層化を招いているというのが同氏の見方だ。ジャシーCEOも2024年9月に従業員向けに発出したメモの中でこの点を「問題」として指摘している。

 「Amazonの組織規模を考えると、今回の発表は削減というよりも適正規模への調整だと私は見ている。戦略的な進路や方向性を大きく変更するわけではないだろう。単に、より迅速に動ける体制に戻そうとしているのだと考えている」(ビックリー氏)

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