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「AIの独占は許さない」 EU、Googleに競合他社へのデータ共有を迫るCIO Dive

欧州委員会はデジタル市場法(DMA)に基づき、Googleに対しAIや検索データへのアクセスを外部業者へ提供するよう求めた。Googleはプライバシー懸念を理由に反発するが、米欧でデータ共有による競争促進の圧力が高まっている。

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「CIO Dive」について

「CIO Dive」は米国のビジネスパーソン向けWebメディア「Industry Dive」の一媒体です。「CIO Dive」が発信する情報からITmedia エンタープライズの専門記者が厳選した記事を「Industry Dive」の許可を得て翻訳・転載しています。

筆者紹介:マッケンジー・ホランド(Makenzie Holland)(「CIO Dive」シニアニュースライター)

2015年に米国インディアナ州立大学ブルーミントン校でジャーナリズムの学士号を取得。米連邦政府の技術政策担当記者、『Wilmington StarNews』記者、『Wabash Plain Dealer』記者(犯罪・教育担当)を経て現職。

 欧州委員会は2026年1月26日(現地時間、以下同)に「EUのDigital Markets Act(DMA:デジタル市場法)を順守するために(注1)、Googleは外部業者に対して自社のAI機能および検索エンジン全体にわたるデータアクセスを提供する必要がある」と発表した。欧州委員会はEUの法律を執行する責任を担う機関だ。

EUの要請とGoogleの対応

 サードパーティーのAIサービス提供事業者は、GeminiなどのGoogle独自のAIサービスと同じデータに対して、同等に効果的なアクセスを確保する必要がある。また、欧州委員会によると、Googleは、「Google Search」が保有する特定のデータ項目についてサードパーティーの検索エンジン事業者にもアクセスを認める必要がある他、「Android」におけるハードウェアとソフトウェアの相互運用性も改善しなければならないとしている。

 Googleによると、今回の欧州委員会による手続きは法令違反を理由とするものではなく、罰金が科されることもないという。Googleのクレア・ケリー氏(シニア・コンペティション・カウンセル)は声明で「Androidは設計上オープンなプラットフォームであり、DMAの下で競合他社に対して検索データのライセンスを既に提供している」と述べた。

 AIの主導権を巡る激しい競争が続く中、Googleは、EUおよび米国の双方で、競合他社にデータを共有するよう圧力を受けている。同社は、DMAが求めるような広範なデータアクセスを認めることはプライバシーのリスクを生む可能性があると主張している。一方、規制当局はそれによって企業間の競争が促進されると主張している。

 ケリー氏は次のように述べた。

 「私たちは、しばしば消費者の利益ではなく競合他社の不満に基づいて推進される追加的な規制が、ユーザーのプライバシーやセキュリティ、イノベーションを損なうと懸念している」

 2022年に施行されたDMAは、大規模なオンラインプラットフォームを対象としており(注2)、GoogleやApple、Amazon、Meta、Microsoftといった企業に対し、データの共有や相互運用性の向上を義務付け、デジタル市場をより開かれたものにすることを目的としている。

 欧州委員会でクリーンかつ公正で競争力のある移行を担当するテレサ・リベラ氏(エグゼクティブ・バイスプレジデント)は、2026年1月27日の発表で「特にAIは、私たちがオンラインで情報を探し、受け取る方法を変革している」と述べた。

 「私たちは、大きな技術的変革が持つ可能性と恩恵を最大限に引き出したい。そのためには、競争環境が一部の巨大企業に有利に働くものではなく、開かれた公正なものである状態を確保しなければならない」(リベラ氏)

 また米国当局もGoogleがデータを強固に支配していることに懸念を示している。

 第1期トランプ政権の2024年に米国司法省が提起した訴訟において、米国の裁判所は、Googleがオンライン検索分野で違法な独占状態を維持していたと認定した(注3)。そして裁判所は、競争をより促進するために、同社に対して競合他社とデータを共有し、排他的契約を制限するよう命じた。

 2026年1月16日、Googleは判決に対して控訴する旨の通知を提出し(注4)、データ共有を命じる裁判所の命令を一時停止するよう求めた。

 Googleで規制対応を担当するリーアン・マルホランド氏(バイスプレジデント)は、ブログ投稿で次のように述べた。

 「こうした義務付けは、米国民のプライバシーを危険にさらす恐れがあり、また競合他社が自社製品を開発する意欲をそぐことになりかねない。その結果、米国を世界のテクノロジー分野の最前線に押し上げてきたイノベーションを阻害することになる」

 第2期トランプ政権下では、米国の規制環境に変化が生じている。同政権は、連邦政府機関の執行権限を弱め、規制の見直しや撤廃を進めることを目的として、Department of Government Efficiency(DOGE:政府効率化省)を立ち上げた。

 また、トランプ大統領は、米国内でAIインフラを整備し、国家的なAIプラットフォームを構築することを目的として、Stargate Project(スターゲート計画)やGenesis Missionといったプロジェクトを立ち上げた(注5)(注6)。これらの取り組みには、GoogleやAWS、Microsoft、OpenAIを含むテクノロジー企業と協力する旨の協定が含まれている。

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