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MicrosoftのAI投資「6兆円」へ 拭えぬ収益化への不透明感CIO Dive

Microsoftのサティア・ナデラ氏(CEO)は「クラウドおよびAIの主権に対する関心が高まっている」と報告したが、アナリストたちは、それにより企業の購買行動がより慎重になると警告している。

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「CIO Dive」について

「CIO Dive」は米国のビジネスパーソン向けWebメディア「Industry Dive」の一媒体です。「CIO Dive」が発信する情報からITmedia エンタープライズの専門記者が厳選した記事を「Industry Dive」の許可を得て翻訳・転載しています。

筆者紹介:マッケンジー・ホランド(Makenzie Holland)(「CIO Dive」シニアニュースライター)

2015年に米国インディアナ州立大学ブルーミントン校でジャーナリズムの学士号を取得。米連邦政府の技術政策担当記者、『Wilmington StarNews』記者、『Wabash Plain Dealer』記者(犯罪・教育担当)を経て現職。

 Microsoftの2025年末までの設備投資額は375億ドル(約5兆9000億円)に達した(注1)。2026年度第2四半期の決算説明会で、同社のエイミー・フッド氏(エグゼクティブバイスプレジデント兼最高財務責任者)は「顧客による需要が当社の供給能力を上回っているため、投資の約3分の2はGPUおよびCPUに充てた」と述べた。残りの支出は、大規模データセンターのための用地などに使われた。

Microsoftの成長

 説明会の中でナデラ氏は次のように語った(注2)。

 「クラウド事業に関する長期的な競争力の鍵は、新たな大規模ワークフローを支えるために当社のインフラを整備することだ。この四半期だけで、われわれは総容量を約1GW増やした」

 Microsoftは、クラウド関連の売上高が前年同期比26%増の515億ドルに拡大したと発表した。また、「Microsoft Azure」(以下、Azure)およびその他のクラウドサービスの売上高は39%増となり、前会計年度第2四半期の31%増から伸び率も向上している。

 激しい競争が続くAI市場での取り組みを強化するために、Microsoftは設備に多額を投資している。AI技術はクラウド事業の売上高を押し上げており、成長を後押ししている。

 調査企業であるThe Futurum Groupでエンタープライズソフトウェアおよびデジタルワークフローを担当するキース・カークパトリック氏(リサーチディレクター)は「Azureおよびその他の製品全体におけるMicrosoftの成長は、インフラと業務アプリケーションの同時拡張に成功したことを示している」と述べた。これが企業におけるAI導入の鍵となるようだ。

 一方、Microsoftによる大規模なAI投資には懸念も残っている。

 カークパトリック氏は電子メールで「AIを大規模に展開した場合の収益モデルや価格設定については、まだ十分に納得しているわけではない。企業ユーザーの立場から見ると、「Microsoft 365 Copilot」(以下、Copilot)の機能を使うために追加のユーザーライセンスを購入する仕組みが中心になっているためだ」と述べた。Microsoftは2026年7月に「Microsoft 365」のサブスクリプション料金を値上げする予定だ。理由として、同社は、「Microsoft 365 Copilot Chat」をはじめとするAIツールを製品に追加したことを挙げている(注3)。

 調査企業であるForresterのダリオ・マイスト氏(シニアアナリスト)は、今回の決算説明会について「ここ数カ月の過度な期待感から、少し現実に立ち返った内容だった」と述べた。顧客企業は、クラウドの購入や支払い方法について、これまで以上に慎重になっているという。特に、データ主権の問題が、ますます重要になっていることが背景にある。

 マイスト氏は電子メールで次のように述べている。

 「デジタル主権に対する懸念の影響により、顧客はこれまでのベスト・オブ・ブリードやハイパースケーラーの製品およびサービスのみを採用するアプローチから、より選別的で価格に敏感な購買行動へと移行している。以前に比べて、地元企業の製品およびサービスの採用を検討することにも前向きになっている」

 ナデラ氏は、顧客の間で主権オプションに対する関心が高まっていると指摘し、第2四半期にMicrosoftが7カ国で投資を実施したことに言及した。

 「顧客にとって主権の問題はますます重要なテーマとなっている。それに対応するために、当社はソリューションおよびグローバルな展開を拡大している」(ナデラ氏)

 2026年1月29日に公開されたGartnerの調査によると、主権に関する懸念はクラウドだけでなくAIにも及んでおり、2027年までに全世界の国の35%が地域特化型のAIプラットフォームに事実上固定される見込みだという(注4)。

 Gartnerのガウラブ・グプタ氏(バイスプレジデント・アナリスト)は、プレスリリースで次のように述べている。

 「各国は、主権目標を達成し、米国企業への依存を分散させることを目指して、ローカルなAIスタックへの投資を拡大している。これには、『計算能力およびデータセンター、インフラ、現地の法律や文化、地域に適合したモデル』が含まれている」

 Microsoftも主権型AIへの関心の高まりによる影響を受けている。

 ナデラ氏は次のように述べた。

 「顧客が主権型AIの選択肢を求める中で、MistralやCohereを含む、地域特化型モデルに対する需要が高まっているのを実感している」

 「当社のAzure向け企業用AIプラットフォーム『Microsoft Foundry』を通じて(注5)、顧客が自社のニーズに合わせてAIモデルをカスタマイズしたり、細かく調整したりできるようにしている」(ナデラ氏)

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