アクセンチュアとGoogleが新プログラム AI全社展開で「つまづく」企業を支援へ:AIニュースピックアップ
AIの試験導入が容易になる一方で、全社での展開には依然として「壁」がある。アクセンチュアとGoogle Cloudはこの「壁」を突破するための新プログラムを発表した。
アクセンチュアは2026年5月13日、AIエージェントの全社展開を支援する新プログラム「Gemini Enterprise Acceleration Program」を発表した。これは両社が2026年4月22日(現地時間)に米国で開催されたイベント「Google Cloud Next '26」で公表した内容に基づくものだ。
新プログラムは、AIの試験導入から全社展開への移行を支援する。新プログラム誕生の背景にあるのが、AIの試験導入のハードルが低くなる一方で、AIを業務に組み込んだり、成果につなげたりする段階でつまずく企業が多いという両社の認識だ。
アクセンチュアのジュリー・スウィート会長兼CEOは「企業全体で重要な業務を担うエージェントに進化させる取り組みが求められている」と述べる。
AI全社展開の壁にどう挑む? プログラムの「4つの柱」
新プログラムでは、両社のエンジニアリングリソースと、アクセンチュアが2026年3月に買収を完了した英国AI企業Facultyの知見を組み合わせる。主な提供内容は次の4点だ。
- 専任のエンジニアリング体制: Google CloudとアクセンチュアのFDE(Forward Deployed Engineer:顧客現場に常駐して開発・展開を担うエンジニア)が連携。業界特化型AIソリューションのプロトタイプ開発から大規模展開までを担う
- フロンティアモデルへの早期アクセス: AI研究機関のGoogle DeepMindが、Geminiファミリーを含むフロンティアモデルへの早期アクセスを提供する。アクセンチュアからのフィードバックをモデル改善に反映する
- データを生かした意思決定支援: アクセンチュアのフルスタック基盤「Accenture Intelligent Digital Brain」を活用し、組織のサイロを越えてAIを接続する。Facultyの意思決定インテリジェンス機能で、ガバナンスと人による監督を伴うミッションクリティカルな経営判断を支援する
- データやモデルを各国、各組織の主権管理下で運用するソブリンAIエージェント: Google Cloud Marketplaceで提供される、アクセンチュア構築の業界特化型AIエージェント数百種を活用する
両社が先行適用領域として挙げる「2つの領域」
両社がAIエージェントの先行適用領域として挙げるのが、エージェンティック・コマースとマーケティングコンテンツだ。
アクセンチュアが実施した調査によると、AIを日常的に利用するユーザーの90%以上が、AIエージェントの推奨に基づいて商品やブランドを従来品から乗り換える意向を示している。
エージェンティック・コマースでは、両社が「エンタープライズ・ワークベンチ」を共同開発する。「Gemini Enterprise for Customer Experience」とGoogle AI Studio、アクセンチュアの「Agentic Commerce OS」、業界特化型AIエージェント群を組み合わせる。顧客エンゲージメントや商品開発、決済、出荷・配送管理など幅広い業務領域を統合する。
マーケティング向けには、Google CloudとAccenture Songが「Generative Content OS」を提供する。「Gemini 3.1 Flash Image」「Veo」を利用し、デジタルコンテンツの制作や管理、展開のプロセスの変革を図る。
なお、Google Cloudは今回の発表に合わせて、アクセンチュアを含む大手コンサルティング7社にエンジニアを派遣する7億5000万ドル規模のパートナーファンドを設立した。アクセンチュアとの新プログラムはこの一環として位置付けられている。
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