M365のデータ保護は誰の責任? Hornetsecurityが提示する包括的セキュリティ
Hornetsecurityは、Microsoft 365環境向けのバックアップソリューション「365 Total Backup」の国内提供を開始した。M365インフラから完全に独立したデータセンターでの保管や、管理者の負荷を軽減する「セルフサービス復元」などのセキュリティ機能を備えている。
クラウドベースのサイバーセキュリティソリューションを提供するHornetsecurityは2026年5月28日、「Microsoft 365」(以下、M365)環境向けバックアップソリューション「365 Total Backup」の国内提供を開始した。
盲点となっている「Microsoft 365の責任共有モデル」
ランサムウェア攻撃対策は、企業にとって欠かせないものとなっている。Hornetsecurityの調査によれば、日本企業の約2社に1社(45.8%)がランサムウェアの感染被害を経験しているという。
こうした現状について、同社の伊藤利昭氏(カントリーマネージャー)は、全世界で利用数が4.3億シート以上あるM365はサイバー犯罪者にとって巨大な標的となっていると指摘する。
伊藤氏は、「Microsoftを導入していれば全て問題ない」という認識は、企業が陥りやすい大きな誤解だと指摘する。「Microsoftの『責任共有モデル』は、サービス可用性は守るが、データ保護の責任は利用企業側にある」と語り、自社のデータは自社で守る必要性があることを強調した。ランサムウェアによるデータの暗号化や、誤削除、悪意ある内部犯行によるデータ喪失、保持期間を超えるデータの復元はMicrosoftのサポート対象外であるという。
バックアップデータが狙われる時代に
データ保護の重要性が増す一方で、攻撃の手口は巧妙化している。伊藤氏によると、攻撃の15%がバックアップストレージを標的としており、日々利用する運用データとバックアップデータを地理的に完全分離することが必須となっている。
こうした背景から同社が新たに提供を開始したのが「365 Total Backup」だ。M365の環境から完全に独立した独自のデータセンターにデータを保存することで、M365インフラの障害や侵害の影響を回避できるという。2026年6月現在はEUの一般データ保護規則(GDPR)に準拠したデータセンターで保管されているが、伊藤氏は将来的には日本国内でのデータセンター展開も予定していると明かした。
セキュリティ対策として有効な機能は他にもある。外部からの改ざんや削除が不可能な「イミュータブルバックアップ」や、データの削除などに2人の管理者の承認を必要とする「ダブルチェック承認」機能を実装しており、内部犯行やアカウント乗っ取りを構造的にブロックできるという。また、API連携を活用し、約15分で導入でき、1通のメールから従業員自身で直感的に復元できる「セルフサービス復元」機能で、管理者の負荷を大幅に軽減できる点も強調された。
中小企業の課題を解決する「ワンストップ・プロテクション」
M365環境のセキュリティ強化について、特に中堅・中小企業ではリソース不足に悩まされている。伊藤氏は、「何から手をつけていいか分からない」「大手のような予算はない」「管理者による対応の限界」といった課題を指摘する。
この課題に対する解決策として同社が提唱するのが「ワンストップ・プロテクション」構想だ。同社は、メールセキュリティから始まり、バックアップ、AIを活用した従業員のセキュリティ意識向上サービス、DMARC管理などを単一のプラットフォームで提供している。「管理業務の多くはAIで自動化されるため、管理者の負荷は非常に少ない」と伊藤氏は説明する。
点ではなく「面」で守るセキュリティへ
今後の展開としては、2026年夏頃にM365内の共有リンクの期限切れやアクセス権限の違反を検知し適正化を支援する「365 Permission Manager」の提供を予定しているという。
伊藤氏は、「サイバー攻撃の手口は多様化・高度化しており、個別のインシデントに都度対処する『点』の対応だけでは企業を守りきれない状況となっている」と述べ、「Hornetsecurityが目指すのは、さまざまなセキュリティソリューションを一体で提供することで、M365環境を『面』として包括的に保護すること」と語った。単なる新機能の提供にとどまらず、中堅・中小企業のセキュリティレジリエンスを強化する姿勢を示した。
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