「Dellがシェア首位」の要因は? 売上高40%増で独走続く:IT調査ピックアップ
AI時代に対応したデータ基盤の再構築が進む中、エンタープライズストレージ市場が急拡大している。その中でも際立つのが、前年比40%超の成長でシェア首位を独走するDellだ。IDCが指摘する、Dell好調の要因とは。
IT専門調査会社のIDCは2026年6月15日(現地時間)、世界の外付けエンタープライズストレージ(サーバの外部に接続して使う業務用ストレージ)市場が、2026年第1四半期に前年同期比22.7%増の約92億ドルに達したと発表した。2025年通年の成長率3.9%、2025年第4四半期の5.5%と比べ、伸びが大きく高まった。サーバやGPUへの投資の陰に隠れていたストレージ市場が、再び2桁成長に戻った。
Dell独走の要因はどこにある?
IDCは、今回の伸びを支えた要因として、AIインフラ向けのストレージ需要と、これまで先送りされてきた更新需要の2つを挙げる。NAND型フラッシュメモリやDRAMといった部材価格の上昇も、システム全体の販売価格を押し上げている。
市場全体が2桁成長に戻る中、前年同期比40%超でシェア首位を独走する企業がある。市場の約3割を占め、前年比40%超で成長しているのがDell Technologies(以下、Dell)だ。同社の2026年第1四半期の売上高は前年同期比40.8%増で、市場シェアは31.2%に達した。前年同期の27.1%から4ポイント上昇と、主要ベンダーの中で最も高くシェアを伸ばした。Dellが好調な要因について、IDCは次のように分析する。
Dellの幅広い製品群と、AI関連の需要に合わせてストレージを併せて販売する戦略が寄与したというのがIDCの見立てだ。
オールフラッシュアレイ(AFA)の売上高が32.7%増
記憶媒体別では、フラッシュメモリ(SSD)で構成するオールフラッシュアレイ(AFA)が、売上高で市場の過半を占めた。AFAの売上高は前年同期比32.7%増の約49億ドルで、市場全体の52.6%に達した。フラッシュメモリとHDDを組み合わせるハイブリッドフラッシュアレイ(HFA)は同14.0%増の約35億ドル(シェア37.8%)、HDDのみの製品は同10.2%増の約9億ドル(同9.6%)だった。
価格帯別の動きは、次の通りだ。
- ハイエンド(平均販売価格25万ドル超): 前年同期比60.7%増の約24億ドルと最も伸び、市場の25.5%を占めた。大規模なAIインフラ向けの導入がけん引した
- ミッドレンジ(同2万5000ドル〜25万ドル): 同17.3%増の約59億ドルで、シェアは64.4%と最大だった
- エントリー(同2万5000ドル未満): 同6.1%減の約9億ドルと、唯一マイナスとなった
価格高騰と先送りされた更新が後押し
IDCによると、出荷台数の伸び以上に売上高を押し上げているのが、部材価格の上昇だ。SSDやHDD、DRAMの価格が前四半期比で高騰している。この価格上昇は2027年まで続き、その後に新しい製造能力が供給の余裕を生むと見込む。
もう一つの要因が、更新需要だ。2024〜2025年にサーバやAI基盤への投資を優先した企業のストレージが更新期にある。IDCは、ハイエンド製品の更新需要がとりわけ高いと指摘する。
GPUとストレージ間の帯域を確保するオールフラッシュ製品は特に伸びが大きい。利用量に応じて支払うサブスクリプション型や、サービスとして使う調達方式もAI基盤の構築需要拡大を背景に普及が進んでいる。
地域別では米国が4割超、日本は横ばい
地域別では、調査対象の9地域のうち8地域が前年同期比で増収となった。最大の市場である米国は同30.4%増の約39億5000万ドルで、世界全体の42.8%を占めた。ハイパースケーラーによるAIストレージの構築と、企業全般の更新需要が支えた。
伸び率が最も高かったのは中東欧(同41.7%増)でカナダ(同25.4%増)、中国(同20.7%増)が続いた。西欧は同18.9%増で、自国でAI基盤を開発、運用する「ソブリンAI」への投資が押し上げた。日本と中国を除くアジア太平洋地域は同19.1%増、中南米は同10.6%増、中東・アフリカは同5.0%増だった。一方、日本は前年同期比0.2%減とほぼ横ばいで、前年の好調な実績の反動が出た形だ。
IDCは、2026年は供給力の制約によって出荷台数の伸びが抑制される一方で、売上高は過去平均を上回る成長が続くと見込む。
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