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AI時代の電子文書セキュリティ 真贋判定に追われる企業のリアル【調査】IT調査ピックアップ

生成AIの発展に伴い重要書類の改ざんリスクへの警戒が強まる中、企業における文書の真正性証明の重要性が増している。一方でタイムスタンプ利用者の過半数が「大量データの処理困難」を課題に挙げており、安全性と処理性能の両立が急務だ。

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 ウイングアーク1stは2026年7月23日、売上高100億円以上の企業でタイムスタンプ関連業務を担う担当者510人を対象に実施した「2026年版 電子文書やデータのセキュリティ調査」の結果を公表した。

 タイムスタンプ利用者が抱える課題では「大量データの処理が困難」が51.4%で首位となり、前年と比較して12.1ポイント上昇した。生成AIによる文書改ざんへの警戒も強まり、電子文書の真正性を証明する機能と、大量処理に耐える性能の両立が企業の課題として浮上した。

AI改ざんへの不安拡大、真正性確認の需要高まる

 調査において、タイムスタンプや電子署名、eシールなどをデジタルトラストサービスとして扱い、文書の発行時点と受信時点の証明や発行元確認、処理速度、費用の各面から企業の認識と経験を尋ねた。回答形式は単一回答と複数回答だった。

 タイムスタンプの利用状況において、「現在利用している(発行時に付与)」が42.5%で最多だったが、前年から2.7ポイント低下した。「現在利用している(付与時期は不明)」は15.7%だった。現在利用中と答えた292人に課題を複数回答で尋ねると、「大量データの処理が困難」が51.4%、「処理速度が遅い」が44.2%、「利用コストが高い」が36.6%となった。大量処理の難しさは前年から12.1ポイント増え、課題の首位に入れ替わった。

 大量の電子文書を扱う際の実務上の問題において「システムがフリーズ・エラーになった」が30.0%だった。「処理待ちで残業が発生した」は28.6%、「月末・月初の集中処理で遅延が発生した」は28.2%に達した。電子文書の増加が業務効率化に寄与する半面、処理基盤の性能不足が作業時間や運用負荷に直結している状況が示された。

 生成AI技術の発展に伴う懸念において「重要書類のAIによる改ざんに気付けない可能性」が30.8%で首位となり、前年を7.2ポイント上回った。「取引先からの文書の真正性確認が困難になる」は22.2%だった。過去3年間の経験を尋ねた設問に対して、34.9%が「取引先から文書が本物かどうか疑われた」と答え、前年より2.7ポイント増えた。「改ざんが疑われる事案があった」は29.4%、「受け取った文書が本物か疑問に思った」は25.9%だった。

 多くの企業が電子文書を十分な保護措置なしに扱う「無防備PDF問題」については、「問題だと思う」が42.7%、「深刻な問題だと思う」が35.7%で、合計78.4%が問題と認識した。電子文書が本物で改ざんされていないと証明する際の観点において「受信時点での証明」が32.2%となり、前年より5.6ポイント上昇した。「発行時点と受信時点の双方が同程度に大切」は29.8%だった。

 重要な取引文書を受け取った際の確認方法において「電子的な認証(タイムスタンプなど)で確認」が48.2%で首位となり、前年から9.4ポイント上昇した。「電話やメールで発行元に確認」と「紙の原本を別送してもらう」は各34.5%だった。電子文書の安全対策については、42.2%が「安全性は大切だが、コストも考慮したい」と回答し、前年より3.4ポイント増えた。「コストより安全性を優先すべき」は24.3%だった。


2026年版 電子文書やデータのセキュリティ調査まとめ(出典:ウイングアーク1stのプレスリリース)

 今後3年間の企業間取引における電子文書利用は「やや増加する」が46.9%、「大きく増加する」が23.5%で、計70.4%が増加を予想した。増加を見込む359人に理由を複数回答で聞くと「業務効率化の必要性が高まる」が57.1%で首位を保ち、前年より8.1ポイント上昇した。「人手不足で省力化が必須になる」は53.5%、「取引先からの電子化要請が増える」は38.7%だった。自由回答において、企業の信頼性向上、セキュリティリスク低減、真贋判定に要する時間、AI作成文書における責任の所在などが挙がった。

 デジタルトラストサービスを本格導入する契機を尋ねる設問に対しては、「重大なセキュリティインシデントの発生」が25.7%、「AIの急速な発達・活用」が25.3%だった。取引先から受け取る電子文書について、発行企業・団体を確認できる仕組みが必要かとの問いには、「非常にそう思う」が30.8%、「ややそう思う」が42.5%で、計73.3%が必要性を認めた。

 同社執行役員の崎本高広氏は、企業の関心が受領後の改ざん対策中心の段階から、真正性の担保と処理性能を両立する段階へ移ったと説明した。発行元で真正性を担保したいとの意識が強まるのと同時に、大量の電子文書を迅速に処理する能力も求められているとした。

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