テープストレージの時代が再来? 出荷容量57%増、AI時代に復調した理由:ITニュースピックアップ
AI需要でストレージ投資が拡大する中、磁気テープの出荷が再び伸びている。LTO規格を推進するHPE、IBM、Quantumの3社は、2026年第1四半期のテープ媒体出荷容量が前年同期比57%増になったと発表した。なぜ今、テープに需要が集まるのか。
磁気テープ規格「LTO」を推進するLTOプログラムのテクノロジープロバイダー企業であるHewlett Packard Enterprise(HPE)とIBM、データストレージベンダーのQuantumは2026年9月1日(現地時間)、テープ媒体の年次出荷レポートを発表した。2026年第1四半期のLTOテープ出荷容量は前年同期比57%増と大幅に伸びた。LTO(Linear Tape-Open)は、3社が共同で策定と改良を続ける磁気テープストレージのオープン規格だ。
年間の出荷容量を見ると、2024年は前年比15.4%増の176.5エクサバイト(EB。1EBは100万TB)と過去最高を記録した。2025年は9%減の160.3EBに縮小したものの、2024年に次ぐ水準を保った。
磁気テープは“枯れた技術”と見られることも多い。それでも直近の出荷は大きく伸びた。企業がテープに回帰する背景には何があるのか。
テープ回帰を促す「3つの圧力」とは
Quantumのトップが挙げるのは、コスト、エネルギー、サイバーレジリエンスの3つの圧力だ。サイバーレジリエンスとは、サイバー攻撃を受けることを前提に、データや事業を守り、迅速に復旧する能力を指す。
Quantumのユーグ・メイラスCEOは次のように述べた。
「かつてないデータの増加に加えて、コスト、エネルギー、サイバーレジリエンスを巡る圧力が業界全体で高まっている。組織がこの新しい現実に適応する中で、テープは予測可能な経済性と、大規模で堅牢な長期データ保持を提供する、現代のデータインフラの戦略的な構成要素と見なされつつある」(メイラス氏)
第1四半期の伸びを直接支えたのは、現行世代「LTO-9」媒体の堅調な出荷と、次世代規格「LTO-10」の投入と立ち上がりだ。2026年初めには非圧縮で40TBを記録できる新カートリッジが登場し、市場の関心を高めたという。LTOプログラムによると、LTO-10は非圧縮30TBと40TBの2つの容量を用意し、圧縮時は最大100TB、転送速度は毎秒400MBに達する。
ストレージ分野の調査会社Coughlin Associatesのトム・コフリン氏(社長)は「AIワークロードを支えるあらゆる種類のストレージの増強と、従来型のアーカイブワークロードの伸びに支えられ、テープは中核的かつ戦略的なストレージソリューションであり続けている」と指摘した。一方で同氏は、国際的な貿易環境の変化が企業の慎重な購買行動につながったと述べた。この不確実性が解消されればテープ市場の強さはより鮮明になるとの見方だ。データセンター建設で電力の確保が制約となる中、同氏は「あらゆるストレージ媒体の中で最も消費電力が少ない」テープを構成に組み込む動きが広がるとみている。
2026年は過去最高を更新するのか
LTOプログラムは今回の結果について、多くの顧客がテープインフラの拡張に取り組み、プライマリーストレージやセカンダリーストレージを補完する技術としてテープを位置付けていることを裏付けるものだとしている。テープはTB当たりのコストが低く、電力効率にも優れるとし、既存世代の利用者の更新と新規採用が重なることで、2026年の出荷容量は過去最高を更新すると予想した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
関連記事
ITインフラの要件に“大変化” なぜ「電力」と「冷却」にAI活用が縛られるのか?
AI時代の到来により、ITインフラの要件に大きな変化が訪れています。データセンターを「どこに置くか」「どうやって冷やすか」が、AI活用の制約になるのはなぜか。新しいITインフラの要件に、IT部門がどのように対応すべきでしょうか。
ランサムウェアの標的はバックアップデータ、時代遅れのバックアップを進化させる4つのポイント
高度化するランサムウェア攻撃は、事業継続の「最後の砦」であるバックアップデータをも標的にする。迅速な復旧を目指すサイバーレジリエンスの観点から、バックアップの仕組みを見直し、現代の脅威に対抗して進化させるための4つのポイントとは。
今さら聞けないIOWNのすごさ AIインフラの電力問題を解消する“特効薬”か?
NTTの次世代通信基盤「IOWN」とは何か。AIの進化に伴って顕在化したITインフラの課題を、IOWNはどう解消するのか。実証例を交えてIOWNの仕組みとメリットを整理し、ITインフラにもたらす影響を探る。
脱VMwareの「現実的な選択肢」が出そろう 最適解の選び方を解説
VMwareのライセンス変更を機に、NutanixやLinux KVMなど現実的な移行先が出そろった。日本仮想化技術の宮原氏は、単なる乗り換えではなく、AI活用やコンテナ化を見据えた「システムの棚卸し」を提唱する。次世代仮想化基盤を自社でどう選ぶべきか、その方法を示す。