AIコスト膨張、「止めようがない」説が浮上 適切に運用しても2035年にIT予算75%増の予測:Industry Dive
AIが業務に浸透するほど、IT予算は当初の想定を超えて膨らんでいく。支出増加をなるべく抑える手だてとして、経営コンサルティング会社のBain & Companyが挙げる3つのポイントとは。
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筆者紹介:ロベルト・トーレス(Roberto Torres)(「CIO Dive」シニアエディター)
ソフトウェア業界やデータ分析、AIを中心に、エンタープライズITの動向を取材している。
近年、IT予算に新たなコスト項目として加わった「AI予算」。AIが業務遂行に欠かせないものになりつつある中、AI予算が当初の想定を大きく超える“暴れ者”であることに、世界中の企業が震撼している。
調査会社のGartnerは、AIモデルとプラットフォームへの支出だけでも2026年に前年比63%増の640億ドルに達すると予測(注1)。企業のAI利用拡大に伴う計算需要の急増は、世界のIT支出を前年比で14.2%押し上げているとみている(注2)。
こうした中、経営コンサルティング会社のBain & Companyは2026年9月3日(現地時間)、AI時代のIT支出管理に関するレポートを公開した(注3)。このレポートによると、AI戦略を適切に運用している企業であっても、AIが業務に浸透するにつれてIT予算は増加する。売上高100億ドル規模の消費財企業(食品や飲料、日用品メーカー)では、年間ITコストが2035年までに75%増加すると同社は見込む。コスト管理を怠れば、支出は急増する可能性があるという。
ITアーキテクチャの複雑化やサイバーセキュリティコストの上昇、データガバナンス要件の増加に加え、人材投資やAIプラットフォームの急速な陳腐化も支出増につながるようだ。
コスト抑制のための「3つのポイント」
それでも「支出増を抑える手だてはある」とBain & Companyは述べ、AI予算抑制のポイントとして次の3点を挙げた。
- 経営幹部が各プロジェクトを投資判断として捉え、意思決定のプロセスを厳格にする
- テクノロジー関連の支出計画の透明性を高める
- AIによる効率化で得た成果を再投資に回す
この3つのポイントは消費財セクターに焦点を当てた分析に基づくものだが、同様の成長パターンは他の業界にも及ぶとBain & Companyはみている。同社のダニエル・バーグス・エスコバル(Danielle Burgs Escobar)氏(英国エンタープライズテクノロジー部門責任者)は「程度に差はあるだろうし、時間軸も異なるだろう。しかし、この傾向はかなり普遍的なものになると思う」と「CIO Dive」に語った。
コスト上昇に伴い、経営陣はAI導入に対してより慎重な姿勢を取るようになっている(注4)。多くの企業はAI投資に対するROI(投資対効果)の測定に苦慮しており(注5)、あるレポートによると、パイロットプロジェクトの中止に伴ってAI支出の4分の1が無駄になっている(注6)。
AIが「単なるコストセンター」になる?
ただし、懸念が高まる中で過度に慎重になること自体にもリスクがある。「投資を怠れば、取り残される。競争優位性は失われ、旧態依然としたやり方を続けることになり、テクノロジーの恩恵を受けられなくなる」(エスコバル氏)
一方で、過剰な支出にも代償が伴うと同氏は続ける。「予算を使い過ぎれば組織での信頼を失う。投資対効果を生み出すどころか、単なるコストセンターになってしまう」
(出典)Even with careful investment, AI is set to boost IT costs
(注1)Gartner Forecasts Worldwide AI Platforms and Models Market to Grow 63% in 2026(Gartner、2026年7月20日)
(注2)Gartner Forecasts Worldwide IT Spending to Grow 14.2% in 2026, Totaling $6.37 Trillion(Gartner、2026年7月27日)
(注3)FinOps for AI: From Managing Costs to Maximizing Value(ベイン・アンド・カンパニー、2026年9月3日)
(注4)For enterprises, the cautious AI era has begun(CIO Dive、2026年8月17日)
(注5)CIOs are still waiting for AI's cost savings(CIO Dive、2026年8月)
(注6)1 in 4 dollars spent on AI goes to waste, report finds(CIO Dive、2026年7月29日)
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