AI予算を食い潰す新手のサイバー攻撃が増える? Gartnerが2030年までに起こる10の予測を発表:AIニュースピックアップ
Gartnerが2027年以降の戦略的予測トップ10を発表した。その一つが、AIの利用料金を意図的に膨らませるサイバー攻撃の広がりだ。多くの企業が経験するというこの攻撃の正体は何か。
Gartnerは2026年9月15日(現地時間)、年次イベント「Gartner IT Symposium/Xpo」で、2027年以降の主要な戦略的予測トップ10を発表した。10の予測は「あらゆる場所におけるロボットの普及」「コスト対価値」「未知の未知」という3つのカテゴリーにまたがる。
発表に当たり、Gartnerのダリル・プラマー氏(ディスティングイッシュトバイスプレジデントアナリスト兼Gartnerフェロー)は次のように述べた。
「公共サービスからソフトウェア、エネルギー、人材モデルに至るまで、私たちが今日当然のことと考えている多くの仕組みは、今後10年間でAIによって根本的に変革される。最も成功を収めるのは、イノベーションと責任のバランスを取り、AI主導の時代がもたらす機会を生かしつつ、予期せぬリスクにも対処できる組織だ」(プラマー氏)
10の予測には、企業とエネルギーの関係の変化やAIガバナンスの担い手の交代など、経営の前提を見直させる項目が並ぶ。中でもIT部門の実務に直結するのが、AIの利用料金を標的とする新たなサイバー攻撃の予測だ。
AIの請求額を狙う攻撃の正体は
Gartnerが予測するのは「コスト枯渇攻撃」の広がりだ。2030年までに、一般向けAIを導入している組織の80%がこの攻撃を経験するという。
コスト枯渇攻撃は、悪意のある攻撃者が意図的にAIの使用量を過剰に増やし、運用コストを膨張させる攻撃を指す。AIが顧客向けアプリケーションに深く組み込まれるにつれ、組織はトークンの消費量と利用パターンを、コスト管理とセキュリティの両面から考慮する必要が生じる。Gartnerは、AIトークンコストをサイバーセキュリティの指標として捉え、コスト重視のセキュリティ対策を実施し、全てのAI技術にわたって監視を拡張することを推奨している。
コスト枯渇攻撃への警鐘は、今回の予測の内の一つにすぎない。Gartnerが発表した10の予測は次の通りだ。
1.2030年末までに、個人や企業、政府が作成した100億超の自律型エージェントが公共サービスを麻痺させる
エージェント型AIが利用者に代わって機会を特定し、資格を判断し、リクエストを送信するようになり、申請や請求、取引が急増して政府システムに負荷をかける。Gartnerは政府に対し、デジタルインフラの近代化と検証機能の強化、AIを介したやり取りの増加への備えを推奨する。
2.2030年までに、国際企業の現場従業員の80%がフィジカルAIシステムの支援を受ける
フィジカルAIは、ロボットやドローン、自動運転車など、周囲の環境を感知して働きかける機器を通じてAIを物理世界に拡張するものだ。既に多くの業界が安全性の向上や、反復的で危険な作業の自動化に活用している。Gartnerは、拡張性の高いプラットフォームと堅牢(けんろう)なガバナンスの枠組み、運用スキルへの投資を通じて、安全を最優先とする戦略を取ることを推奨している。
3.2030年までに、一般向けAIを導入している組織の80%が「コスト枯渇攻撃」を経験する
AIの運用コストを膨張させるこの攻撃で、トークンコストがセキュリティ指標の一つになる。
4.2029年までに、新規アプリケーションの80%が利用期間1年未満の意図的な「使い捨て」になる
AIによって開発が容易になり、従業員が短期的な業務ニーズを満たす一時的なアプリケーションを次々に作るようになる。ガバナンスやセキュリティ、記録管理に新たな課題が生じるため、リスクベースの統制と自動化されたレジストリによる監視、記録保持ポリシーの更新が求められる。
5.2030年までに、企業が所有するエネルギーは10兆ドルに達し、世界の大手2000社(グローバル2000)が電力の供給者になる
AIとデータセンターの電力需要の高まりを受け、企業は発電や蓄電の資産に多額の投資をしており、電力の消費者と供給者の境界が曖昧になっている。送電網やAIデータセンターへの電力販売が、電力業界の構造を変えるとGartnerは予測する。
6.2030年までに、AIガバナンスを主導するのは規制当局ではなく保険会社になる
AI賠償責任保険の引受基準が厳格になり、保険料を抑えるにはその基準を満たす必要が生じる。保険会社が監視やリスク管理、技術的統制の強化を促す形でガバナンスの実践に影響を与える。Gartnerは、AIガバナンス技術の導入と実環境での制御のテスト、稼働時の監視体制の確立を推奨している。
7.2029年までに、世界の大手500社(グローバル500)の25%が、コンポーネント化したAI搭載製品を継続的に刷新し、後発企業の戦略を時代遅れにする
AIを前提に事業を組み立てる競合が効率的で拡張性の高い製品を投入する中、既存企業は刷新を怠れば顧客や人材、市場シェアを失う。成功はAI投資だけでなく、データとガバナンス、人材基盤の強さに左右される。
8.2029年までに、AIを導入する組織の60%が、AIの総コストを価値または利益にひも付ける専任部門を設置する
エージェント型AIの導入拡大でコストが急上昇し、支出と事業価値の関係を示すことが難しくなる。Gartnerはトークンの使用状況を事業価値の指標に直接ひも付け、明確なガバナンスと割り当て、監視の仕組みを導入することを推奨する。
9.2028年までに、グローバル500企業の60%が推論段階で「AI FinOps」の制御を組み込む
FinOpsはクラウドなどの支出を財務と技術の両面から最適化する管理手法を指す。AIが運用コストの大きな部分を占めるようになり、コストガバナンスは事後の報告からリアルタイムの最適化へと移る。タスク当たりのコストとトークン効率の測定が重要になる。
10.2030年までに、グローバル500企業の80%が、AIの責任に関する「証拠管理責任者」としてCIO(最高情報責任者)またはCAIO(最高AI責任者)を契約上任命する
AIが重要な業務プロセスや意思決定に組み込まれるにつれ、組織はAIの行動に対する説明責任と透明性の確保を迫られる。Gartnerは、デジタル証拠を管理する能力の評価と、AIの行動に対する明確な説明責任の確立を推奨している。
(注:証拠管理責任者〈Evidence Custodian〉とは、AIシステムがどのように行動し意思決定したかを証明する説明責任を担う役割を指す、Gartnerによる呼称)
10の予測のうち、AIのコスト管理に関わるものが3項目、ガバナンスと説明責任に関わるものが3項目を占める。AI活用の拡大を前提に、支出の統治と責任の所在の明確化を経営課題として位置付ける内容となっている。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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