検索
Special

三菱UFJファクターが挑む「デジタルトラスト」 タイムスタンプ処理の限界を突破し、生成AI時代の改ざんリスクに備える秘策:Q&Aで解説

三菱UFJファクターは、PDF請求書のWeb配信を拡大する中でタイムスタンプの処理速度の限界に直面。デジタルトラストサービス「Trustee」導入によって、この課題を突破し、ペーパーレス化と生成AI時代の改ざんリスクへの備えを両立させました。同社の取り組みをQ&A形式で解説します。

PC用表示
Share
Tweet
LINE
Hatena
PR

この記事の概要

  • 保証ファクタリング業務における頻繁な紙書類のやりとりや、基幹システムによるPDF生成の限界が長年の課題となっていた。
  • 帳票基盤「SVF」と「Trustee」を組み合わせることで、タイムスタンプ処理を「1秒間に1000件」へ高速化し、PDFの真正性を確保した。
  • 業務効率化にとどまらず、生成AIによる文書改ざんリスクへの備えと、全社的なシステム横展開・データ活用への道を切り開いた。


 メガバンク系ファクタリング会社である三菱UFJファクターでは、B2B取引における売掛金の回収不能リスクを保証するファクタリング業務において、限度額の変更に伴う書類の郵送や目視チェックなどの「手作業」が長年の課題となっていました。また、手続きのデジタル化を進める中で、結果通知書や毎月の請求書などの帳票類を電子化する際に「誰の目にも明快な真正性」をどのように確保し、増え続けるデータをいかに高速処理するかという新たな壁にも直面しました。

 三菱UFJファクターの高橋成和氏(事務システム本部 システム部 副部長。高は「はしごだか」)と和田隆志氏(同本部 システム部長、執行役員)が語る事例エピソードを基に、同社がタイムスタンプ処理の限界を突破して、安全なデジタル取引基盤を確立したアプローチをQ&A形式で解説します。

写真
左から、三菱UFJファクターの和田隆志氏(事務システム本部 システム部長、執行役員)、高橋成和氏(同本部 システム部 副部長)

保証ファクタリング業務におけるデジタル化の障壁

Q 三菱UFJファクターが保証ファクタリングのデジタル化を進める際、どのようなシステム面や業務面の課題に直面したのでしょうか?

A 既存の基幹システムにデータを直接PDF化する機能がなく、書類の作成や郵送に多大な手作業と二重運用が発生していたことが課題でした。

 三菱UFJファクターは、季節要因で頻繁に発生する保証限度額の変更申請において、書類への押印や郵送の手続きの煩雑さを課題として認識していました。事務部門では、顧客ごとに異なる社名などの表記揺れを目視で確認・照合しており、ミスを防ぐための慎重なチェックは大きな負担となっていました。2018年には取引先がWebサイトで限度額変更を申請できる「ファクタリングオンラインサービス」を構築したものの、既存の基幹システムには結果通知書などの帳票データを直接PDF化する機能がありませんでした。この課題を解決するため、同社はウイングアークの帳票基盤「SVF Cloud for Salesforce」を採用し、自社のSalesforce環境と連携させることで、PDF生成からオンラインサービスへの自動還元プロセスを確立しました。


電子帳簿保存法対応で目指した「誰の目にも明快な真正性」

Q ファクタリングオンラインサービスの運営において、三菱UFJファクターが電子配信したPDF請求書にタイムスタンプを付与する機能を実装することを重視した理由はなんですか?

A PDF請求書を受け取った顧客側でタイムスタンプを付与する手間を強いることなく、「誰の目にも明快な真正性」を確保するためです。

 当初のファクタリングオンラインサービスで顧客に提供したPDF請求書は「写し」の扱いであり、紙の原本も郵送する二重運用が続いていました。この状態でも、書類を受け取った顧客側がタイムスタンプを付与すれば、電子帳簿保存法の要件を満たしてPDFを原本扱いにすることは可能です。しかし三菱UFJファクターは、誰もが納得できる真正性を担保するために、書類の発行元がタイムスタンプを付与することが望ましいと考えていました。

 コロナ禍によるペーパーレス化の加速とともに「経理処理用にPDF請求書を早く送ってほしい」という顧客ニーズも高まり、同社は2020年にウイングアークの帳票配信サービス「SVF Transact」を導入しました。さらに2022年にはオプションであるタイムスタンプ機能を追加実装し、Web配信するPDF請求書を原本として扱える環境を整えました。こうして同社は、紙原本の郵送から電子配信への原則移行を進めました(紙による受領を希望する顧客には郵送運用を継続しているそうです)。


サービス拡大に伴う夜間バッチ処理の限界

Q 三菱UFJファクターがPDF請求書にタイムスタンプ機能を導入した後、サービスの利用社数が増加するにつれてどのような新たなシステム課題が浮上しましたか?

A タイムスタンプの付与速度が1秒間に1件程度にとどまっていたために、夜間バッチ処理の時間を圧迫する懸念に直面しました。

 タイムスタンプ付きPDF請求書のWeb配信サービスは顧客に定着し、2026年7月時点での利用社数は600社を超えました。しかし三菱UFJファクターが当時利用していたタイムスタンプ機能は、ウイングアークが外部のタイムスタンプ技術を使って処理する仕様だったために、タイムスタンプ付与の速度は1秒間に1件程度にとどまっていました。この仕様が、毎月数千件規模のデータを処理する夜間バッチ処理の時間を圧迫していました。将来的に全取引先へ電子配信を拡大するにあたり、このタイムスタンプの処理速度が大きなボトルネックとして浮上することになったといいます。


「Trustee」導入による処理速度の劇的な向上

Q 三菱UFJファクターが導入したデジタルトラストサービス「Trustee」は、タイムスタンプの処理速度という課題の克服にどのような効果をもたらしましたか?

A タイムスタンプの付与速度が「1秒間に1000件」へと向上し、バッチ処理の時間が劇的に短縮しました。

 タイムスタンプの処理速度の限界を克服するために、三菱UFJファクターは、ウイングアークの「Trustee」を採用しました。Trusteeは、ウイングアークが自社で公的認証を取得して提供するクラウドサービスです。既存のシステム環境から契約の切り替えのみでスムーズに移行でき、以下のような効果が得られたといいます。

  • 処理速度の飛躍的向上
    • 従来は1秒間に1件程度だった処理が、カタログスペック通り1秒間に1000件のタイムスタンプ付与が可能になりました。
  • 運用スケジュールの改善
    • これまで20分おきに完了状況を確認していた夜間バッチ処理が、最初の確認タイミング(1回目の確認枠内)で全件のタイムスタンプ付与を完了できるようになりました。

生成AI時代の改ざんリスクに対する防御策

Q 請求書の発行側がPDFにタイムスタンプを付与すると、生成AIを悪用したドキュメント改ざんリスクに対して有効な備えとなるのはなぜですか?

A 発行元が保管する原本と照合することで、改ざんを確実に検知・証明できるためです。

 仮にローカル環境で生成AIツールを使って強引にドキュメントを書き換えたとしても、三菱UFJファクターが保管しているタイムスタンプ付きの原本と照合することで、改ざんの有無を瞬時に見抜くことができます。さらに、発行元がタイムスタンプを付与して非改ざん性を保証することで、書類を受領した顧客自身が手続きやダウンロード元の安全性を論理的に説明する手間など、検証や説明責任の負担を大幅に軽減できるメリットがあります。


生成AI時代の安全な取引と今後のデータ活用に向けて

 三菱UFJファクターは、タイムスタンプ処理のボトルネックをTrusteeの導入によって解消し、ファクタリング事業においてスケーラブルかつ安全なデジタル取引基盤を確立しました。この取り組みは、業務のペーパーレス化にとどまらず、生成AIによる文書の改ざんリスクへの具体的な備えとしても機能しています。

 2026年4月の組織再編を機に、同社は決済領域の請求書業務へTrusteeのタイムスタンプ機能適用を予定するなど、システムの横展開を見据えています。データマネジメント基盤「Dr.Sum」やデータアプリ基盤「MotionBoard」を活用した蓄積データの分析・可視化も検討しており、今後もウイングアークとの強固なパートナーシップを通じて、顧客の利便性向上と付加価値の高いサービス創出を進めようとしています。


提供:ウイングアーク1st株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2026年11月14日

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る