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「直木賞受賞作品」おすすめ5選 第167回受賞作『夜に星を放つ』を含む、歴代の受賞作をピックアップ!【2022年最新版】

7月20日、第167回直木賞受賞作が発表され、受賞作は窪美澄氏の『夜に星を放つ』に決定。過去に類を見ない異例の結果に、注目が集まっています。今回は、そんな直木賞の最新受賞作をはじめ、歴代の受賞作のおすすめ作品をピックアップ。一度読み出したら止まらない大衆文学の面白さを、ぜひ味わってみてください。

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 7月20日、第167回直木賞受賞作が発表され、受賞作は窪美澄氏の『夜に星を放つ』に決定。今回(2022年上半期)の直木賞候補に選ばれた5人のうち実に4人が女性作家という結果となり、同日発表された芥川賞も含めて、女性作家の活躍が目立つ回となりました。


窪美澄『夜に星を放つ』(文藝春秋)(出典:Amazon

 過去に類を見ない異例の結果に、注目が集まっています。今回は、そんな直木賞の最新受賞作をはじめ、歴代の受賞作のおすすめ作品をピックアップしました。基本的に直木賞には娯楽性の高い、大衆文学作品が選ばれています。

 そのため、文学好きの人はもちろんのこと、普段は小説を読まないという人でも、良質な映画やドラマを見るような感覚で気軽に楽しく読み進めることができます。しかも、直木賞を受賞しているのは、時代小説にしても、ヒューマンドラマにしても第一級のエンターテインメント作品ばかり。一度読み出したら止まらない大衆文学の面白さを、ぜひ味わってみてください。

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直木賞受賞作品:窪美澄『夜に星を放つ』(文藝春秋)

 第167回直木賞受賞作。作者の窪美澄氏はフリーのライター・編集者を経て、『ミクマリ』で「女による女のためのR-18文学賞」にて大賞を受賞。受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』で2011年本屋大賞第2位、さらに同書にて山本周五郎賞にも輝く。その後、『じっと手を見る』『トリニティ』にて直木賞候補に選ばれ、本作にて3度目の選出で直木賞を受賞。その他にも数多くの作品を世に出しているベテラン作家です。

 本作『夜に星を放つ』は短編集の形式をとっており、「真夜中のアボカド」「銀紙色のアンタレス」「真珠星スピカ」「湿りの海」「星の随に」の5編が収録されています。母親の幽霊が登場する話など奇抜な設定の作品もありますが、いずれの物語も人生における喪失感や環境の変化によって抱く違和感、傷つく心など、人の心の揺れにフォーカスしています。


窪美澄『夜に星を放つ』(文藝春秋)(出典:Amazon

 特に注目なのが、婚活アプリで出会った男性との恋愛を描く「真夜中のアボカド」。作中にはコロナ禍での生活の様子や人間模様が描かれており、リモートワーク疲れ、マスク生活疲れ、コロナが続くことによる将来への不安など……コロナと戦いながら生きている我々現代人に刺さる要素が多数盛り込まれています。

 恋愛におけるモヤモヤはもちろん、コロナ禍におけるモヤモヤを抱えている人なら、読みながら思わず「うんうん」とうなずいてしまうでしょう。

直木賞受賞作品:川越宗一『熱源』(文藝春秋)

 第162回直木賞受賞作。作者の川越宗一氏は、2018年『天地に燦たり』にて松本清張賞を受賞しデビュー。その後、短編小説「海神の子」が『時代小説 ザ・ベスト2019』に収録され、同年に刊行された本作で直木賞をはじめ、第9回本屋が選ぶ時代小説大賞を受賞しています。ダイナミックな時代小説を描くのを得意としている作家です。

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 本作『熱源』でも、樺太(サハリン)アイヌの戦いと冒険という非常に大きなスケールの物語が展開されています。物語はアイヌのヤヨマネクフと、樺太に流されたポーランド人・ブロニスワフ・ピウスツキという2人の人物を中心に進んでいきます。


川越宗一『熱源』(文藝春秋)(出典:Amazon

 ヤヨマネクフは開拓使によって故郷である樺太から追い出され、日本人にされそうになった人物。一方のブロニスワフは母国語であるポーランド語を話すことを許されず、苦役囚として樺太に流され、ロシア人にされそうになった人物。そんなアイデンティティーを奪われ、大国の文明を押し付けられてきた2人が、樺太の地で運命的な出会いを果たします。

 作中には、アイヌ文化や樺太の気候が緻密に表現されており、それと同時に異なるバックグラウンドを持つ者同士が共生していく姿も描かれています。極寒の樺太の地でも決して冷めることのない人間が持つ「熱」に、心を動かされること間違いなしの傑作巨編です。

直木賞受賞作品:朝井リョウ『何者』(新潮社)

 第148回直木賞受賞作。作者の朝井リョウ氏は、その後映画化され大ヒットした『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2013年には戦後最年少の23歳という若さで直木賞を受賞しています。

 自身が平成元年生まれということもあり、高校生や大学生など、若者が抱える葛藤や人間関係を、ダークな面も含めてリアルに描き出すのを得意としています。特にゆとり世代やZ世代などの若い世代から強い支持を集める作家です。

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朝井リョウ『何者』(新潮社)(出典:Amazon

 本作『何者』でも、若者にとっての大きなライフイベントである”就職活動”に焦点が当てられています。物語の主要登場人物は、就活対策と称して集まった、拓人、光太郎、瑞月、理香、隆良の5人と、拓人が入っていた演劇サークルの先輩・サワ先輩を加えた合計6人。

 みんなでアパートの一室に集まり、一見仲良く就活の話をしているように見えますが、恋愛感情を密かに抱えていたり、実は見下していたり、ややこしい自意識に支配されていたりと、お互いにいろいろな本音を隠し持っています

 まるで本音と建前の狭間で繰り広げられる面接のように、彼らの人間関係もまた本当と嘘の間で揺れ動いています。『何者』では、就活というフィルターを通して、人間の普遍性を描き出しています。何者かになろうともがいた経験がある人なら、きっと苦しいぐらいに共感してしまうことでしょう。

直木賞受賞作品:西加奈子『サラバ!』(小学館)

 第152回直木賞受賞作。作者の西加奈子氏は、イランの首都・テヘランで生まれた後、小学1年~5年生までエジプトで過ごし、その後大阪に移り住んだという異色の経歴の持ち主です。ライターとしての生活を経て、『あおい』でデビューを果たし、多くの著作を発表した後、2015年に本作で直木賞を受賞しています。

 本作『サラバ!』には、西加奈子氏の経歴を思い起こさせるような要素が多数出てきます。というのも、主人公の圷(あくつ)歩は、父の赴任先であるイランで生まれた後、イラン革命の影響で大阪に移り住み、次なる父の赴任先として今度はエジプトへ行くことになります。イラン、エジプト、大阪と……西加奈子氏自身が実際に生活したことがある場所が次々と登場するのです。

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西加奈子『サラバ!』(小学館)(出典:Amazon

 本作は上中下巻(文庫本版)で構成されている作品になります。上中下巻を通して、西加奈子氏と同じ1977年生まれの歩が、家族がどんどん変化していく中で、2014年までさまざまな人に出会い、あらゆる場所を訪れていき、いろいろなものに「サラバ」と別れを告げていく……そんな波乱万丈な人生が描かれています

 自分以外の人生を追体験できるのが小説の持つ面白みの1つですが、これほどまでに他者の人生を自分事のように味わえる作品は珍しいかもしれません。

直木賞受賞作品:恩田陸『蜜蜂と遠雷』(幻冬舎)

 第156回直木賞受賞作。作者の恩田陸は、1992年に『六番目の小夜子』でデビューした後、2005年に青春小説の傑作として知られる『夜のピクニック』を刊行し、第26回吉川英治文学新人賞と第2回本屋大賞をW受賞。そして、2017年に本作にて直木賞と本屋大賞のW受賞という快挙を果たしています。

 本作『蜜蜂と遠雷』は、「構想12年、取材11年、執筆7年」という途方もない時間を掛けて作られた作品。作中では、ピアノコンクールを舞台に、天才たちの才能のぶつかり合いが描かれています。


恩田陸『蜜蜂と遠雷』(幻冬舎)(出典:Amazon

 3年おきに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。そこで優勝した者は、音楽家として世界的に活躍するとのジンクスがありました。そのため、同コンクールには毎回のように選りすぐりの才能が集結し、熾烈な戦いを繰り広げていました。

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 自分のピアノを持っていない16歳の少年・風間塵、CDデビューを飾るも母の死をきっかけに演奏できなくなった20歳の女性・栄伝亜夜、楽器店に勤務する28歳のサラリーマン・高島明石、そして優勝候補である名門ジュリアード音楽院の19歳・マサル……バックグラウンドの異なる彼らの才能と情熱がぶつかることになります。

 一体誰が優勝するのか? 一度読み始めたら最後、音楽に魅入られた彼らの戦いから、あなたもきっと目が離せなくなるでしょう。

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