ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の最新ゲーム機「PlayStation 5」(プレイステーション5、以下PS5)は、以前と比べると入手しやすくなっているものの、一部では品薄が続いています。
そんなPS5ですが、9月15日に配信を開始した大規模ソフトウェアアップデートによって、さまざまな新機能が追加されました。その中でも、特に注目すべきなのが「M.2 SSD」への対応は大きなトピックです。
この記事では、PS5におけるM.2 SSD対応に関する情報を改めてまとめつつ、おすすめのM.2 SSDを紹介します。
PS5には、約825GBのSSD(ソリッドステートドライブ)が搭載されています。このSSDは読み込み速度が毎秒約5.5GB(5500MB程度)で、「プレイステーション3(PS3)」や「プレイステーション4(PS4)」「プレイステーション4 Pro(PS4 Pro)」のHDD(ハードディスクドライブ)と比べると非常に高速です。
この高速さを実現するために、PS5ではSSDを本体の基板に統合しています。言い換えると、PS5はPS3やPS4/PS4 Proのように内蔵ストレージ(SSD)を交換(換装)ができません。インストールするゲームが増えてSSDの容量が圧迫された際に、今までのようにより大きなストレージに交換するという手が取れません。
PS5では従来、USB接続の外付けストレージ(HDD/SSD)によるストレージ拡張は可能でした。しかし、この方法ではPS5規格のゲームを直接起動できないという問題がありました。
「PS5規格のゲームは内蔵SSDに、PS4規格のゲームは外付けストレージに」という使い分けをすれば不便さを軽減できます。しかし、PS5規格のゲームが増えてくるとそうも行かず、インストールデータの待避と書き戻しの繰り返しが増えることは避けられません。
内蔵ストレージの“交換”こそできないPS5ですが、最初から内蔵ストレージの“増設”は可能な設計としています。本体にM.2 SSDを装着するための「M.2(エムドットツー)スロット」を用意したのです。
しかし発売当初、PS5の内蔵SSDと比肩するパフォーマンスを発揮できるM.2 SSDがほとんど存在しませんでした。そのこともあり、M.2スロットはソフトウェアで無効化されていました。
2021年に入ると、PS5の内蔵SSDと比肩するか、それを上回るパフォーマンスを発揮できるM.2 SSDの選択肢がジワジワと増えてきました。そこで、SIEは7月からM.2 SSDを試験的にサポートするβ(ベータ)テストを開始し、先述の通り9月15日付のソフトウェアアップデートでM.2 SSDを正式にサポートしました。
今回のソフトウェアアップデートによって、PS5のストレージは「外付けストレージ」と「M.2 SSD」の2つの方法で拡張できるようになりました。ただし、先述の通り、外付けストレージを利用する場合は機能面で制約があります。
PS5で外付けストレージを「拡張ストレージ」として利用する場合、以下の機能を利用できます。PS4/PS4 Proにおいて拡張ストレージとして使っていた外付けストレージは、つなぎ替えればPS5でもそのまま利用可能です。
M.2 SSDを拡張ストレージとして利用すると、PS5規格のゲームのインストール/起動/アップデートもできます。PS5規格のゲームが増えた際の備えを考えるなら、M.2 SSDの増設がベターです。
PS4規格のゲームをPS5で楽しむ場合も、M.2 SSDを使えばデータの読み書きに関わるパフォーマンスを改善できます。
特にPS5規格のゲームを楽しむ場合、拡張ストレージとしてM.2 SSDを増設するとより快適……なのですが、搭載できるM.2 SSDの要件(必要な条件)は一般的なパソコンで使われるものよりもシビアです。具体的には、以下の要件を満たす必要があります。
現在、M.2 SSDのメインストリーム(売れ筋製品)は接続インタフェースが「PCI Express 3.0(NVMe規格)」です。また、ラインアップこそ減少傾向にありますが、「Serial ATA」インタフェースを採用しているM.2 SSDもあります。
購入の際は、まずM.2 SSDがPCI Express 4.0規格かどうかを確認してください。
さらに、求められるスペック面の都合から、PS5に取り付けるM.2 SSDには放熱機構(ヒートシンクや放熱シート)の装着も必須とされています。放熱機構をあらかじめ装着してあるM.2 SSDもあるので、それを選べば別に買ったり取り付けたりする手間も省けます。
なお、放熱機構のサイズ(寸法)には、以下の制限が設けられています。
放熱機構を備えないM.2 SSDを購入した場合は、上記の寸法に収まる放熱機構を別途用意してください。
M.2 SSDの取り付けは、本体右側(横置き時は下側)にある外装カバーと、その内側にあるM.2スロットカバーを取り外して行います。作業にはNo.1サイズの+(プラス)ドライバーが必要です。具体的な手順は、サポートサイトの「M.2 SSDを取り付ける」を参照してください。
PCI Express 4.0に対応するM.2スロットを備えるゲーミングパソコンが増えていることや、PS5がM.2 SSDに正式対応したこともあり、ここ数カ月でPCI Express 4.0接続のM.2 SSDのラインアップは一気に充実しました。
今回は、その中でも特におすすめできるモデルを紹介します。
Samsung 980 PROは、サムスン電子製のPCI Express 4.0 x4接続のM.2 SSDです。容量は250GB、500GB、1TB、2TBの4種類があります。ヒートシンクはオプションとなっていますが、Amazonでは500GB以上の容量でヒートシンクキットとのセット品も販売しています。
シーケンシャル読み込みの速度は毎秒6400MB(250GBモデル)〜7000MB(1TB/2TBモデル)と、PS5が求める要件をしっかり満たしています。サムスン電子製のSSDはメーカー製パソコンで多く採用されており、信頼性を重視する人にはイチオシです。
WD BLACK SN850は、ウエスタンデジタル(Western Digital)製のPCI Express 4.0 x4接続のM.2 SSDです。容量は500GB、1TB、2TBの3種類があり、それぞれに「ヒートシンクなし」「ヒートシンクあり」のモデルが用意されています。
シーケンシャル読み込みの速度はいずれの容量も毎秒7000MBで、PS5が求める要件をしっかり満たしています。ウエスタンデジタル製のSSDは、サムスン電子製と並んでメーカー製パソコンで多く採用されており、信頼性を重視する人にはイチオシです。
FireCuda 530は、シーゲート(Seagate)製のPCI Express 4.0 x4接続のM.2 SSDです。容量は500GB、1TB、2TB、4TBの4種類があり、それぞれに「ヒートシンクなし」「ヒートシンクあり」のモデルが用意されています。メーカーによるPS5での動作確認も取れています。
シーケンシャル読み込みの速度は、500GBモデルが毎秒7000MB、その他のモデルが毎秒7300MBで、PS5が求める要件をしっかりと満たしています。Seagateは内蔵HDDにおいてトップシェアのメーカーで、近年はSSDにも注力しています。
XPG GAMMIX S70 BLADEは、ADATA(エーデーター)製のPCI Express 4.0 x4接続のM.2 SSDです。容量は1TBと2TBの2種類が用意されています。メーカーによるPS5の動作確認も取れています。
シーケンシャル読み込みの速度はいずれの容量も毎秒7400MBで、PS5が求める要件をしっかり満たしています。着脱可能な薄型ヒートシンクが付属するので、ヒートシンクを別途用意しなくても済みます。
なお、このSSDの兄弟モデルとして、高性能ヒートシンクを備える「XPG GAMMIX S70」もありますが、ヒートシンクの寸法がPS5の許容するサイズを超過してしまうため、PS5では利用できません。ご注意ください。
「PS5規格のゲームは内蔵SSD、PS4規格のゲームは外付けストレージ」と割り切りができる場合は、USB接続のSSD/HDDを使うとコストパフォーマンス面で有利です。M.2 SSDとは異なり本体カバーを開けずに済むので、気軽に増設できます。
PS5規格のゲームを一時退避したり書き戻ししたりする際も、再度ダウンロードしたりインストールしたりするよりは迅速に行えます。
なお、PS5で利用する外付けストレージの容量は250GB以上8TB以下としてください。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.