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「PS5」がM.2 SSDに正式対応! メリットは? 何が必要?【2021年9月版】

» 2021年09月26日 16時45分 公開
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 ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の最新ゲーム機「PlayStation 5」(プレイステーション5、以下PS5)は、以前と比べると入手しやすくなっているものの、一部では品薄が続いています。

 そんなPS5ですが、9月15日に配信を開始した大規模ソフトウェアアップデートによって、さまざまな新機能が追加されました。その中でも、特に注目すべきなのがM.2 SSD」への対応は大きなトピックです。

 この記事では、PS5におけるM.2 SSD対応に関する情報を改めてまとめつつ、おすすめのM.2 SSDを紹介します。

おことわり

  • PS5でM.2 SSDを利用する場合、「バージョン21.02-04.00.00」以降のシステムソフトウェアが必要です。それ以前のシステムソフトウェアがインストールされている場合、M.2 SSDを搭載する前にソフトウェアアップデートを実施してください。
  • PS5で利用できるM.2 SSDは、一定の条件を満たす必要があります。条件を満たさないM.2 SSDを搭載すると、電源を入れた際に取り外すよう指示が出ることがあります。利用できるM.2 SSDの条件は後述します。
  • この記事で紹介するM.2 SSDは、PS5における“理論的な”動作条件を満たしたものですが、実際の動作については保証しかねます(販売者による確認が実施されているものを除く)。

PS5 M.2 SSDに正式対応したPS5(出典:SIE)

PS5がM.2 SSDをサポートするまでの経緯を振り返る

 PS5には、約825GBのSSD(ソリッドステートドライブ)が搭載されています。このSSDは読み込み速度が毎秒約5.5GB(5500MB程度)で、「プレイステーション3(PS3)」や「プレイステーション4(PS4)」「プレイステーション4 Pro(PS4 Pro)」のHDD(ハードディスクドライブ)と比べると非常に高速です。

 この高速さを実現するために、PS5ではSSDを本体の基板に統合しています。言い換えると、PS5はPS3やPS4/PS4 Proのように内蔵ストレージ(SSD)を交換(換装)ができません。インストールするゲームが増えてSSDの容量が圧迫された際に、今までのようにより大きなストレージに交換するという手が取れません。

SSD PS5は約825GBのSSDを内蔵していますが、交換に対応していません(出典:PlayStation Blog

 PS5では従来、USB接続の外付けストレージ(HDD/SSD)によるストレージ拡張は可能でした。しかし、この方法ではPS5規格のゲームを直接起動できないという問題がありました。

 「PS5規格のゲームは内蔵SSDに、PS4規格のゲームは外付けストレージに」という使い分けをすれば不便さを軽減できます。しかし、PS5規格のゲームが増えてくるとそうも行かず、インストールデータの待避と書き戻しの繰り返しが増えることは避けられません。

 内蔵ストレージの“交換”こそできないPS5ですが、最初から内蔵ストレージの“増設”は可能な設計としています。本体にM.2 SSDを装着するための「M.2(エムドットツー)スロット」を用意したのです。

 しかし発売当初、PS5の内蔵SSDと比肩するパフォーマンスを発揮できるM.2 SSDがほとんど存在しませんでした。そのこともあり、M.2スロットはソフトウェアで無効化されていました。

 2021年に入ると、PS5の内蔵SSDと比肩するか、それを上回るパフォーマンスを発揮できるM.2 SSDの選択肢がジワジワと増えてきました。そこで、SIEは7月からM.2 SSDを試験的にサポートするβ(ベータ)テストを開始し、先述の通り9月15日付のソフトウェアアップデートでM.2 SSDを正式にサポートしました。

M.2 SSDスロット PS5は最初からM.2 SSDを搭載するためのM.2スロットを用意しています。しかしソフトウェアによって無効化されていました(SIEが公開しているYouTube動画「PlayStation 5 分解映像」より)

PS5でM.2 SSDを使うメリットは?

 今回のソフトウェアアップデートによって、PS5のストレージは「外付けストレージ」と「M.2 SSD」の2つの方法で拡張できるようになりました。ただし、先述の通り、外付けストレージを利用する場合は機能面で制約があります。

 PS5で外付けストレージを「拡張ストレージ」として利用する場合、以下の機能を利用できます。PS4/PS4 Proにおいて拡張ストレージとして使っていた外付けストレージは、つなぎ替えればPS5でもそのまま利用可能です。

  • 内蔵ストレージに保存したPS5/PS4規格のゲームの移動(待避)
  • PS4規格のゲームのインストール/起動/アップデート

PS4規格のゲームをPS5で遊ぶ際の注意点(拡張ストレージ利用時を含む)

  • Blu-ray Disc(BD-ROM)からインストールしたPS4規格のゲームをプレイする際は、インストールに利用したBD-ROMが必要です。そのため、BD-ROMドライブを備えない本体(デジタル・エディション)では、BD-ROMからインストールしたゲームをプレイできません
  • 「PlayStation Store」からダウンロード(購入)したPS4規格のゲームは、全てのPS5本体で楽しめます。ただし、ダウンロード時に利用した際に利用した「ソニーアカウント」でのサインイン(ログイン)が必要です
  • ほぼ全てのPS4規格ゲームを楽しめますが、一部PS4/PS4 Proでプレイする際と挙動が異なったり、追加の周辺機器が必要となるタイトルもあります。
  • PS4規格のゲームうち、以下のタイトルは互換性の問題からPS5ではプレイできません(★印が付いているものは日本未発売)。
    • Robinson: The Journey
    • Afro Samurai 2 Revenge of Kuma Volume One★
    • We Sing★
    • TT Isle of Man - Ride on the Edge 2★
    • Hitman Go: Definitive Edition★
    • Just Deal With It!★
    • Shadwen★

 M.2 SSDを拡張ストレージとして利用すると、PS5規格のゲームのインストール/起動/アップデートもできます。PS5規格のゲームが増えた際の備えを考えるなら、M.2 SSDの増設がベターです。

 PS4規格のゲームをPS5で楽しむ場合も、M.2 SSDを使えばデータの読み書きに関わるパフォーマンスを改善できます。

装着 ソフトウェアアップデートでM.2 SSDはPS5規格のゲームのインストール、アップデート、起動に対応します(画像はSIE公式ブログのエントリーより)

PS5で使えるM.2 SSDの条件は意外と厳しい!

 特にPS5規格のゲームを楽しむ場合、拡張ストレージとしてM.2 SSDを増設するとより快適……なのですが、搭載できるM.2 SSDの要件(必要な条件)は一般的なパソコンで使われるものよりもシビアです。具体的には、以下の要件を満たす必要があります。

  • 接続インタフェース:PCI Express 4.0 x4(NVMe規格)
  • 通信速度:シーケンシャル(連続)読み込みが毎秒5500MB以上(推奨値)
  • 必要な容量:250GB以上4TB以下
  • 基板サイズ:幅22mmであること(Type 2230/2242/2260/2280/Type22110)
  • 放熱機構:必須

 現在、M.2 SSDのメインストリーム(売れ筋製品)は接続インタフェースが「PCI Express 3.0(NVMe規格)」です。また、ラインアップこそ減少傾向にありますが、「Serial ATA」インタフェースを採用しているM.2 SSDもあります。

 購入の際は、まずM.2 SSDがPCI Express 4.0規格かどうかを確認してください。

全て満たしてくださいね PS5に取り付けるM.2 SSDの要件(SIEのサポートサイトより)
SSDの選び方 PCI Express 4.0規格のM.2 SSDには、パッケージまたは本体外装に「PCI Express 4.0」「PCIe 4.0」「PCIe Gen4」と明記されています(画像はSeagate「FireCuda 530」の場合)

 さらに、求められるスペック面の都合から、PS5に取り付けるM.2 SSDには放熱機構(ヒートシンクや放熱シート)の装着も必須とされています。放熱機構をあらかじめ装着してあるM.2 SSDもあるので、それを選べば別に買ったり取り付けたりする手間も省けます。

 なお、放熱機構のサイズ(寸法)には、以下の制限が設けられています。

  • 基板上部からの厚さ(伝熱材を含む):8mmまで
  • 基板下部からの厚さ(伝熱材を含む):2.45mmまで
  • 幅:25mmまで(基板の幅+左右各1.5mm)

 放熱機構を備えないM.2 SSDを購入した場合は、上記の寸法に収まる放熱機構を別途用意してください。

クリアランス 要件を満たすM.2 SSDは非常に発熱するため、放熱機構の取り付けが必須です。寸法の制限を満たせるヒートシンク付きSSDを買うと手間が省けます(SIEのサポートサイトより)

 M.2 SSDの取り付けは、本体右側(横置き時は下側)にある外装カバーと、その内側にあるM.2スロットカバーを取り外して行います。作業にはNo.1サイズの+(プラス)ドライバーが必要です。具体的な手順は、サポートサイトの「M.2 SSDを取り付ける」を参照してください。

PS5で使うのにオススメのM.2 SSD

 PCI Express 4.0に対応するM.2スロットを備えるゲーミングパソコンが増えていることや、PS5がM.2 SSDに正式対応したこともあり、ここ数カ月でPCI Express 4.0接続のM.2 SSDのラインアップは一気に充実しました。

 今回は、その中でも特におすすめできるモデルを紹介します。

Samsung 980 PRO(サムスン電子)

 Samsung 980 PROは、サムスン電子製のPCI Express 4.0 x4接続のM.2 SSDです。容量は250GB、500GB、1TB、2TBの4種類があります。ヒートシンクはオプションとなっていますが、Amazonでは500GB以上の容量でヒートシンクキットとのセット品も販売しています。

 シーケンシャル読み込みの速度は毎秒6400MB(250GBモデル)〜7000MB(1TB/2TBモデル)と、PS5が求める要件をしっかり満たしています。サムスン電子製のSSDはメーカー製パソコンで多く採用されており、信頼性を重視する人にはイチオシです。

Samsung 980 PRO 250GBモデル(出典:Amazon)

WD BLACK SN850(ウエスタンデジタル)

 WD BLACK SN850は、ウエスタンデジタル(Western Digital)製のPCI Express 4.0 x4接続のM.2 SSDです。容量は500GB、1TB、2TBの3種類があり、それぞれに「ヒートシンクなし」「ヒートシンクあり」のモデルが用意されています。

 シーケンシャル読み込みの速度はいずれの容量も毎秒7000MBで、PS5が求める要件をしっかり満たしています。ウエスタンデジタル製のSSDは、サムスン電子製と並んでメーカー製パソコンで多く採用されており、信頼性を重視する人にはイチオシです。

ヒートシンク付き ヒートシンク付き500GBモデル(出典:Amazon)

FireCuda 530(シーゲート)

 FireCuda 530は、シーゲート(Seagate)製のPCI Express 4.0 x4接続のM.2 SSDです。容量は500GB、1TB、2TB、4TBの4種類があり、それぞれに「ヒートシンクなし」「ヒートシンクあり」のモデルが用意されています。メーカーによるPS5での動作確認も取れています。

 シーケンシャル読み込みの速度は、500GBモデルが毎秒7000MB、その他のモデルが毎秒7300MBで、PS5が求める要件をしっかりと満たしています。Seagateは内蔵HDDにおいてトップシェアのメーカーで、近年はSSDにも注力しています。

FireCuda 530 ヒートシンクなし500GBモデル(出典:Amazon)

XPG GAMMIX S70 BLADE(ADATA)

 XPG GAMMIX S70 BLADEは、ADATA(エーデーター)製のPCI Express 4.0 x4接続のM.2 SSDです。容量は1TBと2TBの2種類が用意されています。メーカーによるPS5の動作確認も取れています。

 シーケンシャル読み込みの速度はいずれの容量も毎秒7400MBで、PS5が求める要件をしっかり満たしています。着脱可能な薄型ヒートシンクが付属するので、ヒートシンクを別途用意しなくても済みます。

 なお、このSSDの兄弟モデルとして、高性能ヒートシンクを備える「XPG GAMMIX S70」もありますが、ヒートシンクの寸法がPS5の許容するサイズを超過してしまうため、PS5では利用できません。ご注意ください。

XPG GAMMIX S70 BLADE 2TBモデル(出典:Amazon)

PS4規格のゲームで使うなら外付けHDD/SSDでも十分!

 「PS5規格のゲームは内蔵SSD、PS4規格のゲームは外付けストレージ」と割り切りができる場合は、USB接続のSSD/HDDを使うとコストパフォーマンス面で有利です。M.2 SSDとは異なり本体カバーを開けずに済むので、気軽に増設できます。

 PS5規格のゲームを一時退避したり書き戻ししたりする際も、再度ダウンロードしたりインストールしたりするよりは迅速に行えます。

 なお、PS5で利用する外付けストレージの容量は250GB以上8TB以下としてください。

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