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MLビジネスのビジネス・モデルを検証するFrom Netinsider(13)

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<vol.13の内容>

「マーケットレポート:転職サイト比較調査」(6)

最終回となる今回は、ユーザーの利用意向をもとに、15社の各サイトの「強み」「弱み」についてレポートする。全体的に利用してみたい、という意見が多いものの、中には評価の分かれるサイトも……


「大手3社がしのぎを削るメーリングリストビジネス」

SocioVenture:菊池道尚氏による「メーリングリストビジネス」のビジネス・モデル検証。主要な3社のMLサービスの比較やML市場の展望など、これを読めばMLビジネスの全貌がわかる




■■ マーケットレポート■■
転職サイト比較調査



第6回 全ユーザーの7割が今後も利用したい

〜ユーザーの利用意向から見た、
各サイトの強みまたは弱みについての考察〜

全ユーザー評価の高いサイトが多い中、
手厳しい評価をされたり、
評価が分かれるサイトも


ネットインサイダー編集部では、株式会社プロシークの協力を得て、転職サイトの利用実態を明らかにすべく、主要な15の転職サイトを対象に1万人にアンケート調査を実施し、488人の回答を得た。その結果を本誌面で6回に分けて報告する。

(注)本調査は、JobJungleのユーザー約1万人を対象に行った

概略

今回は、ユーザーの今後の利用意向から、各サイトの強みまたは弱みについて考察してみる。

  • 全体的には「ぜひ使ってみたい」+「使ってみたい」が約7割と意外な結果となっている
  • 「ぜひ使ってみたい」+「使ってみたい」が8割近くあり、ユーザーの評価が高かった「Find Job」「Sim-career」「JOBMAIL」
  • 「どちらともいえない」が約4割を超える「ecareer」「en」

今後の利用意向

是非とも使いたい やや使いたい どちらともいえない あまり使いたくない 全く使いたくない
合計 ** 21% **** 47% ** 28% 3% 2%
Digital B-ing ** 25% **** 44% ** 25% 3% 3%
Find Job *** 30% ***** 50% ** 20% 0% 0%
Sim-career ** 23% ***** 54% * 19% 0% 4%
ecareer 6% **** 41% **** 41% 6% 6%
en * 13% **** 42% **** 42% 3% 0%
Nikkeibp-expert * 15% **** 45% *** 35% 0% 5%
Asia-net *** 35% ** 25% *** 5% 5% 0%
JOBMAIL ** 21% ***** 57% * 14% 0% 7%
JobJungle * 19% ***** 50% ** 28% 2% 1%


  • この質問は「最もよく利用する求人サイト(注1)」に対して、今後の利用意向を聞いたものである
  • 全回答数は454
  • 回答数が10未満のサイトは掲載していない
  • 「*」1つで10%とする(30%の場合は***となる)

最もよく利用する求人サイト(注2)

★80★最もよく利用する求人サイト
1位 JOB JUNGLE 36.6
2位 Digital B-ing 29.2
3位 en 6.9
4位 Sim-career 5.5
5位 Nikkeibp-expert 4.8
6位 ecareer 4.2
6位 Asia-net 4.2
8位 JOBMAIL 2.9
9位 Find Job 2.1
10位 登龍門 0.8
10位 JOB JOB 0.8
12位 worktank 0.6
12位 JOBWORLD 0.6
14位 Career Space BJ 0.4
15位 JOB IN JAPAN 0.2
(注2)全回答数は476

調査レビュー

−全体的には「ぜひ使ってみたい」+「使ってみたい」が約7割と意外な結果となっている

 前号までで、転職サイトの満足度と信頼度について述べたが、いずれも否定的な回答が多く、特に信頼度に関してユーザーから評価されたサイトは皆無であった。

 しかし、今後の利用意向については、意外なことに「ぜひ使ってみたい」+「使ってみたい」が約7割と極めて肯定的な評価となっている。また、「あまり使いたくない」+「全く使いたくない」というユーザーが10%未満と将来展望はかなり明るいと言える。

 ただし、オープンアンサーを見てみると、「今後に期待したい」「改善が進むだろう」という将来に改善を期待する回答が多く、決して手放しでは喜べるものではない。

−「ぜひ使ってみたい」+「使ってみたい」が8割近くあり、ユーザーの評価が高かった「Find Job」「Sim-career」「JOBMAIL」

 今後の利用意向が高かったのは「Find Job」「Sim-career」「JOBMAIL」の3サイトであった。いずれも「ぜひ使ってみたい」+「使ってみたい」が約8割と、ユーザーから高い評価を受けている。

 「Find Job」「Sim-career」は総合満足度では「やや不満」という回答が過半数を超えており、また「JOBMAIL」は求人数が少ないという不満がトップであったが、この項目では評価が逆転している。

−「どちらともいえない」が約4割を超える、「ecareer」「en」

 「ecareer」と「en」については、「どちらとも言えない」が9サイト中4割超と最も高くなっている。「ecareer」については、「ぜひ使ってみたい」+「使ってみたい」が47%と唯一50%を下回る結果となった。

 なお、転職サイトの王者「Digital B-ing」と「Nikkeibp-expert」は、15サイト合計値とほぼ同じ傾向であった。

(データ引用は編集部までご連絡ください netinsider@vagabond.ne.jp )



■■ 特 集 ■■ 
大手3社がしのぎを削る
メーリングリストビジネス



競争が激化するメーリングリストビジネス

〜 比べて分かった、主要3社の傾向と対策。
広告とOEMが収益の二大柱だが
そのビジネスモデルは未だ確立されていない 〜

SocioVenture 菊池 道尚

急拡大するメーリングリストビジネス

 電子メールを使って大勢の人たちとコミュニケーションができるメーリングリスト(ML)。確かに便利だが、少し前まではいざ導入しようとすると自分でMLサーバを構築したり、あるいはインターネット接続プロバイダにお金を払って設定してもらう…、といった煩わしさがあった。

 そんなちょっととっつきにくかったMLだが、最近では無料で使えるMLサービスも増え、手軽に開設できるようになった。しかし、MLは同じメールサービスという点で近い位置にあるメールマガジンに比べると、市場の規模はまだまだ小さい。それゆえ、MLはメールマガジンほど注目をされてこなかった。

 ところが、今年に入ってML運営会社へ巨大資本の出資や提携が相次ぎ、競争が激しさを増している。そこで、そんな新しいビジネスモデルとして再び注目されているMLサービスについて、どのようなものがあるのか、またどのようなビジネスモデルを目指しているのかということについて、2回にわたってレポートすることにしたい。

主要MLサービス比較

 今回の調査対象は、代表的なMLサービスとして、フリーエムエルドットコム株式会社の「FreeML」、eグループ株式会社の「eグループ」、株式会社インフォキャストの「EasyML」の3つとした。まずは、それぞれの事業規模やサービスについて簡単にまとめてみたのでご覧いただきたい。

FreeML eグループ EasyML
資 本 金 4,250万円 6,000万ドル 2億3,887万円
サービス開始 1997年10月 1999年8月 1997年9月
メール内広告 あり あり あり
有料サービス なし(検討中) なし あり
iモード 対応 特になし 対応
ユーザー数 150万人 130万人 80万人
流 通 数 4,500万通/月 120万通/日 3,000万通/月
主な出資企業 ネットエイジ、
インターキュー
リクルート、
インプレス、
NTT-Xなど
楽天
※eグループの「資本金」と「主な出資企業」は、米eグループのデータ

 事業規模は三者三様だが、いずれも無料でMLが利用できるのが特徴。メール中に挿入される広告の広告料が主な収益源となっている。

 それぞれのサービスの詳細は次の通り。

FreeML ( http://www.freeml.com/ )

 MLそのもののコミュニケーションサービスが主体。参加しているMLの一覧表示やML管理ができる「MyPage」、利用者の興味のある情報が届けられる「MyCheck」、その日に配信されたMLのメッセージのサブジェクトと保存URLをまとめた「ダイジェストメール」、ブラウザでメールが送信できる「ウェブメール」、特定のアドレスからの投稿を禁止する「ブラックリスト」機能などがある。

eグループ ( http://www.egroups.co.jp/ )

 コミュニケーションサービスだけでなくグループウェア的なサービスにも重点を置いているのが特徴。「ウェブメール」「ブラックリスト」といった機能の他、グループで20MBまでファイルを共有できる「共有フォルダ」、予定表を共有できる「共有予定表」、グループの意見をまとめるための「投票」機能など、共同作業に便利な機能が多数用意されている。

EasyML ( http://www.easyml.com/ )

 ちょうどFreeMLとeグループの中間的な立場。無料でホームページ、掲示板、カレンダー、日記帳などが設置でき、仲間とより深いコミュニケーションを図ることが可能になっている。また、メールアドレスを表示せずに匿名で投稿ができるなど、プライバシーにも配慮されている。

MLサービスの利用者像

 さて、MLを利用しているのは、いったいどういった人々なのだろうか。

 今回の特集に当たって、大手3社にアンケートを依頼した。回答が得られたのは、eグループとインフォキャストの2社であった。この2社の利用者についての回答をまとめると、次のようになる。

eグループ インフォキャスト
男女比(男性) 66% 51.1%
(女性) 34% 48.9%
年齢(20歳未満) 6% 3%
(20代) 36% 63%
(30代) 40% 27%
(40代) 14% 5%
(50歳以上) 4% 2%
一般公開(公開) 18% 18.5%
(非公開) 82% 81.5%

  • eグループでは女性の比率が34%、インフォキャストでは約半分となっており、女性の参加が多いことがわかる
  • 年齢別では、やはり20代と30代の割合が非常に高く、インフォキャストではこの世代だけで実に9割を占めている
  • 一般公開している割合は、どちらもほとんど同じ結果となった
  • 公開している割合は2割弱にとどまっており、eグループとインフォキャストについては、どちらかといえば仲間内で利用するケースが多いことを示している

囲い込みが進むML業界

 フリーエムエル、eグループ、インフォキャストは、MLサービスを提供する会社という点では同じではあるが、その事業の方向性については三者三様である。

 フリーエムエルは、広告による収益と、OEMによる収益の2つを重視している。広告による収益は、ML中の広告の他、メールマガジン「ウィークリーふりーえむえる」による広告も含まれる。OEM分野ではマイクロソフトと提携し、FreeMLのシステムを「MSNメーリングリスト」としてMSNに提供している。

 eグループもFreeML同様、ML中広告とOEMを展開している。OEM分野ではリクルートと提携し、eグループのシステムをイサイズに提供している。広告販売を開始した今年7月より半期の売上高は、1億3千万円を見込んでいる。

 そうした中、今年8月31日に米eグループが米Yahoo!に約4億3千万ドルで買収された。これにより、eグループのシステムがYahoo!に一部統合されることになった。日本でも同様の動きが起こる可能性がある。

 インフォキャストも、今年10月1日付で楽天に買収された。株式交換方式による買収で、買収を発表した今年7月24日時点での買収額は約9億1千万円。楽天は集客力を高めるため、インフォキャストのMLサービスに広告を出すなど、BtoCビジネスの強化を図る。

 しかし、今年1月に設立されたインフォキャストの6月までの売上高は2,500万円にとどまっている。果たして楽天にとってインフォキャストは安い買い物だったのかどうか、これからの展開が注目される。

ML市場は拡大の一途

 MLサービスは、昨年頃からようやく本格的に整い始めたばかりだが、すでに競争は激しさを増しており、身売りによる生き残りまで図らなければならなくなってきている。

 しかし、ML市場は今後も拡大基調が続くと思われる。iモードなどの普及でインターネット人口が急増し、それに伴い簡単に仲間と連絡できるMLを利用するユーザーも増加するからだ。eグループでは、ML市場規模を「2001年度10億円、2003年度50億円」と見込んでいる。

 厳しい競争を勝ち抜き、シェアを拡大していくためには、いかにユーザーにアピールできるようなサービスを提供していくかがカギとなる。メールマガジン配信システムでは「まぐまぐ」が圧倒的な強さを誇るが、MLサービスでは果たしてどれがユーザーから支持されるのであろうか。

(おわり)


この記事は2000年9月28日と10月5日に配信した「NETINSIER」から転載、
調査は2000年9月上旬に行ったものです。

次回「From Netinsider Vol.14」の掲載は2001年1月の予定です

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