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中国オフショア開発の成功と失敗の実態オフショア開発時代の「開発コーディネータ」(2)(2/4 ページ)

中国でのオフショア開発を成功させるためには、「『何を』達成すべきかという事業目的を明確にすることだ」と前回述べた。今回は実際に中国で体験した失敗例や、事例を研究して得た教訓などを紹介する。

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中国オフショア開発の教訓

教訓「報告をうのみにした開発コーディネータ」

 中国ビジネスで日本人が成功できない理由の1つとして、「相手を信じ過ぎる」ことが原因というのが定説となっています。中国オフショア開発では、「すべて確認しました。もう大丈夫です!」などの作業報告をうのみにする事象が当てはまります。

 オフショア開発で成功する企業には、相手国の文化やコミュニケーションの傾向を察知する目の肥えたコーディネータが欠かせません。“目の肥えた”コーディネータとは、失敗事例から教訓を得て、日本流のプロジェクトマネジメントとオフショア開発委託先の企業文化を見事に融合させることができる人物です。

教訓「経験不足のうえに土俵が異なるようでは、成功はおぼつかない」

 中国ベンダでは、20代後半から30代の若手SEが、主に全体の統括リーダーを務めています。大半のリーダーは技術的に優れているのですが、やはりコミュニケーションに不安が残ります。納品したシステムに重大なバグが見つかるなど何か問題が生じたとき、日本から厳重に抗議しても、その重大性がベンダ幹部に報告されないことがあります。

 中国ベンダ社内で情報が伝わらないのは、主として情報管理体制の甘さから来るものですが、同じくらい重大な理由として技術者の気質の問題が考えられます。ただし、中国人は品質意識が低いとか、頭が悪いとか、そういう次元ではありません。単に、日本流のきめ細かな報告・連絡・相談の経験が、決定的に不足しているからだといえるでしょう。

 今回取り上げた事例では、中国のレビューに対する考え方が日本の教科書的な考え方とは根本的に異なることを示しています。

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 以上の教訓を踏まえて、この失敗例への対策を次のように整理しました。

  • 日本流の開発プロセスの指導強化
  • 結果報告をうのみにせず、プロセスの実施状況をしっかりと確認

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